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今日はちょっと長めになりました。
11月の半ばまで仕事が立て込んでおり、できるだけ話数の貯金をしているところです。
(これを書いているのは8月の末です)
字数を揃えるより、今は話数を増やす事に注力しておりますので、短い日や長い日があってもご容赦頂けたら幸いです。
また、作者の励みにとぉ~ってもなりますので、いいね!とかブックマーク、☆をお願い致します。
「皆様、ホテルフローリストガーデン ナイトル村店のグランドオープンにお越し下さりありがとうございます」
父さんがオープニングの挨拶をして、4階のレストランで立食のパーティを開いた。
今回、大公様が招待客として選んだのは、前回のモリスン村にもヤンデーノにも招待されなかった人ばかりだった。
所謂別派閥なんだろうね、今回の招待客は。
ここも1泊2日の招待だ。
カジノがなければ短い期間で良いので楽だ。
ゴンスンデはいろんな貴族が王都から行ったり来たりするらしく、かなりの宿泊客が見込めるらしい。
しかも小さな領地が多いらしく、お付きの使用人は少なくても、領主が子供連れで移動する事も珍しくないらしい。
大公様は今回もウチのホテルに来て下さっている。
「どこのホテルも居心地が良いなぁ。前のホテルに招待した者らから、もっと道中にホテルの数を増やして欲しいとの要望が来ているが、後4~5軒作る気は無いか?」
「えっ?」
突然の話でびっくりしてしまい、その顔を見た大公様が黄門様の様な笑い声を上げられた。
うひぃぃ。
もうね、3軒あるだけでヘロヘロだよ。
現地へ行くのに何日掛かるねんって事。
まだ、ゴンスンデや王都のホテルも建設しなければならないしね。
ただ、ナイトル村はスティーブ伯父さん一家が居てくれるので、気分的には可成り楽だ。
でもその分、王都のレストランは人手不足になっちゃう。
研修済みの調理人を一人、レストラン付きで働いてもらっているけど、やっぱり伯父さん程、ウチのシステムや調理法に慣れていないから、慣れてくれるまでは皆が大変だろうなぁ。
もちろん、給仕のお仕事も伯母さんが伯父さんたちと一緒にナイトル村へ移動するので、母さんが職場復帰するかどうかという話があったが、まだまだエイファが幼いので今回は復帰無しとなった。
代わりにダンテスさんから紹介され、他の貴族家で研修を受けてもらった中年女性にお願いする事になった。
ホテルを造った事によってレストランの方にも若干影響が出てるんだよなぁ~。
「ここのBBQも貴族連中にウケが良かったから、夏から秋に掛けては湖の横でゆったりするのが流行そうだな。で、ゴンスンデの方は何時頃開店するのか?」
「大公様、まだ建設が始まったばかりですので3~4か月は掛かる見込みでございます」
工事なんかの調整はダンテスさんがしてくれているので、大公様に答えたのもダンテスさんだ。
BBQコーナーは湖横にウッドデッキを作り、よく地球のプールサイドにある様な寝椅子とパラソルを複数設置してあり、ウッドデッキの反対の端にはBBQ用のテーブルと椅子が12セット設置されている。
もちろんパラソル付きだ。
テーブルが設置されているウッドデッキの横には耐火煉瓦で作ったBBQ用の調理場が複数用意されており、ウッドデッキの無い陸側の所に出店が4軒ある。
一つは出来合いの料理を出す店。
もう一つはBBQの材料を売る店。
3店目は飲み物とカットフルーツの専門の店。
最後が湖で遊ぶ時のビーチボールやタオル、ちょっとした着替え、麦わら帽子やお土産になりそうな工芸品を置いている店があり、それぞれたくさんの貴族が利用してくれたらしい。
大公様がBBQも成功と言われたのは、これを指しての事だろう。
「アウレリアや、鉄道が開通すればもっとホテルを増やす事は可能かのう?」
「ホテルを増やす増やさないとは関係なく、管理のために各ホテルへ見回りするのにも、鉄道は早く開通して欲しいとは思っております。今の3軒とゴンスンデと王都のホテルが開業へ漕ぎ付け、運営も順調であれば6店舗目を考える事は出来るでしょうが・・・・。今はあまりに忙しくて新しいホテルの事までは・・・・」
「ふむ、まずは鉄道じゃな。儂も移動がしやすくなる。ダンテス、レール敷設工事に土属性の魔法が使えるヤツを後5人追加で雇い入れ、敷設工事より先に敷設用地を平らにならす様にしろ。鉄道が終ってもホテルの建設等で引き続き雇う可能性が高いので、その辺りも相手に伝えれば可成りの人数が名乗りを上げるんじゃないかのぉ」
「はは。承知致しました」
どうやら大公様の頭の中ではホテルを増やす事は規定路線みたいだ。
う~ん、私、もう既に青息吐息なんですけどぉ?
