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料理魔法なんて魔法あったんだぁ  作者: 花明かり
天色の章 <後半>
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「明日の放課後、スポーツエリアであややクラブから年度末に行われるイベントの説明があります。お時間のある方はふるって参加下さい」

 廊下に張り出したポスターにもそう書いたし、全てのクラスを順繰りに回って口頭でもそう伝えた。

「何に関しての説明?」と聞かれると、「それは明日のお楽しみです。楽しめると思うので、是非参加して下さいね~」と思わせぶりな台詞を残して次のクラスへ回る。


 翌日、蓋を開けると結構な数の生徒が集まっていた。

 でも、全校生徒ではないのがはっきりと分かるくらいの人数だった。


「集まってくれてありがとう。あややクラブでは今年も鳥人コンテストを開催するので、参加してくれるチームは来週月曜学食で手続きをしてくれ。で、今日は折角集まってもらったので、クイズというイベントをしたいと思う。では、説明を頼む」と、闇王様が私に拡声器を渡した。


「みなさん、こんにちはー!クイズという簡単なイベントをします。優勝者にはあややクラブ特製のキャンディを進呈しますので、張り切って参加下さい。真ん中に長い紐がありますね。こっち側がyes、そっち側がnoです。分かりやすい様に、スタッフがyesとnoの看板を持って立っていますので、途中で分からなくなったら看板を見て下さいね。これから質問を何回かします。正解した人だけ次の質問に答える事が出来ます。質問が終って10数える間にyesかno、どちらかのエリアに入っていないと失格になりますから気を付けて下さいね。では行きます。第一問!オルダル国の歴史は1328年前に始まった。さぁ、yes?それともNo?1、2、3・・・10!そこまで」


 紐を上に持ち上げるスタッフ。

 もう誰も選択肢を変える事は出来ない。


「私達の国、オルダル国の歴史は初代国王がウェッブスェップの戦いでスマノブ族に勝利した1329年前に始まりました。1年早い1329年前なので答えはNoです。では、yesと答えた方は端によって下さい。次の質問は先ほどnoと答えた人だけ参加できます」

 不正解だった12人がクイズコーナーから外れて見学に回るのを待つ。


「では、第二問!この学園の園長は何代目の園長かと言うと・・・・」

 それが質問かと思ったのか、すぐに動き出そうとした生徒が数人。

 でも答えはyesかnoしかないのに、何代目かなんて質問、出るわけないのに。くふふふふ。


「第4代目ですが、この学園の出身である。さぁ、yes?それともNo?1、2、3・・・」

 生徒たちが一斉に思う方のエリアへ走って行く。


 第四問の頃にはもうみんなクイズにのめり込んでる感じになっていた。

 第七問目で優勝者が決まり、キャンディの入った袋をみんなの前で闇王様から進呈された。

 拍手が沸き起こった。


「突然のお願いでしたが、今日、集まって下さってありがとう。次は鳥人コンテストで会いましょう。参加申請は来週の月曜、学食で早い者勝ち。では、良い週末を~」

 一旦〆に入ると、何人もの生徒が楽しそうにエリアから出て行く。


「これ、来年もやってください」

「楽しかった!」

「鳥人コンテストも期待してるぞ」と、中には態々私達の所まで来て一通り好意的なコメントを残していく学生も多かった。


「よかったね、リア。みんなイベントにヤル気を出してくれそうだよ」

「うん!」

「相変わらずお前は、こういうの考えるの得意だよな」と闇王様が人差し指で私の額をちょっと突っついた。

 痛いジャマイカ!

 でも、闇王様も嬉しそうだ。


 これで鳥人コンテスト、上手く行けばいいなぁ。


 ペペ君は相変わらず、私の方を尊敬の眼差しで見て来る。

 うううう、その目がこっちには眩しすぎるんだよぉぉぉ。


 翌週月曜、ひよこクラブを中心に鳥人コンテスト出場チームの登録を行った。

 フェリーペがお兄さんっぽく、ひよこクラブのみんなに説明していたり、もうひよこクラブのみんなを見ても違和感ないくらい馴染んじゃってるし、私たちの最後のイベントに向け良い雰囲気が醸成されつつあるよね。


 結局、例年通り数多くのチームが参加を希望したが、早い者勝ちで登録を終了した。


 参加者の数を見て、漸く胸をなでおろす事が出来た。

 問題は、参加希望者の中にイベントクラブが居た事だ。

 皇子がわざわざ並んでいたのだ。


 闇王様に態々学食に来てもらい、皇子を学食の端っこへ連れて行ってもらった。

「申し訳ないが、イベントクラブさんの参加を認めるわけにはいかないな」

「どういう事ですか?」

「前回のミスコンで、不正があったと学生たちは思っている。実際にあったかどうかではなく、学生たちの多くが不正はあったと思っている事が問題なんだ」


「ふむ、でもこれはミスコンではなく鳥人コンテストですよね。別のイベントです。我々が出場することに何の不都合もないはずだが?」

「いや、不都合はある。こちらのイベントにも不正があると思われてはたまらないからな。もう一度言う。実際に不正があったかどうかではないんだ。生徒の多くが不正があったと思ったままという状態が問題なんだ。せめてそちらのクラブが不正は無かったと発表し、それを皆が納得できる形で提示してくれていれば、オレとしても君たちの参加を止める事はなかったのだが、今言った通り、この状況であれば、オレとしては参加を認める訳にはいかない。すまんな」


 他国の皇子に対してなのだが、闇王様は敬語で話さず、友達に内緒話をする感じで説明をした。

 それと闇王様の方が学年が上だと、この話し方で相手に分からせた感じだ。

 結局、皇子は鳥人コンテストへの参加をしぶしぶ断念してくれた様だ。

 折角、クイズまでして学生の士気を高めたんだから、イベントクラブにはしゃしゃり出て欲しくないのだよ。本当に。

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― 新着の感想 ―
これが皇帝になったら 内乱待ったなしやなーw
帝国の宰相さんが意図したような良い学びが出来なかったねぇ皇子様。 問題児(姫)の娘なんかをつけちゃったばっかりに
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