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料理魔法なんて魔法あったんだぁ  作者: 花明かり
天色の章 <後半>
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 午前も午後も問題無く複数のチームが競技を行った。

 2つレーンが並んでいる事で、少なくとも2チームの間でどちらが早くゴールするかというのを視覚的に楽しめるので臨場感はばっちりだった。


 インタビューに結構時間を取っているので、競技と競技の間の準備に十分時間が取れたし、ベレンちゃんの質問が良いのか、みんなの知りたい事がある程度分かるので楽しめた。

 一つのチームに長々と質問をする訳にはいかないので、どの質問をするかを選ぶのかはベレンちゃんの手腕に掛かっているのだけれど、初めてやってるにも関わらず、良くやってると思う。

 私ではベレンちゃんの様に的確に質問は出来なかったと思う。


 大きなカラフルなストップウォッチがあるだけでなんとも言えない新しいモノ感が良く出ていて、ガルフィールドさんが高級ホテルを見た時に言っていた未来感、この言葉はストップウォッチの方がピッタリくる気がするよ。

 なんてったってこの世界には無いプラスチックだからね。

 発色度が全然違うしね。


 全てのチームのゴールタイムを一覧にして観覧席から見れる様にしているのがまた良かった様で、ちょくちょく観覧席にいる生徒たちが声高に、次のチームが暫定トップのチームに勝つには何分何秒以内にゴールしないととか、どこどこのチームは土魔法だけで構成されていたからあのタイムだとか、女子のいないチームの方が早いだの、自分たちが競技をしている、或いは解説者になった気で意見交換を活発に行っている。

 こうなると、このイベントも成功と言って良いと思う。


 各チームの紹介画像を撮影する時、どの障害物のクリアに一番力を入れているかという聞き取りも行っていたので、競技中に画像保存板に撮り込んでいるのはその時に申告された競技のみ。

 インタビューの時に画像として投影する事も考えたが、両レーンの準備のために可成りの数のスタッフがウロチョロしているため、撮影だけはして未だ投影はしていない。


 投影は、最後に優勝チーム発表前の全チーム紹介時に投影する予定だ。

 つまり、毎回インタビュー時にチームメンバー紹介画像を流しているが、それと同じ画像と次いで競技中に1枚だけ撮った一番力を入れている障害物に取り組んでいる時の画像の2枚を、全チームを振り返る時に使う事になっている。

 日本の大物タレントがやっていた仮装大賞で、優勝発表前に合格した全てのチームが放射線状に体育座りをして、どのチームがどんな仮装で勝ち残ったかを早足で思い返すあのやり方だ。

 まぁ、まるまるパクリだな。ニヒヒヒ。


 このイベントは12チームしか参加していないので、タイムオーバーしたチームも最後の振り返りでは再度紹介され、撮影した画像板を無駄にする事は無い。


 タイムオーバーしたチームも4チームあった。


 イベント全体として、チームのメンバー構成で一番多く見られたのは2つタイプで、土属性を使えるメンバーのみとか、ほぼ全属性を揃えているチームであったが、中には僅かながらも土属性ゼロのチームもあった。


 平均台では魔法で補助台を出す事なく、身体能力だけで渡り切ったチームがあったり、水地獄も濡れる事を屁とも思わず、そのままずんずん泳いで行くチームがあったり、攻略方法はチーム毎に違いがあり、観覧席も大いに沸いた。


 とうとう最後の2チームが競技を終え、その2チームのインタビュー中に、インタビューエリア前の少し広い場所に某仮装番組の真似をして扇状に全チームに並んでもらった。


「みなさん!全12チームの競技が終りました。優勝チームはたった1つのチームですが、その前に参加をしてくれた全てのチームの振り返りをしたいと思います。盛大な拍手で各チームの健闘を称えて下さい。まずは3年生中の1組チーム!」

 該当チームの皆がその場でぴょんぴょん飛び上がった。

 大型スクリーンにはインタビューの時にも投影したメンバー紹介の画像、そしてしばらくしてその画像はこのチームが衝立をアースニードルで撃ち抜いた画像が大映しされた。


「土属性だけのメンバー構成で、衝立も絶妙なコントロールで破ったチームです。クリア記録は6分1秒!」と画像の解説をすると、観覧席から大歓声が起こった。


「続きまして1年生平民チーム」と順番に出場チームの紹介と各チームの名場面を画像と一緒に振り返った。


 全チームの振り返りが終った時、いよいよ第三位から発表だ。

「第三位」

「パパパパー」

 私が第三位と言うと、ラッパ担当のハミル様が軽くファンファーレの様に音を出してくれた。

 これも事前の打ち合わせで決めてあったことだ。


「4年生上級組チーム!記録5分41秒!」

「「「「わぁぁっぁあぁぁぁぁ」」」」

 観覧席から歓声と拍手が惜しみなく贈られる。

 アドリエンヌ様から花束が進呈される。


「第二位」

「パパパパー」

「4年生平民チーム」

「「「「わぁぁっぁぁぁ」」」」と第三位の発表と同じ形で発表を済ませ、ひよこクラブのペペ君から花束が渡された。


 いよいよ一位だ。

 観覧席の皆もインタビューコーナーの横に、全てのチームの記録が記載されているので、どのチームが優勝かは知っているのだが、やっぱりこういうのは雰囲気なんだと思う。


「それでは皆様お待ちかねの第一位!!」

「パパパパー」

 態と一泊置いてから「優勝は4年生中の2組チームぅぅぅ!!」

「「「「わわわわぁぁぁぁぁぁぁぁぁっぁぁぁぁ」」」」

 今までで一番大きな歓声が上がった。


 闇王様がトロフィーを進呈し、アドリエンヌ様が花束を進呈した。

 今回のトロフィーは鳥人コンテストとは似ても似つかない、この障害物競争用のトロフィーをランビットがデザインしてくれたのだ。

 優美な線が多用されている美しいガラスのトロフィーを4年生中の2組チームのリーダーが空に高々と掲げ、更に歓声が大きくなった。

 この瞬間に怪我人を一人も出す事なく、無事、障害物競争を終える事が出来たのだ。

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