「運営は、お前の父親とダンテスでやるようにするので、当面はいろんなホテルの案を考え提出する様に。お前がホテルの数を増やすのに乗り気でないのは管理面が面倒という事だと理解しておる。でも、ホテルの内装や売りについて考えるのは嫌いではなかろう?当面はホテルのデザインに掛かり切りになっていいぞ。ダンテス、経営の方はギジェルモと相談しつつ、各ホテルの支配人をお前がまとめ上げろ。まずはアウレリアに倍くらいになるまでホテルの数を増やす事を優先させろ」
「はは、分かりました」
正直言うと、ホテルの設計は大変ではあるけれど、楽しいっちゃ楽しい。
でも、従業員の教育とか、お客の入りを心配したりするのはあまり好きじゃないのだ。
だから、設計や内装、各ホテルの売りを考えるのは嫌じゃない。
ましてや移動が鉄道で簡単になるのなら、もっと気分が楽になる。
「では、まず鉄道の敷設をできるだけ早く終了できる様に人員を増やします」
「ああ、金に糸目はつけん。早く全線開通させろ」
「はは」
大公様とダンテスさんの会話は一通り終わった様だ。
ガルフィールドさんがこの会話を聞いていたら叫び声を上げて逃げていたか、それとも人出が大幅に増えるならと喜びの声を上げるのか、想像が付かないよぉ。
う~ん、どっちもありそうだし、どっちもなさそう。
まぁ、取り敢えずは鉄道を全線開通ヨロ!ってところかな。
今はゴンスンデのホテル建設に集中しないとだよね。
ゴンスンデは町の外れに建築してもらっている最中で、今、漸く基礎工事が終わった所だそうだ。
コンサート会場にもなる様な大きなホールとして使える会場と、小さな会議室になる部屋も多い。
狙いは結婚式の披露宴だ。
何故なら、大聖堂とまではいかないが由緒のある教会が徒歩5分圏内にあるのだ。
お貴族様にその教会でお式を挙げてもらい、その後、宿泊しながらウチのホテルで披露宴をし、その夜は参加者の殆どに宿泊してもらうパック商品を考えているだ。
もちろん、コンサート会場をそれに充てるつもりなんだけど、結婚式が無い時は偶にコンサートとかをホテル主催で行ってもいいしね。
そしてゴンスンデはもう一つ目玉を考えているのだ。
まず鉄道は城壁のない町ゴンスンデなので、ウチのホテルの真ん前に駅を建てる事が簡単に出来る。
つまりゴンスンデで鉄道の駅はその駅しか作らない。
まだ旅客を鉄道で運ぶかどうかは決めていないけれど、もし旅客も運ぶ様になれば、乗客全員がウチのホテルの真ん前でしか乗り降り出来ないのだ。
で、鉄道に乗れるとしたら高い旅費を払える裕福層になるはず。
朝早い便で出発する便だけを用意すれば、前泊は当然ウチのホテルになる。
で、ウチのホテルの中に小さなデパートも作ろうと思うのだ。
要は前日昼にウチのホテルにチェックインしてもらった後、もちろんエステや占い、カードルームがあるのでそこで時間を潰せるだろうけど、お買い物も楽しめるわけだ。
高級な商品だけを扱う店が一か所に集まっている感じ。
洋装店、宝石店、高級鞄店、靴店、本屋なんかが私が考えているテナント候補だ。
これについては大公様もダンテス様も非常に乗り気で、テナントの候補となる店の選抜と交渉は大公様の抱える人材が担当してくれるそうだ。
餅は餅屋。
そういうのが得意な人材がいるのなら、是非、その方たちに頼みたいよぉ。




