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伯父さんは「この件はしばらく考えさせて欲しい。どっちにしても金が掛かりそうだからな。ウチのにも相談しないと決められないな」とパイの調理法決定を一時棚上げにした。
こんな強面な伯父さんなのに、意外とかかあ天下なんだよね。
私は、いつもの仕事をしながら、どっちの案になっても使えるフィリングを考える事にした。
くず肉は当然必要。
ってかくず肉料理として考えてるんだもん、当然だよね。
何の肉か分からないくらいに切って、でも歯ごたえはある方がいいからミンチまではしなくていいかもね。
肉の臭みを消すために、玉ねぎは入れないとだしね。
ショウガとかニンニクも入れちゃう?
冬は体が温まるから、ショウガは必須かも?
胡椒があったらなぁ・・・・。
ニクズクとかはないんだろうか?
腹持ちを考えるとじゃがいももいいかもね。
大葉を乾燥させてみじん切りにして入れるのもありかも?
味的にはトマトを入れたいけど、水っぽくなりそうだし・・・・何か代わりになる味付けってあったっけ?
そして私はその夜、自分の部屋に考え付く限りの材料を少量ずつ持ち込んだ。
魔法で作ってみようと思ったのだ。
寝る前ならMP消費しすぎて倒れても、寝てるだけって思われるもんね。
それに今まで玉ねぎをみじん切りとか肉をミンチにする時くらいしか使っていなかった料理魔法を本格的に使うのだ。
そういう意味でも期待!!
材料があれば、料理そのものを魔法で作れるのかどうかが今夜で判明するのだ。
という事で、部屋の丸いテーブルの上に少量ずつの材料を並べ、ベッドに腰かけたまま『熊のまどろみ亭で作れるコーニッシュパイになれ!』と頭の中で願った。
『〇〇で作れる~』なんて形容詞をくっ付けたけど、大丈夫だろうかと思った時、かなりのMPを持って行かれた。
目の前には使わなかった材料と使ったけど必要量より多く準備し余った物と小さなコーニッシュパイがあった。
サクサクで、底もカラッとしていて汁がにじみ出たりはしていない。
コーニッシュパイとしてオーブンを使う事を念頭に置いていたので、見た目からして油で揚げた様には見えなかった。
テーブルの上の材料を見てみると、トマトは使っていなさそうだった。
まず、食材鑑定にかけてみた。
熊のまどろみ亭で作れるコーニッシュパイ
小麦・塩・バターで作られたパイ生地で具材を包んで天火で焼いたもの。
フィリングはくず肉、玉ねぎ、ニンジン、卵
味付けは塩、ガラスープ、ニンニク、パセリ、乾燥大葉、ひまわり油
それぞれの材料名の所に指を置くと、分量まで出ていた。
ひゃほぉぉ!
このスキルってなんて便利なんでしょう!?
新しい物を作りたい時は、予想される材料を用意して料理魔法で作りたい料理を作って、食材鑑定で材料や作り方を確認すれば、次回からはそれを元に試行錯誤すれば作れるじゃん!!
MPの消費を気にしなければ材料すら必要ないかもしれない。
『料理魔法』と『食材鑑定』のお陰で、フィリングは大体できたと思う。
もちろん試行錯誤は必要だけど、最初はパン屋さんの天火を有料で使わせてもらうってのもありじゃないのかなぁ?
売れ行きが良ければ、その時に自分の店に天火を設えても遅くはないと思う。
夕食の時間になってもまだ、伯父さんは結論を出していなかったので、私の案を伝えると、まずはそれでやってみようということになった。
パイ生地とフィリング作りを任されているんだけど、パイ生地はバターが溶けない様に何度も折り曲げて作らないといけないので、地球だと冷蔵庫を使うのだが、こちらにはそんな物はない。
私のストレージには『冷蔵ストレージ』もあるので、それを使えば問題ないけど、流石に大量生産になったら伯父さんたちに見つからずに使うなんてできなくなるので、その手は使えなくなる。
調理場は恒常的に火を使うので、どうしても室温が高くなる。
とすれば、調理場でない所で生地を寝かせないといけないが、日陰で、風が良く通り、涼しい場所に保管するしかない。
結局、裏庭の常に日陰で風の通り道にもなっている場所に、小さな棚を作ってもらい、そこで保管する様にしてみた。




