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 王都のホテルをどうするか・・・・。

 鉄道の工事が急ピッチで進んでいて、ゴンスンデのホテルもテナントとかの契約が終れば、デパート部分の設計が終るだろうから、また大型1枚ガラスを大量に作りにゴンスンデまで行かないといけないよね?


 その前に王都のホテル、ウチの『フローリストガーデン 光』の隣家の土地をまだ取得するに至っていない。

 で、鉄道で人を運ぶなら王都の駅をどこにするかという問題がある。

 ちょっと前までは乗客は乗せない方向だったから駅は王都を囲む城壁の外で良いと思っていたのだけれど、乗客の便宜を考え城壁内に駅を造るか・・・・。

 その場合、城壁の真横に作るのでなければ線路が街中を走る事になる。

 そうなると鉄道に慣れるまで人身事故が多発する可能性だってあるし、同じ王都内なのに線路のこっち側と向こう側へ移動するのがめちゃくちゃ面倒になるという事だってある。


 城壁の外に駅を造るとすると、これまた城壁のすぐ横に作る事が可能かどうかがまず分からない。

 警備上、外壁のすぐ横に建造物があるのは不味いんじゃないかな?

 最悪、許可は出ないかもね。

 

 ならば、城壁から少し離れた所に造るとして、門からの距離がありすぎると駅までの間に何かが起こっても誰も責任が取れない。


 そう、鉄道の駅をどこにするか、それを踏まえてホテルをどこにするか、悩みどころだね。

 そしてホテルの位置が決まって、もし、『フローリストガーデン 光』と離れた場所ならレストランの方は閉めてホテル一本にするか、レストランはこのまま別途営業を続けるかどうか。

 ホテルの場所によっては王都のホテルとして考えていた機能そのものを変更しなくてはいけなくなりそうだ。


 今、私がダンテスさんと話して決めている王都のホテルの使い道、それは宿泊客を貴族ではなく王都外から来る裕福な商人を相手に商売することだった。

 何故なら王国の貴族なら小さくても自分の館を王都に持っているから、宿泊客とは成りえないのだ。


 海外の貴族が王都に来る場合、王城に泊まるか、比較的大きな宿に泊まるのだが、その頻度は低い。

 それよりは王都外の商人の方が有望な顧客だ。


 ただ、『フローリストガーデン 光』を見れば、貴族が食事する高級レストランを必要としている事も分かるし、大きな庭園を持たない中級貴族から下は結婚の披露宴としてもウチのレストランが使われている事から、ホテルもその対象になると思う。

 勿論、催し物や会議室等も商人には使い易い場所となるだろう。


 王都でカジノを営業するとぼろ儲けだとは思うけど、それこそ破産する貴族がたくさん出そうで怖い。

 そこは小規模なカジノにして、メンバー制のクラブの様にしちゃう事を考えている。

 もちろん別途カードルームを造るけどね。


 反対に王都にある事から薬局も医者もいらない。

 何かあったらコンシェルジュから医者を紹介すれば良いだけなので、楽だ。


 でもこれらの機能はホテルが王都の貴族街にあるとしての話だ。

 それも今『フローリストガーデン 光』がある平民街と貴族街の境界線辺りが最適かもだし、宿泊客は商人、各サービスのリピーターは貴族として考えていたのだ。

 う~む。


 ウチのレストランがあるのは西門から馬車で10分くらい中心地へ向かって移動した所にある。

 しかも家の前の道は結構狭い。

 馬車が2台すれ違い、道の両脇を人が歩けるくらいの広さしかなく、大通りでも無い。


 どうしたらいいんだろう?


 こうやって考えた事を箇条書きにしたメモを持ってダンテスさんを訪ねた。


「アウレリア様、大公様がお顔を見たいとおっしゃっているので、まず、応接室の方へどうぞ」

 ダンテスさんについて応接室まで行くと、前回会った時よりぐんと白髪が増えた大公様がオットマンに座って迎えて下さった。


「アウレリア、調子はどうじゃ?」

「お陰様で順調です」

 軽くレベランスをして回答すると、「まぁ、座りなさい」と大公様の前に置かれているソファを指された。


「お前の造ったホテルはどれも見事であった。まだこれからゴンスンデと王都が待っているな。後、鉄道は本当に良いモノだ。これで儂が何時天に召されても鉄道を運営している精鋭たちはその地位を失う事は無いであろう」

「そ、そんな。長生きして下さいませ。鉄道の駅もこれから開発なんですから」

「そうじゃな。あ、鉄道の駅予定地は全精鋭たちで立ち上げた商会のモノになるが、その周辺の土地はお前個人の土地となる」

「えっ?大公様っ。私は既にレストランやらホテルやら色々と身分不相応な財産を頂いております」

「精鋭たちの工房や商会の土地は、全て儂が買い与えた物じゃ。それなのにお前はレストランの費用を毎月返済し、とうとう全額返済しおった。ホテルも同じ様に考えているとダンテスから聞いておる。他の精鋭たちも土地や建物など貰っておるのだ。他の精鋭との均衡を保つためにもせめて駅付近の土地は貰っておくれ。そうでなければ、他の精鋭たちも与えた土地や建物の金を儂に返さないといけなくなるからのぉ」

「・・・・」

「よいな。その代わり、ホテルに関しては何年掛かっても良い。少しずつ返済してくれれば良いぞ」

「・・・・はい」


 こういう風に言われてしまえば、駅付近の土地は貰わないとダメって事になる。

 それと、先月会った時より大公様が急に年を取った様に見えたので、言い返す事が出来なかった。

 恐らく、体調が悪いのではないかと思う。

 ホテルに来られた時には既に体調が悪かったのだろうか?

 それともホテルから戻って崩されたのだろうか?


 大公様の前を辞し、ダンテスさんに連れられてバックヤードにある使用人エリアへ連れて行ってもらった。

「アウレリア様、大公様の御健康は悪い訳ではないのです。お年を召されているので疲れやすいだけなのです。一昨日、現王様の要請に応え王城まで出仕されたのですが、それで気を使われたのでしょう。少しお疲れになった様です。数日、休めば元に戻りますので、ご心配されませんよう」

 そう言われても心配なものは心配なのだ。 

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せっかくの魔法の料理なら 身体に不足してる栄養素を補う食べ物を出すとか、薬膳みたいに気・血・水を補ったり過不足を調整したりする食べ物とかを出せそうだけどな。 寿命はいかんともし難いだろうけれど、脆くな…
ここで元気の出るような料理の出番!
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