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ペペの起業奮闘記④

 建物は全部完成した。

 でも、まだアトラクションの幾つかは建設中か試運転中だ。

 目玉のジェットコースターは山あり谷ありでちょっと怖いよな。

 あれでよくトロッコがレールから外れないなぁと感心するけど、安全なのかな?

 学園のイベントの時は、安全に関して一番五月蠅かったのもリア先輩だったから、多分、いや、きっと大丈夫なんだとは思うけど・・・・。

 それなのにリア先輩はカーブやループが無いからちょっと物足りないかもとか言ってるけど、あんな高いところまで木で土台が作られ、その上にレールが走っているのを見ると、いくら落下防止壁が付いていてもカーブなんて怖くて考えられないよ。


 来月には観覧車っていうのが完成するらしいんだが、安全確認がまだだってリア先輩はちょっと焦っていたな。


 最近になってアトラクションを一つ増やす事になった。

 まだ開園前だから、土地も広げやすいので今の内に造れるアトラクションは作っておきたいって言われてたけど、今度作るのはお化け屋敷って言うらしい。


『悪霊の館』って名づけるそうなんだけど、誰が好き好んで悪霊のいる所へ行きたがるだろうか?

 リア先輩はカップルにはウケるはずって言ってたけど・・・・。

 中は真っ暗で来場者自身が魔石で点くランプ片手に建物の中をぐるぐる歩くらしい。

 一度建ててしまったら人件費ぐらいしか係らないのでお手頃アトラクションだとか言ってたよ。


 本当にリア先輩の思い付く事は僕ではなかなか理解できない。

 でもきっと成功するんだろうなぁ。


 僕の商会で雇った人たちも殆どが研修を終えて、来月の開園にはどうにか間に合った。

 その研修すら中身は殆どリア先輩が考えてくれ、僕たちはそれをメモして、雇った人たちに教えただけだけど、それが凄く効果的と言うか、何時もの事だけどリア先輩の手腕って凄いって再認識させられた。


 開園から3日間はイベント無しでただ単にアトラクションを楽しんでもらうそうだ。

 で、4日目に美女コンテスト、5日目に美男コンテストを開催する。

 どっちの優勝者もテーマパークの夜のパレードで主役を張る事になっている。

 つまり、優勝したら楽で実入りの良い就職先があると言う事だ。

 これもリア先輩のアイデアで、もうねぇ、何歩も先を走られているのは明白で、僕が先輩と肩を並べられる日は来ない気がしてきた。

 

 既にたくさんの人が応募していて、今、僕とベレンは王都で彼らの予選をしているところ。

 これにはリア先輩はノータッチで全部まるっと僕等に任せてくれている。

 優勝者の決定の仕方とかもこちらに丸投げだ。

 で、リア先輩は何をしているかと言うと、テーマパークまでの臨時列車の手配で忙しくされている。

 宿泊施設がリア先輩の所の高級ホテル以外はあまり無いので、午前中に到着して、午後の移動するのにあまり遅くない時間に出発する便を用意するらしい。

 でも、途中のビジネスホテルがいっぱいになるだろうし、周辺の普通の宿も宿泊客でいっぱいになるんだろうなぁ。

 そういう客を全部、午前中にテーマパークに到着させ、午後には次の宿へ向けて移動させる為の臨時列車なんだと。


 もちろん高位のお貴族様や金持ちの商人なんかは高級ホテルで部屋を予約するだろうけれど、それでも近隣の村の宿を使っても全員は捌けないと思うんだぁ。


 リア先輩はテーマパークから近隣の宿のある村までの乗合馬車の臨時便の手配まで考えているらしい。

 なんか凄いよな。

 僕だったらイベントを見に来る人の足まで考えたりしないから、こういう所がすごく勉強になるんだよ。


 園内で販売される食事はハンバーガーとかサンドイッチ、ホットドックにポテトフライって言ってた。

 ホットドックは王都で売られていたから、何となく分かるけどハンバーガーってのは初耳だな。

 後、キャンディとかチョコとかお菓子類を豊富に売り出すらしい。

 こういう食べ物類はグランドなんとかって言う工場から搬入されるらしい。

 ハンバーガーもホットドックも客の目の前で肉類を温めて、用意されたパンを軽く炙って挟むだけみたい。

 まぁ、ハンバーガーの方は野菜も挟むんだけどね。

 サンドイッチは出来上がった物が届くらしい。

 だから園内で調理するのはカットされた芋を揚げたり、焼いて挟むくらいの最後の仕上げとか、飲み物関係だけになる。


 食べ物で思い出したが、従業員寮での食事の用意が大変なんだよね。

 大きなお店とかが無い村だから、食材なんかも鉄道を使って取り寄せないと手に入らない物もあるんだよ。

 まぁ、リア先輩ん所のホテルの食材を搬入するタイミングで少しならウチにも貨物のスペースを割いてくれるって事だったから、何とかなるかな?もちろん有料なんだけどね。

 この辺りは小麦は豊富なので、パンとかには困らないのがありがたいよね。


 僕とベレンもこの従業員寮の中に部屋を持っているんだけど、結構王都でしなくてはいけない事が多いから、普段は王都に住んでいる。


 あああ、後1月(ひとつき)で開園すると思うとドキドキが止まらないよ。

 何かやり残した事があって、それに気づいていないんじゃないかって不安で押しつぶされそうだし、かといって今までやっていた事にもう一度手を入れようと思っても、一旦入れてしまったら今やってる事に自信が無くて、根底から覆したくなるんじゃないかと思って下手に手を入れられないでいる。


「ペペ、大丈夫。あなただけじゃなくってみんなで動いているから。何か抜けてたら誰かが気づくはず。気づかなくても、気付いた時にみんなで動けば良いだけだよ」とベレンが言ってくれるので、その言葉に縋っている感じだ。


 学園でリア先輩やあややクラブの先輩方、そしてひよこクラブのみんなと知り合えた事は僕の財産だけど、ベレンと知り合えた事が一番の財産だ。


 え?僕の商会の名前?

 そんなの決まっているでしょう?

 ひよこイベント商会だよ!

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