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 グランドオープンの翌日、殆どの貴族はにこやかにホテルを後にしたが、数組が残留を希望した。

 が、しかし、現金を持って来ておらず泣く泣く一度王都へ戻った家もあり、最終的にそのまま残ったのは17組中3組だけだった。

 それと大公様。

 大公様はもう一泊されて、それから王都へ戻られるそうだ。


 この3組は執事やメイドをモリスン村の宿からウチのツインへ泊まらせるとのことなので、今回に限り、ウチの馬車を出し彼らをホテルまで運んだ。


 3組の内1組は主人自体がツインルームだったので、小さ目のスイートルームへ移動された。

 この子爵家の主人たちはスイートを見て、口をあんぐりと開けたままで、「ここまでグレードが違うのかぁ」と驚いていた。

 そうだよね、ツインの方はそれなりの家具は置いてあるけれど、必要最低限の家具しか置いてないし、バスタブも付いてないもんね。


 今回はウチの会計システムを知らなかった事で残留したくても出来なかったお貴族様たちや後日ウチを利用したいと思った7組が予約をしてくれたので、2~3日するとまた結構な数のお客様が来てくれる事になっている。


 こんな何にもない所の宿屋なのだが、料理も美味しいし、旅行中とは思えない贅沢な客室、カジノもあれば占いやエステもあるので暇つぶしには困らないとのことだけれど、お金を賭けて遊ぶのが好きでない人に連泊はキツイかなぁとも思う。

 ゆっくり読書のできる図書室とか、音楽を楽しめるサロンとかあった方が良かったかなとも思うけれど、既に経費をいっぱいかけているのだ。

 まぁ、音楽の部分はカジノの中にグランドピアノの様な楽器を置いており、BGM的に演奏してもらうために、ピアニストを複数雇っているのでそちらで聞いて欲しい。

 カジノ自体への入場に料金は掛からないのだから。


 あまり贅沢にしても大都市の中にあるホテルではなく、何にも無い村に建てられたホテルなので、どこまで充実させるかは悩みどころだ。

 まぁ、とりあえずはこのままで様子見だな。


 カジノを大きく作り過ぎたのでお客が3組だと少ないのだが、入口と手前側にルーレットやカードゲームのテーブルを寄せて、半分以上は衝立で仕切ってあんまりガランとした印象を客に与えない様に工夫している。


 手を火傷したモナミは掃除専門のメイドとなっているのだが、工夫してちゃんと掃除をしてくれている。

 同僚も雇い主である私や父が気に掛けている人物なので、見た限りは虐めなどは起こっていない様に見える。

 何かあれば言って欲しいとは伝えているが、頑張り屋のモナミの事だ、多少の事なら何も言わないだろう。

 ウチのホテル内にある薬局で働いている薬師にも、モナミが痛がっていたり、手が倦んできたら、出来るだけの治療はして欲しいと頼んでいるので、何かあっても大丈夫だろう。


 この薬局だけれど、モリスン村だけでなくヤマルダ村の村民も宿泊しなくても使えると村長には言ってあるので、ウチのホテルが出来た事で地域に貢献できると思う。

 ただ、ウチはドレスコードがあるので、もし、そのドレスコードを守れない場合、緊急の場合は、正門の所に立っている警備員に言伝をして、薬師の方が門の所へ来る様にしている。

 やっぱりお貴族様がメインのお客様になる予定なので、野良仕事着のままホテルに入られるのは些か不味いのだ。

 それでも無医村なので薬師が居るだけで村民が感じる安心感は高いはず。

 

 コンビニも結構需要がある様で、塩とか獣脂で作られた安い蝋燭なんかを置いて欲しいという要望が村からあり、店舗の見えるところには置いてないが、一応村人から声が掛かれば売る事になっている。


 モリスン村やヤマルダ村の村民が少なからずウチで働いてくれているので、それらの人たちの通勤用の無料馬車を朝と夜に各2往復ホテルから出しているのだが、コンビニの商品で買い物をしたいが、ウチのホテルで働いていない村人はこの馬車の御者を通して買い物が出来るのだ。


