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「ビジネスホテルとカジノの類似店が出て来ました」

 ダンヒルさんが低い声で報告してくれたのだが、雰囲気が暗い。


 ビジネスホテルの類似店が出来た所で駅前でなければあまり問題ないと思うのだけれど・・・・。

 カジノも前から平民用の賭場はあっちこっちにあるってランビットが教えてくれていたから、驚く程の事は無いと思うのだけれど・・・・。


 そう言ってみたら、「それはそうなんですが、ビジネスホテルの類似店は王都とモンテベルデーノなんです。王都店の宿泊者数がそのせいか少し下がっていますし、モンテベルデーノは今後事業展開をする時に邪魔になって来ると思います。ビジネスホテルは高級ホテルに比べて安いですが、しっかりと良い雰囲気の宿になっているので下級、中級の貴族や商人にとってはそっちの方が泊まりやすいのかもしれません。カジノはお嬢様が考えていらっしゃる様な平民用ではなく、ウチのモリスン村店の様な豪華な建物の中に賭場を作ったみたいです」

「え?トランプとかルーレットがあるんですか?」

「いえ、流石にそれは真似が出来なかった様で、他の遊びを取り込んでいる様です。ドッグレースとか綺麗なコップと宝石を使ったカップ・アンド・ボールとか、平民用の賭けを綺麗な道具を使って貴族層を呼び込んでいるそうです」


 トランプもルーレットも私が特許を持っているので、おいそれと真似は出来ない。

 そこで平民用の古くからある賭け事を高級感満載で開催しているとのこと。

 う~ん。

 いくら建物や装飾が綺麗でも、生き物を使った賭け事ってどうしても汚れたり臭いが気になったりしないのかな?

 だって動物は食べるし、食べたら排泄するでしょう?

 だからヨーロッパのカジノとかに動物を使った賭け事が無いのにはそれなりの理由があるってことよね。

 

 元々、私としてはカジノであまり儲けたくないんだよね。

 でも、ウチの収入の殆どはカジノから得ているのも事実なんだけれどね。

 建てたばかりの多くのホテルはぎりぎり黒字経営で赤字でないだけ御の字という状態。

 それは普通の事だと思う。

 初期投資だって高級感を出すために目の玉が飛び出る様な金額なので、カジノ無しだと回収できるまでに何年かかるだろうかというところだったが、カジノのお陰で殆ど回収できているのだ。

 それ程カジノが稼ぎ頭という事だ。


「モンテベルデーノは元々高級宿があったので、ウチのホテルチェーンが進出するのを見送ったところなので問題は無いと思うんだけれど、カジノの方は問題ではあるよね。で、カジノはどこに出来たの?」

「モンテベルデーノのビジネスホテルの真横です」

「と言うことは2つの施設は同じオーナーなの?」

「その様です。フローリストパークを覚えていらっしゃいますか?」

「ああ、大公様に対抗意識を持ったなんとかっていう侯爵様が始めたレストランですよね?」

「そうです。ウチのレストランに比べれば全然人気は低いのですが、それでも他の食堂などと比べればウチの劣化版としてそれなりに名を馳せております」

「う~ん。それでまた大公様に対抗してビジネスホテルとカジノをって事なのかな・・・・?」

「恐らく・・・・」


 まぁ、カジノに関しては多少売上げが落ちたとしても、前世の価値観を引き摺っているのか賭け事に抵抗感を持ってる私としては、あまり盛り上げたい事業では無いので良いのだけれど、それでも他にカジノが出来たらウチに不都合があったっけ?なんて頭を悩ませていると、「モンテベルデーノには鉄道が開通しておりませんので、ウチのカジノ程の人気は未だ無いそうです。モンテベルデーノまで鉄道を開通させなければ問題は無いと思います」とダンヒルさんは言うけど、あややクラブの同窓会をして、ヘルマン様と顔を合わせる事があれば絶対鉄道の開通をお願いされると思うんだよね~。


 もう、ウチの国内の領主たちは皆、鉄道の価値に気付いているもんね。

 だから、ケヴィンの話だと、ガルフィールドさんの所へは色んなお貴族様から鉄道開通に関する矢の様な催促がたくさん舞い込んでいるらしい。

 触らぬ神に祟りなしなので、私は態々ガルフィールドさんにその辺の事は聞こうとは思わないんだけれどね、モンテベルデーノは国内でも有数の町でもあるから遅かれ早かれ鉄道の開通は必要だと思うよ。


 まぁ、そこまで考えて、今は別に気にする事は無いと思うと結論を出した。

 ダンヒルさんも、今直ぐどうこうって言うのは無いだろうという意見だったので放置した。


 それよりも、パズルの雑誌作りや、調味料工業団地の発展、グランドキッチンの作業の効率化など、私にはやらなければならない事が山積みなのだ。

 それにあややクラブの同窓会・・・・どうするかなぁ・・・・。


 取り敢えず今は、高級ホテルチェーン、レストラン、ビジネスホテルとまだまだ手が掛かりそうな事業の管理とかもあるしねぇ・・・。


 よっし!これからしばらくは王都に戻って、家族と過ごそう!

 それにペペ君からも何やら面会の申し入れがあったみたいだし・・・・。

 ペペ君は今、学園の4年生。

 何か商会を立ち上げたいらしい。

 卒園する前に自分で事業を立ち上げるのは、とっても珍しい事なのだ。

 私は大公様の後押しがあったから出来たけど、ペペ君はどうやって起業まで漕ぎつけるつもりなのかな?


 ダンヒルさんにペペ君との会合について相談してみたけど、すぐの事にはならないみたい。

 私って結構忙しいんだよね。

 それにしても今、ペペ君はどこで実習をしてるんだろう?

 学園4年生は実習が中心だもんね。

 実習場所も起業内容に関連した所だと思うんだよね。

 まぁ、その辺も併せて会合の時に聞いてみよう。

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