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料理魔法なんて魔法あったんだぁ  作者: 花明かり
天色の章 <中盤>
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3

「学園側からOKが出たので、イベント日程一覧を複製して貼り出してくれ。イベントクラブへは学園側が日程調整をしてくれるそうだ。早い者勝ちだそうだ」とニヤリと笑った闇王様の笑顔が黒い・・・・。


 今日のおやつは大根餅とカップに入ったあま~いコーンスープ。

 闇王様の上唇に黄色い泡が付いているのがとっても気になるんだけど、誰も言い出さないのでずっとそのまんま。

 そう思っていた時が私にもありました。


「アドルフォ様、唇の上にコーンスープが付いていますよ」

 そうだった!

 ウチの勇者様に悪気はないんだけど、思った事が直ぐに口から出ちゃうのは変わってないのよぉ~。


 憎からず思っている勇者様からの指摘、それもクラブメン全員の前で。

 闇王様の顔と耳が真っ赤になった。


「このコーンスープ、美味しいけど泡が口についちゃんですよねぇ~。えへへへ」と可愛く追撃をしたのも勇者様だ・・・・・。

 

「ごめんなさい。ナプキンを配るのを忘れてました~」とさささっとキッチンから持って来た、アドリエンヌ様好みの可愛い刺繍の入った黄色のナプキンをみんなに配った。

 これで闇王様の顔が普通の色に戻る事を祈る!


「あ、あああ。ナプキンをありがとう」と、ささっと口元を拭った闇王様は耳だけは赤いまま、ダメージなんか受けてないんだぜという風に、「それで、イベントの事なんだが・・・・」ととっとと話題を変えていた。

 勇者様以外はみんな闇王様の考えを即座に汲取り、「そうですね。魔法障害物競争は初めてのイベントなので、準備が大変そうですね」なんて、わざとらしいまでに話題をイベントに固定した。


「うむ。ドッジボール大会も鳥人コンテストも3回目だし、鳥人コンテストは今年も準備等は学園側がするという言質を取って来た。だから、オレたちは全力で魔法障害物競争の準備に取り掛かる様にするべきだと思う。ロードマップは3つのイベント全てにおいて、責任者をセシリオにする」

「わかった。任せてくれ」


「申請者の登録は鳥人コンテストも魔法障害物競争もフェリーペに頼む。やり方は去年の鳥人コンテストと同じで良い」

「はい、分かりました」


「学内の協力体制、ドッジボールは校医の先生や実行委員会の設立運営、鳥人コンテストの音楽クラブや乗馬クラブ等への協力依頼や調整は昨年と同じ者が、魔法障害物競争に関しては全員がアイデアを出したり、必要と思われる作業の洗い出しをする事にする。幸い、アウレリアがイベント一覧を日時入りで作ってくれたので、それを元に前倒しで作業を進めやすくなっている。全部の力を魔法障害物競争へ注ぐ勢いで事に当たってくれ」

「「「分かりました」」」


 闇王様の一声で、急遽、魔法障害物競争の内容についての案をそれぞれが考えて来る事になった。

 まずはどんな障害物をやるのかをはっきりさせないと、何も進められないからだ。

 学園側からも前もって、どの様な障害物を用意するのか書面での提出を求められている。

 安全面の確認のためにも早目の提出が義務付けられているのだ。

 これもイベントクラブのせいではあるのだけれど、イベントの安全性に学園側、つまり大人が責任を持つと言う事の表れでもあるので、悪い事ではないと思う。


「じゃあ、来週の火曜までに各自、一つは障害物のタイプを考えて来てくれ。それを元に全員でどんな魔法や手段を使えば、その障害物を克服できるかの検証をしたいと思う。以前、話し合って決めた通り、2つ以上の属性、あるいは方法で克服できる設計にする必要があるからな。人数が多ければ多い程、様々な方法を考え付きやすくなると思う。後、メグとアウレリアはイベント一覧を複製して、教室棟の各階に貼り出しておいてくれ」

「「「はいっ」」」


 おやつの後片付けを終えて、アドリエンヌ様にも声を掛けて、女子3人でイベント一覧を写し始めた。

 貼り出しそのものはフェリーペたちがやってくれるそうなので、私たちは同じ物を5枚作れば良いだけだ。

 4枚は教室棟の各階に貼り出すためで、1枚は学園へ提出するため、オリジナルはあややクラブの作戦会議室の掲示板に貼っておくのに必要なのだ。


 5枚の複製を3人で作らなければならないので、アドリエンヌ様に2枚書かせちゃうのは気が引けちゃうのもあり、私が2枚担当しようとちょっと急いで書き込んでいたら、フェリーペが寄って来た。

「なぁ、おい。思ったんだけどさぁ」

「ン?何?フェリーペ」

「お前さぁ、こうやってイベント一覧を作ってるけど『魔法障害物競争』って全く新しいイベントの名前が入ってたら、みんながどんな物か聞いて来るんじゃないか?」

「「「あっ!!」」」


 フェリーペの言う事はもっともだ。

 しかも、こういう疑問に関してはみんな闇王様たちには恐れ多くて直に質問が出来ないからこそ、私達ザ平民ズに質問が集中するのは目に見えている。

 やばいよ、これ!


「う~ん。じゃあ、さぁ、この一覧の中に、魔法障害物競争に関する詳細は12月に発表があるため、事前の問合せには対応しておりませんって書き込んでおいたらどうかな?」

 苦肉の策だ。


「それだけでみんな質問を控えてくれるかなぁ?」

 ポツンと言ったランビットの一言にザ平民ズは思わず頷いた。


「じゃあ、さぁ、12月の公式発表前に魔法障害物競争について質問をして来た者は自動的に参加資格をはく奪しますっていうのも追記しておいたらどうかなぁ?」

 段々、私の発想が強硬になって来た。


「まぁ、しゃ~ないなぁ。それくらい強く書いておかないと質問攻めにされそうだものなぁ」

 最初、フェリーペはちょっと引いた感じだったんだけど、自分にも直接害があるかもと思い至ったのだろう、最後には同意してくれていた。

「だよね~。でさぁ、本当に質問して来た人が居たら、その名前を書いた紙を一覧表の下に貼り付け、参加資格はく奪者として周知させちゃえば、最初の犠牲者以外はみんな質問を控えてくれるんじゃないかなぁ~」

「リアの案はかなりの強硬手段だけど、効果はありそうだよね」と勇者様は他人事の様に言ってるけど、君だって質問攻めにあえば私と同じ様に思うはずだよぉぉぉ。


 私たちザ平民ズの会話を横で聞いていた闇王様が「よし!オレが責任を持つ。その二言を追記しておいてくれ」と、格好よく指示を出してくれた。

 こういう所は流石なんだよね、闇王様。


 女子全員でこの脅迫めいた文言を全部の一覧表に書き入れて行った。


 作戦会議室の方では、セシリオ様が定規や色のついたインクでいろいろ紙に書き込んでくれている。

 そう、ロードマップだ。


 ドッジボール大会と鳥人コンテストに関しては昨年度のロードマップの日にちの欄を訂正するだけで済むのだが、魔法障害物競争については全く新しく作らなければならず、何かセシリオ様、ワクワクしている雰囲気なんだよね。

 こういうの作るの、本当に好きなんだね。


 ウチのクラブのメンバーは全員、本当に着々と作業を進めたり、新たな改善点を見つけるべく、良くいろんな事を観察したり、考えていたりするのが凄いよね。うん!

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