 明日、大公様が王都へ戻られる予定なのだけれど、私も一緒に馬車に乗せて行ってもらう事になっている。

 父さんはまだホテルに駐在し、オープンしたばかりのホテルを管理する事になっているので、申し訳ないのだけれど、先日、闇王様とアドリエンヌ様の婚約発表が公式に行われたので、あややクラブのみんなでお祝いパーティがあるのだ。

 もちろん部室で。


 たくさん見栄えが良く美味しい料理を用意したいので、早目の帰宅になる予定だ。


 最初、3学年の終わりに4学年になったら皆で集まってお祝いしようと言う事だったんだけれど、結局闇王様のお父様が4年生になると同時に領地へ行く様にと闇王様に指示されたので、ちょっと前倒しにして夏休み中に部室でと言う事になっている。

 アドリエンヌ様は頬を赤らめちゃうかなぁ。

 彼女は絶対闇王様の事を憎からず思ってると思うんだよね。


 知り合った頃は露骨に闇王様に近づく女の子たちを警戒していたけど、あややクラブで一緒になったらアドリエンヌ様はそこまで必死に闇王様を好きではないのかなと思わせる時もあったんだよね。

 だって、ガーデニングの方がよっぽど大事みたいだったもの。

 でも、男子の中では闇王様を憎からず思っているのは間違いないと思うんだ。

 闇王様が何かする時、さりげなく内助の功的な事やってたしね。

 それって相手を良く観察していないと、どこをどう手伝って良いか分からないと思うんだよね。

 でも、結構ピタっピタっと闇王様がして欲しいと思う事をやってた気がするので、しっかり闇王様を気に掛けていたって事だと思うんだ。


 もし、本当にアドリエンヌ様が闇王様を好きなら、今回の婚約って素敵な事だよね。

 まぁ、そう思えるのも、勇者様が闇王様を異性として見ていない感じだからなんだと思う。

 これが三角関係っぽい恋愛劇だったりしたら、私はもちろん何を置いてもメグたんの味方なんだけれど、そんな感じじゃなかったしね。

 何よりアドリエンヌ様って、私たち2人をちゃんとお友達として見てくれてたと思うんだ。

 だからね、私たちも平民同士の気安い友達にはなれなくても、ちゃんと学生時代のお友達としてアドリエンヌ様を大事に思ってるんだよね。


 ただ、一つ気になるのは、結婚してからもアドリエンヌ様が好きなガーデニングが出来るといいなってこと。

 まぁ、お相手は闇王様だから大丈夫だとは思うけど、パーティの時にさり気なくガーデニングが大事だって闇王様にほのめかしてみようかなぁ~。

いつも誤字報告をありがとうございます。

毎回、今回こそは誤字がありません様にと書いた後に推敲し、更には予約掲載の前の晩に一度は読み返しているんですが、全然ダメダメです。あはははは。

誤字報告をして頂いているお陰で、ちゃんとした漢字や文章になり本当に助かっております。

今後もどうぞよろしくお願い申し上げます。


また、寄せて頂いたコメントは、毎回ちゃんと読ませて頂いております。

一時期、コメント欄が荒れていた事もあり、本作へのコメントへの返信は基本やっておりません。

たまに、情報を教えて頂いてお礼の言葉をお伝えする以外で、コメントによって返信をするしないを差別したくないからです。

折角コメントを書いたのにとがっかりされる方もいらっしゃると思いますが、これに懲りず、今後共どうぞよろしくお願い申し上げます。


拙作をお読みの皆さま、いつもありがとうございます。

作者の励みになりますので、ブックマークやいいね、★で応援して頂けたら嬉しいです。

今後も拙作をよろしくお願い申し上げます。

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― 新着の感想 ―
主人公がしつこく友人の将来や応援より男子の初恋に寄り添い続けて心配して見てる側の方が未練がましいの草 失敗し続けたの相当なトラウマなんですね
貴族の婚姻ですからね アドリエンヌには、不敬以前に怖くて聞けないでしょうww
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