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一度アップしたのですが、本話の最後の所を少し訂正しました。
「あーーはははは」
ランビットが大げさとも言える程体全体を揺らして笑っている。
あまりの馬鹿笑いに呆気に取られてランビットを見ていると、「ひぃーっ。ゼットとガスペール先生が兄弟だったとはね。まぁ雰囲気はそっくりだよね、雰囲気は」と言って馬鹿笑いは全然終わりそうにない。
「まぁなぁ、どっちもやる気の無さは同じだしなぁ。まぁ顔の造作がなぁ・・・・。ガスペール先生、可哀そう」と一人でまだクスクスしていたが、漸く笑って漸く止まった様に見えた。
でもまだ肩が小刻みに揺れているんだよね。
ランビットがここまで笑うの見た事がなかったよ。
「本当にねぇ。顔はそこまで似てないけど、雰囲気は全く同じだよね」
「ぶははははは。リアも容赦が無いなぁ。確かにガスペール先生の方はイケメンじゃないし、怠けるだけじゃなく、仕事も出来ないもんなぁ」
おいおい、私はその辺は言葉をぼかしてたのに・・・・。
「そう言えば、そろそろあややクラブの同窓会をしてもおかしくないんじゃないか?何時頃みんなで集まる心算なんだ?」
「う~ん。まだ闇王様やセシリオ様は外国なんだよね?」
「うん。俺が知る限りでは留学してから一度もこっちへは戻って来てないはず」
「そっかぁ。それだと2人抜きでの同窓会になっちゃうね。まぁ、2人抜きで集まるとしても、どこで会うかっていうのもあるよね」
「ん?というと?」
「ゴンスンデ店にすればメグは確実に参加してくれると思うけど、アドリエンヌ様が参加しづらくなると思うんだよね。まぁ、アドリエンヌ様の場合は王都で招集したとしても参加させてもらえるかどうか分からないんだけどね・・・・」
「まぁ、平民だけが集まっても許しては貰えないだろうなぁ」
「え?ヘルマン様には声掛けないの?」
「あっ、そうか。ヘルマン様も居たね」
「うん。ただ、それでもアドリエンヌ様の御両親が許可してくれるかどうかが気になるよね」
「まぁな。闇王様は婚約者だから、彼が参加するならアドリエンヌ様の御両親も反対はしないだろうからな」
「そうなんだよね。アドリエンヌ様に関しては、闇王様たちが戻って来るのを待ってから会う方が集まりやすいかなとは思うんだよね」
「うん」
「後、ヘルマン様を呼ぶとして奥様も一緒に呼ぶべきかな?」
「え?同窓会なんだよね?」
「うん」
「じゃあ、呼ばなくてもいいんじゃないか?」
「そう?それならいいんだけど・・・・」
「何?リアは何か思う所があるの?」
「嫌、別にそういう訳じゃ・・・・」
あの嫉妬深そうな奥様まで一緒となると気を使うジャマイカ。
でも、そうだよね、同窓会なんだからあややクラブの元メンバーだけで良いよね?
「フェリーペとボブには俺の方から都合の良い日を聞いておくよ」
「あっ、ランビット。同窓会はゴンスンデか王都のどっちかになるけれど、大丈夫かそれも聞いておいてくれる?」
「うん。任せておいて」
ランビットの方が先にランチを食べ終えていたので、社員食堂のテーブルから離れ、スイカズラ工房の方へ行った様だ。
ヘルマン様や、アドリエンヌ様、勇者様にお誘いの手紙を書くべく、私はゆっくりと事務所へ戻った。
でも出来たらヘルマン様へは男子からの誘いの方が良い気がするんだよね。
後、アドリエンヌ様が欠席となったらお貴族様はヘルマン様だけになるから、先にアドリエンヌ様の都合を聞いた方が良いかな~なんて思いつつ、デスクに戻ると、午前中に会議を終えていたノエミが待っていた。
手に紙束を持っているので、見せてもらうと、調味料工業団地内の全ての蔵の単純作業についての作業手順書を作成していた。
びっくりだ!
この短期間に全ての蔵で作業手順を確認してそれを文字化、イラストにしているのだ。
どんだけの作業量だったことだろう。
「職人でないと出来ない作業は無理だったんっすけど、単純作業ならこの作業指示書があれば誰でも正しく作業できるっす。オラ、こんなにいろんな蔵の様々な仕事を見たのは、ここに来て初めてで、めちゃんこ楽しかったっす。お嬢様が次何時工業団地へ来られるかわかんねぇかったので、持って来たっす」
ノエミは自分が一つの大きな仕事をやり終えた事にとてつもない満足感を感じているのだろう。
それと同時に私が彼女の仕事に対してどんな評価をするかを知りたくて、こっちをじっと見て私の感想を待っている。
そんなの評価は一つしかないよね。
「本当に凄いわね」
「お嬢様に喜んで頂けて嬉しいっす」とノエミの目はキラキラしている。
「いやぁ、本当に凄いと思う。だってこの短期間にこの量の作業を確認して作業指示書を書いたんでしょ?本当に凄いよ。誰もが出来るわけじゃない」
「大変だったことは大変だったっすが、とぉ~っても面白かったっす」
「・・・・そう」
「で、この内容で良いっすか?」と私が手に持っていた作業指示書を指さして来た。
「ええ。内容はノエミが確認してるなら、ラインに貼ってもらって良いと思う。もし、作業員やラインの班長が変更して欲しいと言って来たら、どこをどの様に変更したいのか、それが作業員にとって安全か、そして製品も安全かを確認してから書きかえる事もお願いしてもいい?」
「もちろんっす!そうかぁ。変更する事もあるっすね。で、安全が一番なんっすね」
「ええ、そうよ。だって作業員の安全ももちろんだけれど、製品は口に入れる物なんだから安全が第一よね。その後に味を守るが来るかなぁ」
「おおお!味を守るっすね。いつもお嬢様からはオラの思ってもみない事がポンポン出てくるから、とぉぉっても刺激的っす。お嬢様と働いていると退屈はぜってぇしねっすね!」とニコニコと私の手から作業指示書を取ってしっかり鞄の中へ入れていた。




