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画像ではなく映像を記録できるなら、もしかしたらナイトル村の集客に役立てられるかも。
王都店やゴンスンデ店で開かれるお貴族様たちの結婚披露宴、今の所は画像保存機で1組の式で3枚まで付けるパック料金で請け負っているけど、それをナイトル村での披露宴は映像にしてみたらどうかな?
そうそう、披露宴となれば親戚、知人、友人が参加する事になるからすぐに部屋が埋まっちゃうし、いいんじゃないこれ?
私はさっそく父さんにそう相談してみた。
「それは披露宴の時は満室になる、或いは宿泊客がはみ出す事もあるかもしれない。でも、披露宴が無い時はやっぱり稼働率は下がるし、反対にコンスタントに旅行等でナイトル村店を使って下さっているお客様を披露宴の時は押し出してしまう事になる方が問題な気がするなぁ・・・・」と言われてみればそうだなぁと思ってしまう。
しかも、結婚披露宴って貴族が集まりやすい社交シーズン、つまり冬の王都が盛んなんだよね。
通年で満遍なく披露宴、しかも鉄道とかに乗って日にちを掛けての移動・・・・。
う~ん、難しいねぇ。
でもでも、画像を保存できるのは画期的なんだよ。
映画とか、映画とか、映画とかっ!
でも、映画は素人には難しいんだよぉぉぉ。
私に出来るのは物事を記録するだけで、劇のストーリーを考え、役者を雇い、稽古をつけ、衣装を作りとか、絶対に無理!
う~~ん。
大体、映像保存機は学園で鳥人コンテス・・・・あっ!
イベント!
そうだイベントを開催して、それを記録した動画をイベントが終ってからも放映する。
それ、いいんじゃない?
TVのバラエティ番組みたい。
やった!と思ったけど、何か小骨が喉に刺さった感じがする。
何でだろう・・・・?
よ~く考えてみたら、イベントも結婚披露宴と同じなんだよね。
イベントのある時だけ人が押し寄せる。
お得意様を蹴散らせて。
イベントの記録フィルムを常設で放映するのは良い。
となると、イベントは王都で?
でも、そうなると王都でイベントそのものを見た人が態々ナイトル村まで行って、映像を見たがるかな?
映像の技術が珍しいから、最初の数回は見に来てくれるかもだけれど、実際のイベントを見た人なら、態々ナイトル村まで定期的に映像を見るために来るなんてことは無いはず。
それはナイトル村に映画館を作ると仮定してみれば明白だ。
何も無い村に、宿だけは上等なモノがある。
映画を1本見るだけのために、高い鉄道料金を払ってナイトル村まで来たとして、それで連泊にとはならない。
次の作品が上映されるまでは全く同じ映像が流れるのだから、1度見たら移動するだろう。
映像保存機を購入した事を失敗とは思わない。
最悪、王都店で披露宴で使えるからね。
でも、ナイトル村の集客につなげたいなら、何等かの手を打たないといけないよね。
映像を使った集客方法。
映画は無く、ただ何かを記録するだけの映像で・・・・。
映画館以外で日本ではどんな風に映像を使っていたっけ?
TVは論外、ネットも無いから動画サイトも無理。
アメリカのドライブシアター?
いや、あれも映画だ。
新宿駅前のあの大型ビジョン。
あれは音が無くても楽しかった。
さっき思い付いたイベントの記録をバラエティみたいにして流す。
この案は良い案だと思うんだ。
だとするとイベントを開く場所、回数、内容とか、そういうのが関係してくるよね。
イベントって開く場所が広くないといけないし・・・・。
あっ!ナイトル村ならちょっと村を外れれば麦を栽培していないところもあるし、湖の反対側辺りなら平地だしイベント向き?
もう、こうなったら遊園地みたいなのをつくtt・・・・。
あっ!テーマパーク。
建物を全部異国風にして、イベント会場も併設して、観覧車とかメリーゴーランド、ジェットコースターならトロッコを使えるじゃない?
うわぁぁ。
ナイトル村店の近くにネズミーランドの劣化版を作って、夜は魔石の電飾パレード、アトラクションはさっき考えたので充分な気がする。
イベントがある時はイベント会場にして、無い時はそのイベントの記録映像を流す!
そしてイベントや映像だけでなく、アトラクションでも遊べる。
これいいんじゃない?
私は早速ラフ絵を描いて、父さんとダンヒルさん、ランビットに声を掛けた。
「「「これはすごい!」」」
「早く、これ作ってくれよぉ。俺、ここで遊んでみたい」とは、ランビットの心からの声の様だ。
「これなら数日泊まってでもこのテーマパークですか?ここで遊びたいと思ってしまうと思います。湖の横ならボート遊びを入れてもいいですね」
ダンヒルさんも色々発想した事を付け加えてくれる。
「ダンヒルさん、これって資金の問題は大丈夫でしょうか?」
「ギジェルモさん、大丈夫です。カジノも再開しましたので、資金繰りは問題ないですし、何なら大公様も喜んでお金を貸して下さると思います」
「動物ふれあい広場とか、草そりとかもあったら良いかな?」
「アウレリア様、それは何ですか?」と言うダンヒルさんの質問に答えて、みんなで盛り上がっていた所、ランビットがぼそっと「でも、これ、仕事の量がすごいですよね・・・・」の一言でみんな我に返ってシーンとしてしまった。