表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
494/552

3

 えっ!?この人誰?

 最後に貸会議室に入って来たのはとても背の高い男性で、鋭い眼光の美丈夫。

 瞳も髪も漆黒で、キリっとしているのにセクシーで圧倒される様な力を持っていると感じさせる。

 ただそこに立っているだけである種の雰囲気がある男性だ。


「ごくり」

 思わず唾を飲んじゃったよ。

 会議室の中にいた平民全員とヘルマン様はさっきまで賑やかにしていたのに、今はシーンとしている。


 件の漆黒の男性は中に入り、ニッコリ笑った。

「お前ら、久し振り!」

 その笑顔はいたずらっぽさの残るちょっと幼い感じだったのだが、その笑顔を見て闇王様だと思った。


 良く見ると、彼の後ろには銀髪サラサラのこれまた背の高く色気のある男性と、どうみてもアドリエンヌ様な女性が続いていた。


 数年会わないだけでこれ程男子って成長するものなの?

 もう青年だよ。

 思春期すっとばしてもう立派な青年に見えちゃう。


 セシリオ様は闇王様程体の厚みは無いけれど、なんか中性的な魅力がある。

 あっちの国でどんな風に過ごしてるんだろう、この2人。

 アドリエンヌ様には大きな声で言えないけど、たぶん恋人の2人や3人はいそうだ。

 だってこの色気は異性を知らないと出て来ないと思うんだよねぇ。


 アドリエンヌ様は卒園した時とそんなに違わない雰囲気で、やっぱり固い貴族家の大事にされているお嬢様って感じ。

 彼女も勇者様や私が目に入ると、とっても良い笑顔で微笑みかけてくれる。

 思わずこちらも笑みを返してしまうくらい、邪気の無い笑顔だ。


「さぁさぁ、みんな。好きな席に座って下さい」

 ここのところ、大公様の事で悲しみが先に来てしまうため、仕事もやってはいるけど、ぼぉーっとしてしまう事も多く、色んな事をランビットに任せていたからだろうか、私が言わないといけないところ、ちゃっちゃとランビットが皆を席に着けさせて、料理を運び込む様にラウンジ担当の給仕にお願いしている。


「アドルフォ様、セシリオ様、本当にお久し振りです。あっちの国はいかがですか?」

 本来なら貴族であるヘルマン様から声を掛けるのが普通かもしれないが、ここには元あややクラブのメンバーしか居ないので、フェリーペが早速2人に声を掛けている。


「勉強はまぁまぁだな。あっちの気候はここより暖かくて、夏が長いぞ」

 そう言われて闇王様を見ると、ちょっと日焼けしてる。

「料理はこっちの方が断然美味しいですよ」とは、セシリオ様。

「まぁ、リアの料理は大陸一ですかね」

 フェリーペの私への評価がそんなに高いと思ってなかったので、ちょっとびっくりした。


 料理が並ぶと、まず闇王様が私の方を向いて「この度はご愁傷様です」と大公様の事に言及してくれた。

「オルダル国にとっても大きな損失です。本当に惜しい方を・・・・」とは、アドリエンヌ様。


 1分の黙とうをみんなで捧げて、そこからは同窓会が始まり、美味しい料理とカクテルなどのお酒を楽しみながらお互いの近況を報告し合う。


「ところでお二人は何時こっちへ本格的に帰って来るんですか?」

 今までだったら勇者様がしそうな質問をヘルマン様がしてくれた。

 闇王様がその質問にどう答えるか、アドリエンヌ様も真剣にじっと答えを待っている。


「う~ん、後2年は向こうに居るかなぁ」

「そうだね。今、師事している恩師がなさっているプロジェクトの目処が付くのが2年後くらいですね」とセシリオ様が言うという事は、2人は同じ師の下に学んでいるんだなって分かったよ。


「アドリエンヌ様はご一緒されないんですか?」

 勇者様の問いに、「私はオルダル国でお帰りをお待ちしております」と頬を染めながら言っている。

 知り合った頃のキャンキャン声で話していたアドリエンヌ様と同じ人とは思えないぐらい、しおらしいご令嬢になったものだ。


 話を聞くと、やはり館からあまり出してもらえないらしく、お茶会なども母親と一緒の厳選されたモノにしか参加していないそうだ。


「もっと自由に生きて良いぞ」と闇王様はニヤリと笑って言うけど、それって・・・・自分があっちの国で自由を謳歌してるぞって聞こえるのは何故だろう?

 でも親元を離れ、自国の五月蠅い貴族たちの目を気にしなくても良い状況って言うのは、羨ましいなぁ。

 

 いやいや、私も家族全員一緒に暮らせてるし、大体好きな事をやらせてもらっているし、事業も成功しているから、不満は無いんだYO、本当だYO?


 お年頃になりつつあるから、そろそろ結婚も視野に入れた方が良いだろうけど、仕事が忙しくて自分と同い年くらいのある程度成功した平民と知り合う事が無いんだよね。

 ってか、私の年が12歳とまだまだ若いので、この年で成功している同い年くらいの男子がいないんだよ。

 おじさんと結婚とか嫌だかんね。


 みんなはフェリーペが婚約した事に驚き、そっと私の顔を窺い見てるけど、マジで、本当に、心の底から、フェリーペの事を男性として見た事は無いからね。

 だから婚約おめでとうって気持ちなんだよ。

 ただ、先越されちゃった感はあるんだよね。

 でも、それを言えば勇者様だってまだ婚約はしていないけど、結婚を考えている人はいるんだもんね。


 えっ!?婚約しちゃったのぉ?

 勇者様までぇぇぇ。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