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ナサ―ル坊ちゃまの夏休み①

「うおぉぉぉぉ」

 お兄様たちが興奮して声を上げながら走り回ってる。

 父様と2人のお兄様、そしてお姉様、メイドのサムネ、リリーとガビィも一緒に来ていて、僕とお兄様たちにはサムネとリリーが常時付いてくれているんだ。

 初めての家族旅行でついこの前開園したって言うテーマパークに来た。

 お母さまはまだホテルのエステって言うのを受けるらしく、メイドのマリリンと一緒にテーマパークはお昼前に来るって言ってた。

 今度の秋、漸く僕もお兄様たちが通っていた学園に入るから、お兄様たちの夏休みを利用して家族でテーマパークに来たんだ。

 ウチの館のある王都から、生まれて初めて乗った鉄道はピカピカで揺れないし早かった。


 鉄道ってね、最初は車窓から見える景色と鉄道そのものに興奮して、「ナサールお坊ちゃま。お行儀良く座っていて下さいね」ってリリーが言うから座ったんだけど、後は同じ様な景色だったから退屈しちゃったんだ。

 そうしたらサムネが「これで遊ばれては如何ですか?」って『間違い探し』っていう雑誌を2冊くれたんだ。

 お兄様たちはナンプレとかで遊んでいたから、僕も最近流行っている雑誌ってものを貰えて、とっても嬉しかった。


 ページをめくると、ページの上と下でそっくりな絵があるんだけれど、7箇所違う所がありますって書かれていたから、一生懸命違う所を探したんだ。

 でも、これが結構難しい。

 横に座ったリリーが途中からは手伝ってくれて、何とか全部の問題で間違い探しが出来たんだ。


 最初の夜はビジネスホテルって所に泊まったんだけど、ここもまだ新しい建物で、全員が2人部屋に泊まる事になっていて、夜と朝のお食事がとぉ~っても美味しかったんだ。

 ウチの館の調理長も料理は上手なんだけど、ここの宿の食事は今まで食べた事が無いくらい、美味しくて、たくさんお代わりしてたら、鉄道の移動中に何度もトイレに行く様になるから、朝食は少なめにしておきなさいってお母さまに叱られちゃった。

 でも、とぉっても美味しいから、スプーンを止める事が出来なかったんだ。

 それに、お母さまを見ていたら、いつもの何倍ものスイーツを食べていたから、本当は僕と同じでたくさん食べてたんじゃないかな?


 出発前にコンビニっていう所で、お昼のお弁当と飲み物、お兄様や僕のための新しい雑誌を何冊か買ってもらえたんだ。


 夜にはナイトル村っていう駅に到着して、そのまま高級ホテルって所に泊まる様に予約してたんだって。

 駅の真ん前に綺麗で新しい建物があって、歩いて玄関まで移動したら、凄く素敵な制服を着たベルボーイって言う人たちが、僕たちのスーツケースとか鞄を台車に載せて建物の中まで案内してくれたんだ。

 僕たちの荷物は、建物の外にあるスロープって言う坂を使って台車で運ぶんだって言ってたよ。


 建物の中に入ったら「うわぁ」ってなった。

 目の前に湖がデーンって広がってたんだ。

 良く見ると見た事もないくらい大きくて綺麗なガラス窓があって、だから、風とかに吹かれる事もなく、ずっと湖を見てられるんだよ。


 ベルボーイのお兄さんにロビィって所に連れて行かれて、「こちらでお飲み物をどうぞ」って言われて、ふかふかのソファーに座ったら、直ぐに綺麗な給仕のお姉さんが来て、メニューって言う紙を見せてくれた。

 もちろんソファーからも湖が見えるんだよ。凄いね。


「子供向けにはジュースがあるみたいよ。オレンジジュース、りんごジュース、パイナップルジュース、イチゴミルク、バナナミルクって言うのがあるみたいだけれど、パイナップルって王都店のあのちょっぴり酸っぱいフルーツかしら?」ってお母様が言うと、給仕のお姉さんが「パイナップルは黄色くてちょっぴり酸っぱいですが十分甘味のあるフルーツでございます。温室でしか栽培出来ないので、ウチのチェーン店でなければ味わって頂くのは難しいかと存じます」って言ったものだから、お茶を頼むつもりだったお母さまもパイナップルジュースを頼んだよ。

 お兄様たちもお姉様もパイナップルジュースにしたけれど、僕は酸っぱいって言われたから酸っぱくないって給仕のお姉さんが勧めてくれたバナナミルクにしてみた。


 綺麗なガラスのコップに入ったちょっとクリーム色の飲み物が僕の前に置かれた。

 コップを手に取ると、とっても冷えていて、飲むと「美味しい!」ってついつい声に出てしまった。

 お母様に怒られると思ってちょっとビクってしたけど、お母様はパイナップルジュースに夢中で、僕が声を上げたのに気づかなかったみたい。

 良かった。


 メイドのマリリンがロビィの手前にあったレセプションって所で手続きをしていたんだけれど、それが終ったのだろう、「皆様、お部屋にご案内して下さるそうです」って言って来たから、すぐにジュースを飲みほして、2階の部屋まで階段で登って行ったんだ。

 スロープで登りたかったんだけれど、あれは荷物を運ぶ時だけ使うんだって。ちぇっ。


 大きな主扉を開けると、綺麗で広い居間があって、そこから6つのドアとテラスが見える。

 さっき玄関で渡したスーツケースやカバンがもう届いていて、案内のお兄さんが「こちらが主寝室でございます」って右奥の扉を開け、お父様とお母様が中に入って感嘆の声を上げていた。

 その手前の扉と、左奥の扉も次々に開けて、「こちらも寝室となっております」って案内のお兄さんが扉を開けて、都度さっと扉の脇に寄って中を見せてくれる。

 僕はお姉様と一緒に左奥の部屋で寝る事になった。


 メイドのマリリン、サムネは左手前の使用人用の部屋で、そしてその横にはドアが2つあって、一つはお風呂、もう一つはトイレだった。

 残りのメイドのリリーとガビィは、同じ階にある2人部屋で寝るそうだ。

 

 マリリンは部屋に入るとすぐにお母様に「エステは明日の朝8時に予約致しました」と報告していて、お母様はにっこり満足そうに笑っていた。

 明日はテーマパークなので、ちょっと朝早い時間の予約だけれど、王都店だとなかなか予約が取れないので、施術を受けれるだけで嬉しいっておっしゃってたよ。

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