表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
424/552

22

「アウレリア様、モリスン村店の売り上げが尋常じゃないくらい伸びております」

「え?ダンテスさん、尋常じゃないってどういうこと?」

「カジノに入り浸っている貴族が可成りの数になっており、旅行する貴族がウチに泊まりたいと思っても部屋が空いていない事が多くなっている様子で、宿泊や食事代の他にカジノでの売り上げが莫大なんです」

「うわぁ・・・・。それって破産しちゃう貴族の方も出て来ちゃうのでは?」

「いえ、現金で前払いのみの取引となっておりますので、持参しているお金以上には散財できませんから。ただ・・・・」

「ただ?」

「ただ、モリスン村の中に質屋が出来たそうです」

「うわぁぁ・・・・」


「質屋を使ってまでカジノで遊ぶかどうかは本人次第なので、ウチのホテルには一切責任がございません。それに一日で使えるチップの量も上限がございますので一気に一文無しと言うことにはならない仕組みにはなっております」

「そうなんだけれど・・・・」

「アウレリア様がご心配されているのは、それでも何等かの手段を使って何日間もウチに逗留して遊んでしまう人が出るのではってことですよね?」

「・・・・そうなんです」

「でも、それはご本人の責任ですから。賭け事でなくても、美味しい食事を食べたくて同じレストランに毎日通い、普通に食べれる量以上の物を頼んで毎日食べる人がいたとします。もちろんすごい量を毎日食べたら体調を崩すでしょう。もしかしたら病気になるかもしれません。でもそれは本人が望んで本人がそうすると決めた事なので、レストランに責任はありません。ましてカジノは現金前払いやチップ上限という制限まで設けてお客様の破産を避ける様にしているのですから、アウレリア様が気にする必要はありません」


 ダンテスさんはそう慰めてくれるけれど、元日本人の私は結構気にしちゃうんだよね。

 なら、カジノなんて作らなくちゃいいじゃんって思うけど、でも何も無い場所にホテルを作るとすると集客力のある魅力を打ち出さないと事業として成り立たないし、地球でも海外には普通にカジノたくさんあるしね。


「あと、ヤンデーノの方も満室とまでは行きませんが、可成り高い稼働率を叩き出しております。後、宿泊客でなくとも食事はウチでというお客様が多い様です。それと面白いのは、ウチの薬局が可成り繁盛している様で、最近では薬師がホテルに常駐している様です」

「え?どうしてそうなったんですか?」

「取り扱っている薬草の種類が多く、しかもモリスン村の薬師があそこの村で育てた物が殆どなので、豊かな土地で栽培されたからか普通の薬草より効能が高いそうです」

「そうですか。医者や薬師の誰かが駐在してくれるならそれに越したことはないと思います」

「そうですね」


 しかし、カジノの為に質屋が村に出来たとなると、破産しちゃうお客様が出て来ないとも限らない気がする。

 もう他のホテルにはカジノは作らない様にしよう。

 精々がカードルームだね。

 それでもトランプも花札もダーツも遊べるからね。遊びがいがあると思うよ。

 今度ビリヤードとかも作って見ようかな。


 仲間内で勝手に賭け事してくれる分には私の心が痛まないものね。

 しかし、質屋かぁ・・・・。

 どんな人が開業したんだろう。

 お金の臭いに敏感なんだろうね。うわぁ~。


 今、私はゴンスンデのホテルの建設と立ち上げに注力しないといけないんだけれど、同時に鉄道の駅なんかも考えないといけないんだよね。

 一度各駅のコンビニについてフェリーペん所と会合を持たないといけないよね。

 王都に戻って母さんやエイファの顔も見たいし、孤児院の子たちがやっているホットドッグの店の様子も確認したい。

 一旦王都へ戻る様にダンテスさんに相談してみようかなぁ。

 でも、そうなるとまたゴンスンデまで移動して来ないといけないしなぁ。

 船で移動って手もあるけれど、王都付近には大きな船が係留できる様な港が無いんだよね。

 やっぱ陸路かなぁ。


 そう思ってダンテスさんに相談したら、一度王都へ帰るのは賛成とのこと。

 何故なら鉄道の工事が進まない限りはゴンスンデのホテルも大きな進展が無いからだ。

 それなら私の様な幼い子を母親から長期間引き離しておくより、王都でしか進められない打合せや、ゴンスンデのホテル内デパートへ出店させる候補店と話をする方が建設的とのこと。

 何より鉄道のホテル無しの駅をどうするかについて、一度私とガルフィールドさんでとことん話し合って欲しいとのこと。

 う~ん。王都へ戻ってもめちゃくちゃ忙しそうだ・・・・。

 ブラックだよ、これ~。


 そう思いながら陸路で王都へ戻る途中、いつもの様にポンタ村へ寄り、『熊のまどろみ亭』に泊まった。


「リア!お前、すごい宿屋作ったんだな。なんか前に色々話してくれてたけど、俺の想像の上を行ってるみたいだな。ちょっとちゃんと説明してくれよ。ポンタ村にはお前のホテルを建てないって事は変わってないんだよな?」

 ランディがちょっと焦っている顔で詰めよって来た。


 え?この前ここに泊まった時は既にモリスン村店は開業してたよね?

 何で今頃?と思ったら、どうやら『熊のまどろみ亭』にも宿泊した客が何人かおり、ウチのホテルについてあれやこれや話したらしい。

 カジノがあるとか、王都のお貴族様の屋敷より綺麗だとか、料理が豪華だとか、あれやこれやについて微に入り細に入り話して行ったそうだ。

 それも複数の人たちが。

 それを聞いて、自分たちの商売について焦りが出て来たそうだ。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