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料理魔法なんて魔法あったんだぁ  作者: 花明かり
天色の章 <後半>
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「障害物競争が終ったから、何か憑きものが落ちた感じだなぁ。平和だぁ~」

 よもや闇王様の口から「平和だぁ~」なんて間の抜けた口調でそんな台詞が出るとは思わなかったのもありびっくりし、次いでクスクス笑いを堪えるのが難しい事態に陥った。

 でも、勇者様は健在で、隠そうともせずクスクス笑っているよ。


 ミスコンはウチのイベントではないので参加するしないは各自の自由だし、準備する必要もないし、鳥人コンテストまではまだ日数があるし、週明け火曜日、あややクラブの部室の中は少しデローンとしたまったり感が居座っている。

 まぁ、偶にはこういうのも良いよね。


 私はホテルの建築の事や、レストランでの研修や、お医者さんの応急手当講座、モナミの容態の確認と週末は結構忙しいので、週日にデローンとダラける事が出来るのは地味にありがたい。


「トランプ大会でもするかぁ?」

 闇王様の一言で、男子たちが作戦会議室にあつまり、早速トランプで遊び始める。


 セシリオ様はどうしても読みたい本があると、図書コーナーに籠っている。


 ボブは途中までトランプ大会に参加していたけれど、やはり錬金術クラブが気になると、クラブ活動のある日ではないのにあっちの部室へ行ってしまった。

 おやつを食べてから行けば良いのにって思ったら、何もなかったらすぐにあややクラブの方へ戻るよと言いつつ部室を出て行った。

 やっぱり部長って陰に日向に部員の様子を確認したり、やらなければいけない事が多いんだろうなぁ。


 さて、今日のおやつ、何にしよう。

 偶にはアドリエンヌ様にも休んでもらって飲み物から作ってみようかな?


 ココアなんてどうだろう?

 私のスキルで呼び出して温室で育てたカカオ豆が無いと飲めないから、珍しいと思うしね。

 みんなチョコレートも好きだし、ココア、良いかも。


 ココアに合うおやつ・・・・オレンジピールとかマシュマロ・・・・そうだ!両方を入れたクッキーなんてどうかな?

 大盤振る舞いでナッツも砕いて入れちゃう?

 うん、美味しそう。

 

 早速作ってみました。

 ナッツバーっぽいモノが。

 ところどころにマシュマロが入っていて、オレンジピールで味のアクセント。

 試しにココアを飲みながら齧ると、すんごく合う!


 2階のアドリエンヌ様に声を掛け、勇者さまに手伝ってもらってダイニングテーブルにおやつを並べる。


「おやつですよ~」と声を掛けてもトランプ組は一勝負終るまでは動けないとか宣ってなかなか来ない。

 む~。いいよ、食べないなら私の寮の部屋へ持って帰ればいいだけだもんって小声で言ったら、ちゃんと聞こえてたみたいで、すぐに来たよ。


 今日はお茶にしない事を前もってお伺いしていなかったので、こっそりアドリエンヌ様に聞いてみた所、「紅茶を淹れるのは好きだけれど毎日でなくていいでしゅわよ」と言う答えが返って来た。

「今日は偶々ココアって言う飲み物にしましたけど、また明日からはアドリエンヌ様の美味しいお茶をお願いします」と言うと、眩しいくらいの笑顔が返って来た。


「このクッキーに入ってる白いのって前にも別のお菓子に入ってた覚えがある。美味しいな」とか、「クッキーをこのココアに漬けて食べると美味しいよ」とザお貴族様ズには出来ない食べ方を提案してくる者が居たり、概ね好評だった。


 おやつが済むと、私は各ホテルの名物料理を考える事にした。

 こういう何もしなくても良い時間は少ないからね。

 そう思っていた時が私にもありました。


「リア、ドールハウス、作るよ~」

「は~い」

 学年末で販売するドールハウスの部品作りや絵付けなんかで結局いっぱい働くことになり、部室の2階の錬金術の装置に魔力を通すのを勇者様と二人でかわりばんこに担当する事になった。

 フェリーペは馬車の模型作りに真剣な顔になっており、ランビットは全員で作らなければならないドールハウスの部品の管理をしている。

 今日は何を何個作らないといけないとか、あの材料を取り寄せないとねとか。

 ランビットは本当に優秀なんだよね。


「ねぇ、ランビットは将来錬金術工房の親方になりたいの?」って思い切って聞いてみた。

「う~ん、本音を言うと親方になって自分の工房が欲しいけど、僕には魔力が無いから親方になるのは無理だと思うんだよね。出来るとしたらどこかの工房の下請けで設計図を引くとか、工房に所属して工員となる事になるんだと思うよ」


 流石、ランビット。

 自分の出来る事、得意な事をちゃんと理解していて、それをどう将来に活かそうかちゃんと考えているみたい。


「あのね、私、大公様の宿題で高級宿、ホテルを複数建設してるでしょ?」

「ああ、この前言ってた、そこで働かないかって事?」

「そう。ランビットにしてみたら100%錬金術だけのお仕事にならないから魅力的な仕事には思えないかもしれないけれど、考えてみて。ランビット専用の魔力をたぁ~っぷり持った秘書を一人付けるし、仕事としてはウチ専用の新しい装置を開発して作ってもらいたいのと、各ホテルの管理をして欲しいの。各ホテルには支配人を置くから、例えば各ホテルの売り上げとか経費の管理、スタッフの管理はその支配人がする事になるんだけど、ランビットにやって欲しいのは全てのホテルで導入しなければいけないシステムを作ったり、ウチ専用の錬金術の装置の特許取得の手続きとか、それをどの様にどのホテルから導入するかと言った事を考えたりして欲しいの」


「え?魔力たっぷりの秘書を付けてもらえるの?」

「うん、まだ、求人を掛けて無いから実際にはどれくらいの魔力持ちが来てくれるかどうか分からないけれど、ランビットが錬金術の装置を仕事で使いたい時は、秘書の魔力を使ってもらう事を考えているの」

「おおおお!」

「考えようによっては工房の親方みたいな感じかなぁ。もちろん自分の工房は持てないけれど、ウチのホテルでしか使わない余所には知られたくない装置は全部ランビットが作る事になるし、ウチのホテルの中でその部門のトップになる事も可能だから、将来的には親方と同じくらいの地位に就けると思うよ」

「おおおお!」

 ランビットの目がキラリと光った。

 これは脈があるのかな?

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