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料理魔法なんて魔法あったんだぁ  作者: 花明かり
翡翠色の章 <後半>
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 デ・フピテル工房さんはあれから直ぐに彫像作りに入ったらしい。

 運ぶのが大変らしいのだが、作品そのものは王都にある工房で作るらしいので、いつでも見に来て下さいと言われたので、今度見に行ってみよう。


 噴水と言えば、ヤンデーノだけは大きな庭園を造る事が出来ないのでパティオなのだが、空中庭園の所に小さ目の噴水を設置することにした。

 1階のパティオの壁は、スペインのコルドバのパティオを真似て、小さな鉢植えを壁にいっぱい吊るす様にした。

 これはあややクラブの台所横のパティオと同じになるのだが、違いがいくつかある。

 まずはヤンデーノのホテルのパティオはあややクラブの台所横と比べれば何十倍もの広さなのだ。


 1階には客室は造られないけれど2階から上にある客室の窓からはパティオが見えるのも、あややクラブとは違う所だね。


 そしてあややクラブの方は部員しか入れないけど、ホテルの方は不特定多数が出入りできるところが大きく違うかな。

 これは、セキュリティーのためにもホテルのパティオへはレセプションの横あたりに一つだけ出入り口を作って管理した方が良いかな?

 避難経路確保の為に、やっぱり出入口は2箇所?

 う~ん、悩むねぇ。


 ホテルの方は、4階に空中庭園を造る予定だ。

 あややクラブの方は2階にテラスがあって、あっちも空中庭園ではあるんだけど、ホテルの方は空間に浮いてる感じになるので、文字通り空中庭園になっちゃうね。


 建物内側のロの字部分の空間に渡した十字の橋を空中庭園にするので、1階にいると常にどこかが空中庭園のせいで出来る日陰になるはずだ。

 そこで、この世界でもタイルがあるとわかったので、モザイクを1階の壁や床に張り巡らせ、細長い池を両端に造ってもらうことにした。

 そうすると日中で天気の良い日は、常にどちらかの池に陽射しが入り、水がその光を反射するじゃないかという素人考えだ。

 でも、暑苦しくならない様にひんやりとした幾何学模様のタイルを腰の高さまでの壁に、そして床は勇者伝説の場面を象徴的に表すモザイク等を敷き詰めてもらうということでダンテスさんや大工の棟梁、デ・フピテル工房と話は付いている。


 壁のタイルの色は青が基調で、壁に吊るすたくさんの鉢も同じ青にしてもらうので落ち着いた佇まいになると思っている。

 ところどころポイントとして黄色の鉢があった方が可愛いかも?

 土の無い庭園、空中庭園の2つでヤンデーノのホテルは他のホテルとの差別化を図った形だ。


 父さんは庭造りの監督のため、私が学園の寮にいる間も、ちょくちょくナイトル村やモリスン村のホテルを視察してくれているけれど、どっちへ行くにもポンタ村を通るので、実家に顔を出せるのが嬉しいと言ってくれている。

 お店も忙しい上に、エイファも生まれたばかりで傍にいたいだろうに、結構嫌がらずに視察してくれているのでありがたさしかないよ。


 父さんにも感謝なんだけれど、ダンテスさんには足を向けて寝られないくらい、感謝感謝なのだ。

 タイルだって、モザイクがあればなぁ~という私の呟きを聞き取り、「それは何ですか?」と聞かれたので説明したら、手を尽くして探して来てくれた。

 本当にたわいない呟きとか、その時私が無意識にしている納得できてないという仕草、決してこれ見よがしにしているわけじゃないんだけれど、同じ「はい」と言っていても、その時々でトーンが違うらしく、そのトーンを聞き分けたり、返事をした時に口元を手で覆っていたとか、そういう本人でも気づいていない細かな癖みたいなものを逐一拾って聞き出してくれるのだ。


 正直言って、ウチの母さんや父さんより私の癖については詳しいかもしれない。

 アウレリア癖マイスターの称号を授けよう!

 って、そんな変な称号、いらないよね。あははは。


 でも、貴族に、それも高位の貴族に仕えるって、こういう事が出来ないと務まらないかもしれない。

 そして驚く事に、ダンテスさんは大公様の館の中でも筆頭執事ではないのだ。

 上には上がいるって事だ。

 すんげぇぇ!


 この冬休みで私は全部のホテルを回って大判の一枚ガラスを製造しまくって来る予定なのだが、その時もダンテスさんと父さんは一緒に来てくれるそうだ。

 ありがたや~。


 私のイメージではいずれもなんともお洒落なホテルになりそうだ。

 今はまだ、建物や庭園などに気が行っているけれど、来年辺りからは各ホテルで出す名物料理を考えないといけないなぁなんて思っていたら、「アウレリア様。開業は来年を考えております」なんて言うダンテスさんの爆弾宣言が飛び出して来た!


 え?来年?

 来年って学園の最終学年で、私、まだ学生だよね?

 そんな風に思っていたら、「アウレリア様、4年生は皆さまクラブ活動には出ていらっしゃらないですよね」と聞かれ、それに肯定したら、「それは研究室や工房等で実際の業務や研究を行う為のモラトリアムだからというのはご存知だと思います。つまりアウレリア様にとっては来年から業務を行う事が出来る訳です。卒園する為に論文を書くか、派遣される工房等の評価証を貰う必要がありますが、アウレリア様の場合は、ご自身が受入先でもあるので、ご自分で評価証を発行すれば良いだけです。それよりも、今の段階から学園にいらっしゃるご学友で引き抜きたい方がいらっしゃったら、そろそろあたりを付けてお話等を進めて頂く必要がございます」なんて、もっと大きな爆弾を投下してくれたよ。


 そうかぁ、来年はみんな学園に居るより、外に居る時間の方が長くなるんだった・・・・。

 ランビットはウチに欲しい人材だよ。

 ホテル内のコンビニもフェリーペん所に頼みたいし、ランビットだけでは対処できない大きな錬金術モノはスイカズラ工房に頼みたいし、将来的にはホテルでやる催し物はペペ君に頼みたい。


 これは冬休みが終ったら、真っ先にみんなに声を掛けないとだね。


 勇者様は卒園後、どうするんだろう?

 ゴンスンデに帰るのかな?

 闇王様と愛を育てちゃったりするのかな?

 その場合は王都に住むのかな?


 うぉぉぉ!これは色々と今から考えないとだね。

 ホテルの方も王都の用地はまだ決まってないしね。

 あう~。

 学園のではない宿題が山の様で、押しつぶされそうだ・・・・。

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