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そろそろ私たちも鳥人コンテストの準備に入る時期が近づいており、その準備が始まったら錬金術クラブの即売会の準備が滞ってしまうのは今までの経験上分かっている。
だから5人とも急ピッチでドールハウスや馬車のミニチュアを作りまくってる。
次の夏の即売会が私たちの最後の即売会だ。
4年生は出品しないからね。
鳥人コンテストや即売会、期末テストが終れば、いよいよ夏休み。
その後は事前に学園に提出する研修先での修行になる。
もちろん学園に残って先生に色々と教わる子も居るには居るが、数は少ない様だ。
私達あややクラブの面々も全員学園の寮から学園に通う事はなくなるだろう。
そんなこんなで4年生なったらこの5人で顔を合す事も少なくなるだろう。
メグが王都の洋装店で研修をするのでしょっちゅう会えそうかなと思ってみたけれど、自分の方があっちこっちのホテルへ行かなければいけないので、やっぱり会えるチャンスは少なくなるだろうなぁ。
寂しい・・・・。
ランビットはホテルでの就業を考えてくれるってこの前言って来た。
ただ、来年、つまり4学年中はスイカズラ工房で研修をさせてもらう手続きも済んでおり、その研修を体験してから決めても良いかと言われたので、そこはOKを出しておいた。
だってウチのホテルはまだどこも開業していないしね。
一度、錬金術工房で修行をすればランビットの自信にも繋がるし、ウチを職場として選ぶ際に一度錬金術工房がどんな所なのか経験していれば踏ん切りがつきやすいだろうしね。
そうそう、闇王様とアドリエンヌ様の婚約が夏休みに入ったら公表されるはずだから、お祝いの品も仕上げておかないとね。
ちょこちょこみんなで作ってたから、とっても素敵な品になりそうなんだよ。
特に、闇王様用のインクスタンドは渋い皮で装丁してあって、インクを入れるガラス瓶もエンブレムが入っているからそこはかとなく上品だしね。
もちろんアドリエンヌ様の園芸ハサミも試作を重ねているんだけれど、切れ味がイマイチなんだよね。
こっちはもっと試作品を作らないとだね。
そうこうする内にミスコンの日が来てしまった。
この学園の平民は貴族の1/4くらいしかいないし、その中で女子は本当に少ないのだ。
私たちの学年ではマリベルとナナ、勇者様と私の4人だけだ。
他の学年も似たり寄ったり。
そんな中、貴族クラスの女子たちは候補者になるのを軒並み断って来たと言う事は、ほとんどの候補者が平民女子って事だよね?
どうするんだろう?
会場はスポーツエリアに設置されたステージとその周りに張り巡らされた柵の内側になる様だ。
この柵の中へ入る時に、赤と青のボールを一つずつ手渡された。
音楽クラブがファンファーレを演奏し、みんなの視線がステージの方へ。
皇子がステージの上に立った。
「学生諸君!第一回ミスコンに参加してくれてありがとう!この学園で一番の美人と美男を皆で選ぶイベントだ。女子の候補の中から君たちが一番美しいと思った人の前に設置されている箱の中へ赤のボールを、一番美男だと思った男子の前の箱に青いボールを入れてくれ。まずはそれぞれの候補のスピーチまたは特技を披露してもらって、候補者の魅力を確認してくれたまえ。それではここに第一回ミスコンを開催する」
音楽クラブが景気の良い曲を奏で始めると、拡声器を通してアナウンスが始まった。
「みなさん、ようこそ、ミスコンへ。では、まず男子の部を開催します。最初の候補は4年生のエドワード様です。特技として剣舞を披露して下さるそうです。それではお楽しみ下さい」
恐らくこのエドワード某は貴族なのだろう。
アナウンスが一環して敬語であったので、簡単に予想が付く。
果たしてエドワード某が着ているのはクリサンテーモの青い制服だ。
貴族、それも高位貴族である事は確定だ。
確かに綺麗な顔をしているし、背もスラっと高い。
ピンクの髪を後ろで縛っており、剣舞も止めと早い動きがはっきりしていてスパっスパっと言う感じの舞だ。
うん、綺麗だ。
男子の部は殆どが貴族、それもクリサンテーモの学生みたいで、青い制服が多かった。
闇王様の番になると黄色い声が「「「きゃぁきゃぁ」」」と盛大に沸いていて、スピーチが聞こえないくらいだった。
続いて出て来たのはセシリオ様だ。
闇王様の黒髪と対比をなす、銀髪なのでさっきまでの雰囲気とガラっと変わった。
セシリオ様は有名な恋の詩を朗読した。
もちろん女子学生のウケは頗る良い。
顔を赤くしている子も何人か居た。
続いてフェリーペが出場の番だ。
平民なので青い服ではない。
でも、一般の白い制服も想定させない様に黒っぽい上下で、ベストが赤というお洒落ないでたち。
靴下もチラ見せ的な感じで、ベストと同じ赤なので、トータルコーディネイトが出来ていて更にお洒落なのだ。
特技は点心の早食い。
頼まれたんだよね~。
熱々の点心をたくさん作ってって。
でも、フェリーペの凄い所は、自分が早食いする前に適当に会場にいた3年の男子から有志を募って1人をステージに上げ、自分と競争して食べてくれる様にした事だ。
一人で食べてもその凄さは分かりづらいが、2人並ぶとその違いが良く分かる。
うんうん、魔法障害物競争と同じだよね。
熱々なので、口の中を火傷しながら早食いする事になるんだけど、普段から点心を食べなれているフェリーペはあっさり山盛りの皿を食べつくす。
対する有志は、熱さに慣れておらず、一つ食べるのがやっとだった。
今まであややクラブで数々のイベントを熟して来ただけはある。
見どころを作るのが上手い!
元々フェリーペは、「俺が候補になったとして、クリサンテーモの人たちには負けるからな。お笑い枠って言うんだっけ?それで行くよ。にやり」なんて言ってたんだけど、見事その役割を果たしたね。
今日一番ウケてたよ。




