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料理魔法なんて魔法あったんだぁ  作者: 花明かり
翡翠色の章 <後半>
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28

本日はこのエピソード以外にホテルのフロア図もアップしております。

つまり2話分アップです。

ネタバレになるかもなので、嫌な方は飛ばして下さい。

でも、結構な時間を掛けて作ったフロア図なので、見て頂けたら嬉しいです。


作者の励みになりますので、ブックマークや☆マークをよろしくお願い致します。

 現場の方たちへという事で、シチューを作って配った。

「おおお!これと同じ物をフローリストガーデン光で出してるんですかい?」

「めちゃくちゃうめぇぇぇ!」

「うぉぉぉぉ」

 今まで私たちを遠巻きにし声を掛けて来る事のなかった作業員たちが、これまでの心の垣根も何のその、シチューを片手に気軽に話しかけて来た。

 それ程嬉しかったのだろう。

 中には感動のあまりただ叫んでいるだけの人も居た。


 ナイトル村ではまだ基礎部分に毛が生えた段階までしか工事が進んでいないので、寒い中外での作業だ。

 粗末な木の椀に注がれたシチューであっても体も温まるし、棟梁が言っていた様に名高いフローリストガーデン光の料理を面倒なマナーを気にせず口に出来ると言う事でテンションの上がり方が半端無い様だった。


 ナイトル村は小高い丘の上に湖に面した方は全面大きな一枚ガラスを何枚も張ったロビーになる予定だ。

 各客室もレイクビューの方は窓が大きめだ。

 もちろん温室も大きな物を作る予定だし、ガラスは山ほど必要なのだ。


 ナイトル村は建物の左端に玄関があり、そこを入るとすぐ左の壁に這う様に設置されているのがフロントなのだが、そこからはロビーの所の一枚ガラスを通して湖がドーンと視界に入る様になるはずだ。


 そしてロビーは1階で湖が見える側一面になる。

 実は客には朝食もロビーで摂ってもらう予定なのだ。

 湖側でない方には小さな薬局とコンビニ、そして調理室。

 最初はコンビニはレセプションの奥にと考えていたけれど、レセプションそのものを左の壁にひっつけた感じに変更したので、コンビニは馬車寄せ側の空きスペースを利用するつもり。


 4階がバーや夜の食事の為のレストラン、カードルーム、エステ等になる。

 あ、ちっちゃな占いの部屋も作るんだった。

 折角タロットカードを作ったんだから、活用しないとだね。

 その他の階は客室だ。


 馬車の駐車場は本館の右側に別館として建てる予定。

 もちろん馬房付きだし、二階は御者たちの宿泊部屋になる。


 温室や従業員用の寮は敷地内にあるが、本館からは見えづらい様に工夫してもらう心算だ。

 土地は広いから問題無いはず。

 最終的には湖横までの散歩道やBBQ広場も建ててもらうけれど、まずは本館だね。


「アウレリア様、ガラスの用意は今日中で終わりますか?」

「はい、ダンテスさん。BBQ広場の方にはガラスが必要な物は無かったと思いますが、どうだったか今一生懸命思い出している所です。BBQ広場でガラスが必要なければ、今日中に終わります」

「BBQ広場はもっと後にならないと工事しないので、万が一ガラスが必要になったとしても、開業間近の用意で十分です。今回の視察旅行では連日スキルを使って魔力が枯渇状態に近い事も多かったですね。本当にお疲れ様です」

「いえいえ。ダンテスさんの方こそ、毎回私の移動に合わせて頂いて、本当にありがたいです。自分たちだけで乗合馬車での移動だと今回の2~3倍の時間が必要だったと思うし、何より工事についての手配等、ダンテスさんでないと分からない事が多かったので、一緒に来て下さって助かりました。ありがとうございます」


 ダンテスさんと私でお礼合戦をしていたら、父さんも途中から参戦し、「いやぁ、本当にありがたいです」と米つきバッタが2匹から3匹に増えた。

 こちらの世界ではお辞儀と言うのは会釈程度のモノを貴族の使用人が貴族にする程度なのだが、私が前世のノリでお礼を言いながら軽く頭を下げたものだから、ダンテスさんたちも頭を下げた様だ。


 これで明日は王都に向けて移動を開始する。

 王都のホテルはまだ用地も取得していないし、大公様が旅行する時に使う訳ではないので急がないのだ。

 冬休みもまだ1週間以上残っているので、帰宅したら今度こそゆっくりしたい。


 しかし、モリスン村とヤンデーノのホテルが箱だけでもかなり工事が進んでいたので、自分で設計していたにも関わらずぼんやりとしたイメージしか持っていなかった事もあり、どんな感じのホテルになるのか形となって目の前に突きつけられてすごくヤル気が出て来た。

 だってどっちのホテルも特徴があって素敵なんだもの。


「モリスン村もヤンデーノもお前が設計したのか?」と、ガルフィールドさんが米つきバッタ3匹の横に来て私の方を見た。


「はい。でも設計と言っても大まかな図面と出来上がり予想図の絵を描いただけです」

「それにしてもなんとも未来的な設計だな」

「え?未来的?」

「そうですね。アウレリア様が設計されたフローリストガーデン 光も建物そのものは中級貴族の館ですが、その庭や建物の中、温室などは未来的ですよね」と、ダンテスさんまでが『未来的』と言う言葉に反応したみたい。


「未来的って?」

「例えばだ、王都のレストランもだが、こんな大きな窓ガラス、言ってみれば壁がガラスだよな?こんな建物は今まで見た事がないぞ。後、宿にしたってレセプションだっけ?泊まるのを受け付けるだけなのに広いスペースを取ってたり、食堂とは別にロビーだっけ?茶を飲むだけのゆったりしたスペースがあるし、全く新しい規格外な建物、いや、宿屋だと言っていいぞ」

「ガルフィールド様のおっしゃる通りでございます。アウレリア様にご相談されて既に発注しているリネンにしたって今までの宿屋では旅をする者が持参するのが当たり前なのに、ホテルではそれらは全てホテル側が用意するとか、宿屋の中に薬局があったり、ゲームをする場所があったりと驚く事ばかりです。大公様も早く準備を終らせて泊まってみたいと普段からおっしゃっていますよ」


 私にしてみたら前世のホテルの劣化版の様に思えるのだが、二人にとっては近未来的な建物に見えた様だ。


 明日はいよいよ王都へ向かって出発するのだ。

 後、数日で母さんとエイファに会えるのが今から楽しみだ。

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