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 バターは必ずしもクリームを冷やす必要はなかったが、冷やすとかなりの時間短縮になった。

 もちろん今は冬であり室温があまり高くないので、クリームを冷やさなくてもこういう結果になっただけかもしれない。

 暑い時期ならばクリームを冷やすのは必須なのかも。

 となると、1年を通してバターを入手するためには、牛乳だけ買い入れて、『ストレージ』で牛乳を冷やす事の出来るここでバターを作る方が良いかもしれない。


 フェリシアの家にあった樽にハンドルが付いていたバター製造機(?)をここでも購入した方が良さそうだ。

 今夜は、私の部屋で魔法を使って牛乳からクリームを分離させて、半分は冷蔵ストレージに保管し、残りは常温のまま密閉容器に入れランディに死ぬほど振ってもらった。

 ランディだから問題なく作れたんだと思うけど、私の体力ではあれほどシャカシャカするのは難しいかもしれない。

 まぁ、バター製造機を購入すればシャカシャカではなくクルクルになるのだが・・・・。


 どっちにしてもこれまでの流れをマノロ伯父さんに話さないといけない。

 明日の朝話さなくてはと思いながら、ベッドに入っていつもの通りMPを使っての実験をし、MP枯渇でコテッと気を失う様にベッドに沈み込んだ。



「伯父さん、爺さん、おはようございます」

「ああ、おはよう」

「おはよう。良く眠れたかのう?」

「リア、おはよう」

 もうランディが調理場にいたので、こちらからもしっかり挨拶を返す。

「ランディ、おはよう」


 マノロ伯父さんが朝食の載ったトレイを手渡してくれた。

 朝食を食べながら昨日の報告をすることにした。


「伯父さん。ランディが手伝ってくれてバターは出来たけど、フェリシアの家で作ってもらった物よりここで作った方が望んだ物ができるので、牛乳だけを買った方がいいと思います」

「え?こっちで作るの?」と眉間に皺を寄せたのは、昨夜死ぬほど密閉容器を振らされたランディだ。

「うん。フェリシアの家にあった樽のお化けみたいな道具も買えば、昨日よりは作るのがもっと楽になると思う」

 ランディの眉間の皺はまだ消えない。


「で、牛乳の値段を聞いたけど、フリアン伯父さんはお仕事でいなかったから、まだ売ってもらえるかとか、値段も分からないの。フェリシアから伯父さんに話してもらう様お願いしてるので、値段が分かるのは次に会った時になると思います」

「そうか・・・・。で、その樽の道具ってのはどんなんだ?」

「う~~~ん。一度伯父さんがフェリシアの家に行って、フリアン伯父さんと直に話してもらった方が良いと思います。その時、その道具も実物を見せてもらった方が話が早い気も・・・・」

「まぁ、そりゃそうじゃな。値段によっては買いたくても買えんかもしれんしのぉ。こっちもお前でないと判断できんじゃろ?」と爺ちゃんからの援護射撃が入る。


「そうか・・・・。ただ、バターがどんな物か分からないと交渉もしづらいなぁ」

「じゃあ、じゃがいもを蒸かしてその上に載っけてみましょうか?」と提案してみたけど、蒸かすという調理法が無いらしく理解してもらえなかった。

 そこで蒸すのは止めて、薄く油を敷いたフライパンに厚さ5ミリの輪切りにしたジャガイモを入れ火に掛け、蓋をしてもらった。

 途中ひっくり返し、皿によそった直後に昨日ランディが作ってくれたバターを少量載せて試食をしてもらった。


「ん!何だこれ?」

「父ちゃん、旨いぞ」

「ああ、旨いなぁ」

「コクが出たでしょ?」と自信満々に言うと、みんながこっちを見た。

「「「コク?」」」

「うん。美味しさに深みがある事です」と説明していたら、伯母さんが調理場に入って来た。


「おはよう、リア」

「おはよう、伯母さん」

「おう、お前、これちょっと食べてみろよ」と伯父さんが伯母さんの口にジャガバターを放り込んだ。

「あら、これも美味しいわね。リアが考えたの?」

 最近の新しいメニューは全部私が考えてるので、伯母さんはすぐに私の仕業だと思ったらしい。

 絶大なる信頼だ!エッヘン。


「これ、リアが言ってたバターを使った料理で、牛乳と樽の道具とかいうのが必要らしいんだが、入手できるかとか値段とかを相談しに、フリアンと直に話してみたらって言われたんだ。まぁ、子供を通すよりは大人同士で話した方が話は早いよな・・・・」

「そうだね。万が一くず肉料理に使えなくても、じゃがいもがこれだけ美味しくなるなら、作らない方はないねえ。あんたぁ、行っておいでよ」

 マノロ伯父さんは一瞬考えたみたいだけれど、直ぐに「分かった」と頷いた。

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