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料理魔法なんて魔法あったんだぁ  作者: 花明かり
天色の章 <後半>
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 アッと言う間に鳥人コンテストの日が来た。

 なんとアナウンスはベレンちゃんがしてくれる事になった。

 そして運営や進行はひよこクラブ中心でしてもらっている。

 もちろん、私達あややクラブもサポートとして必ず一人はひよこクラブのメンバーに張り付く様にしている。


 今年のスタッフの仮装は着ぐるみだ。

 思い思いの動物の着ぐるみにしてみた。

 顔が見えない!!

 開会宣言とトロフィーの授与なんかは闇王様だけれど、それ以外は全部ひよこクラブ主体だ。


 このイベントが終ると、ウチが今までやっていたイベントは全てひよこクラブだけでやる様になる。

 ひよこクラブと一緒にやる様になってから、ドッジボール大会、魔法障害物競争、クイズ大会と私たちがやる事を軒並み見てもらって、出来る所は一緒にやって来た。

 この最後のイベントは、私たちが安心してペペ君たちに引継ぎできるかどうかの判断になる。

 まぁ、失敗したとしても、失敗から学んで、来年以降に活かしてくれればいいだけなんだけどね。

 だから、失敗したからといって、来年イベントをしてはダメなんて事にはならないよ。


 今年は順調に4年生のチームが飛行部門では優勝した。

 仮装は2年生だ。


 去年のひよこチームの事を覚えていた観客も多く、今年も出るだろうと期待していたみたいだが、今年はスタッフとなっていたため、ひよこチームは裏方さんに徹していた。

 でも、テーマ曲とか、コミカルな動きとか、真似していたチームも何組かいて、それなりに盛り上がった。


 今年の出店の中に、ホットドッグの店は無い。

 でも、今日ここに出店を出せるかどうかは、孤児院にとってはとても大事な事だった。

 だって売り上げが段違いだから。


 なので、今年はキャンディとクッキーを事前に作ってカワイイパッケージに入れて売り出してみた。

 火をお客が行ったり来たりする所で使うのは、この子たちが大人になって、何があっても自分で責任が取れる様になってからでないと怖くて出来ない。

 この入場料を取って中に入る敷地内では、何か事故があっても犯人が逃げる事は出来ないだろう。

 でも、そんな事じゃないのだ。

 子供たちが怪我をしないのが前提で一番でそこは譲れないのだ。

 つまり何かあってから犯人を捕まえるのではなくて、最初から何もないのが良いのだ。


 キャンディーやクッキーは食事ではなくおやつなのでホットドック程ではないが、それでもかなりの売り上げがあったらしく、孤児院の子たちもホクホク顔だった。


 先月辺りからモナミの火傷も痛みで夜中眠れないと言う状態からは脱したので、少し安心している。

 もうちょっとしたら夏休みに入る。 

 そうしたら私はホテルと鉄道に掛かり切りになる。

 モナミは早めにホテルの従業員寮に入れてあげて、衣食住の内、食住には困らない様にしてあげたい。


 そんなこんなで私たちの最後の鳥人コンテストは、色々な感情で彩られ、無事怪我人を出す事なく、成功裡に終わった。


 今夜はあややクラブの部室で、パーティだ。

 これで最後なので、ひよこクラブの皆も二階にも入れる様にしてある。

 鳥人コンテストの会場を出る前から、二階を見て見たいとひよこクラブの皆はワクワクしている様子。


「参加者としてのイベントも滅茶苦茶楽しかったけど、準備をするのもとっても楽しかったです。これもあややクラブのみなさんのお陰です。ありがとうございました。あああ、これからは先輩方無しでイベントをしなくちゃいけないのも大変だなぁって・・・・。でも、何より残念なのはアウレリア先輩の作るおやつが食べれなくなる事ですっ」とペペ君が真面目な顔をして言うと、他のメンバーもウンウンと頷いていた。


「まぁ、それを言うとオレたちもそうだぞ。来年は殆ど学園には来ないだろうし、来たとしてもみんな別々の日だろうしな」

「アドルフォ様!」

「なんだ、フェリーペ」

「来年、学期はじめ、あややクラブのみんなで一度だけで良いので集まりませんか?」

「ん?」

「ほら、まだ公表されていないお祝い事があるので、それをみんなで祝いたいんです」とフェリーペがわざとらしくアドリエンヌ様の方へ視線をやる。


「なるほどな。ありがとう。じゃあ、試験が終わった後、みんなで日時を決めよう」

「ありがとうございますっ」


 その後は、錬金術クラブの最後の即売会や、期末テストがあり、怒涛の様に時間が流れた。

 私は1年から3年まで全てのテストで学年1位をキープ出来た。

 大公様からお褒めの言葉を貰えそうだ。


 最後の日、あややクラブの面々だけで部室に集まった。

「これからは皆、別々の道を歩く事になるだろう。来年はまだ学生と言っても、学園に来る事は数える程。でも、学園に来たら、この部室を遠慮なく使ってくれ。あ、食材は前もって言ってくれれば家の使用人が揃えておくが、何も言われなければ何も置いてないと思ってくれ。オレたちは立場が違う者が集まってイベントだのなんだの学園中を巻き込んで楽しい事をして来た。これからも仲間だ。地位や立場の違いはあっても、その事だけは忘れずにいよう」

 闇王様がそう挨拶し、アドリエンヌ様が寂しそうにテラスの花々を見、錬金術コーナーの薬棚の中が空になった部室を私たちは出た。

 闇王様は私たち一人一人に部室の鍵を渡し、にっこり笑って「じゃあ、お祝いパーティで会おう。それまで元気で頑張ろう!」と言い、背を向けセシリオ様とアドリエンヌ様と一緒にクリサンテーモ地区の方へ帰って行った。


 明日からは今までみたいに頻繁にみんなに会えなくなるけど、夏休み明けにみんなで集まる事もあり、結構あっさり別れた感じだ。

 卒園の時はもっとエモーショナルな感じになるのかも?


 何にしてもこの仲間とこの部室、今までを振り返ってもとても居心地の良い空間だった事しか思い出せない。

 これからもみんなとの絆は大切にしよう。

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