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料理魔法なんて魔法あったんだぁ  作者: 花明かり
天色の章 <後半>
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 週末になり、ガルフィールドさんから招集が掛かった。

 ダンテスさんと父さんと私に。

 そう、鉄道についてだ。


 土地はほぼほぼ全部の予定地の購入が終ったらしい。

 流石、大公様、仕事が早いし正確だ。

 何でも王様の力も借りたらしい。

 それでもまだほんの一部購入が終っていないらしいけれど、それはゴンスンデ方面なので、先にヤンデーノまでのルートを整えている内に交渉が終るだろうとのこと。


 日本のリニアカーの様に一つの町が強硬に反対して何年も敷設出来ないって可能性が無いわけでは無いが、王制なので、王が強権を発すれば最悪何とか土地は取得できるはず。


 まずはモリスン村とヤンデーノの間に線路を敷くそうで、来週辺りから工事を開始するとの事。

「レール製造はモリスン村からヤンデーノまでの区間分は出来上がったから、工事が始まるのは良い事なんだが、車両の方は一切手を付けていないんだ。前に冷蔵車とか冷凍車って言ってたから、それがどんなモノなのか一度良く話し合った方が良いと思ったんだ」と、ガルフィールドさんがこの会議を招集した理由を説明してくれた。


「それでは、私の方から説明させて頂きますね」

 だって、私しか冷蔵車とか冷凍車とかがどんなモノか分からないだろうしね。

「馬車の荷台の部分を箱型にします。錬金術を使って中を冷やす様にします。冷蔵車は中のモノが凍らない程度に温度を下げ、冷凍車は中のモノが凍る様にします。運ぶ物の量にもよりますが、1つの荷台を2つに分けて、冷蔵部分と冷凍部分にしても良いですし、大量に運ばなければいけない様であれば、それぞれ独立した荷台にすれば良いと思います」と、冷凍車の外見と内部のクロッキーをササっと描いてみせた。

 だって視覚的に説明した方が理解が早いからね。


「これ、今の所馬に引かせる心算なんだが、このツルツルのレールの上を走らせるので台車が多少重たくても問題ないって言ってたよな」

「はい。なので、まずはレールに合ったシャーシを作り、普通の馬車の荷台を上に付けて見て下さい。その上にドンドン物を載せて馬が嫌がらない重さを測ればいいんじゃないかと思います。後、馬が運ぶのであれば、飼い葉とか水を与えるための場所もレールのすぐ横に等間隔で作って置くべきだと思います」


「アウレリア様は馬ではなく魔石で動かす事を考えていましたか?」

「私はどちらでも良いと思っています。要はどちらの方が効率的に安く物を運べるかなのです。ただ、馬は疲労が溜まれば効率も落ちるでしょう。でもそれも、替え馬が出来るのであれば問題にはならないでしょうし、鉄道を動かすのにどれくらいの魔石がいるのか分からないので、馬とどっちが高くつくのかを一度検証してみない事には何とも言えません。ああ、後、馬は生き物なので落とし物が必ず線路上に落とされるでしょう?なら、定期的な清掃が必要でしょう。その清掃に係る人手や経費も考えないとですね」


「ふむ」

 ガルフィールドさんは両腕を胸の前で組んで思考を始めた様だ。

 暫く考えた後、「今でも馬に引かせている乗合馬車なんかは行き来しているわけで、それで十分事は足りているんだ。まずは普通の荷台を用意し、車輪を鉄道用に改造して馬に引かせる。要所要所に馬が水を飲める様に小さな水飲み場を作れば、飼い葉は荷物として荷台で運べば良いし、何なら2台の荷台に分ければ、それぞれ別の馬に引かせる事も出来る。まずは馬でやってみた方が御者を育てなくても良いし、いいんじゃないか?」


 なるほど、設備だけではなくそれを操作する人も育てる必要性の有無もあるのかぁ。

 盲点だったよ。

 魔石でってなるとまるっきり新しい設備って事になるけれど、馬車を決まったレールの上で走らせるだけならば、今いる御者を雇えば良いんだものね。

 うん、それ、良い案かも。


 と言う事で、ガルフィールドさんの提案に乗っかる形でやってみる事にした。

 シャーシの上に載せる冷蔵車と冷凍車はスイカズラ工房に製造を頼む事にした。

 まずは冷蔵部分を多めに取った冷蔵・冷凍部分が1つの荷台に纏まった車輛をデザインしてもらう事になった。

 その方が1つの魔石で2つに分けた部屋を冷やす事が出来るからだ。

 冷凍庫の方は最初に氷を上部に並べる作りにするそうだ。

 そうしたら少ない魔力で氷を維持できるらしい。

 まぁ、その辺の仕組みについてはプロであるスイカズラ工房さんに任せておこう。


 いよいよこの国初の鉄道の工事が来週から始まるのだが、私は工事現場には顔を出せない。

 学園があるし、週末にモリスン村まで行って帰るなんて短時間で出来ないからね。

 なので、ダンテスさんが様子を見に行ってくれるらしい。

 本当に、ダンテスさんには足を向けて寝れないよ。

 

 冷蔵車なんかをスイカズラ工房に頼んだので、先日の話し合いにあった普通の錬金術で作れる物はスイカズラ工房へ頼むと言う言葉はちゃんと守られた事になり、ボブパパもニコニコ顔で引き受けてくれたと、後日ダンテスさんから話があった。

 後、ボブん所には魔石で動かす鉄道の駆動機関の共同開発もお願いしたそうだ。

 魔石の方が安上がりなら運転手を養成してでもそっちの方が良いものね。

 やっぱり生き物には体調とか天候とか色々な不確定要素が付きまとうものね。


 車輪のついてるシャーシの部分はガルフィールドさんが作るので、また忙しくなるとガルフィールドさんの顔色がちょっと悪い。


 1台の車輛で必要な資材や材料を全部運べるかな?という所は懸案事項として残っているんだけれど、最初の年は4つのホテルしか開業しないので、これで良いだろうと思う。

 もし、もっと大きい冷蔵庫や冷凍庫を台車に載せる様になるのなら、今回作ってもらう冷蔵庫等はホテルのレストランで使って、鉄道用には新しい独立した冷蔵庫と冷凍庫を作ってもらえばいいんだものね。

 うん、大丈夫!

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― 新着の感想 ―
道路の舗装とベアリングの開発を先にしたほうが色々と応用が利きそうだけど。 まぁ主人公が輸送と言えば鉄道!って思いこんでるんだろうけど。
いまいる御者さん使うのは失業対策としては良さげ
本来鉄道輸送とは大量輸送が目的 悪路対策は土魔法で、しっかり地盤を固めた方がコスト安なのでは?
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