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料理魔法なんて魔法あったんだぁ  作者: 花明かり
翡翠色の章<前半>
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8

 船旅は快適?う~ん。歩いたり馬車での移動よりは楽なんだけど、そして他の手段より天候に恵まれれば早いんだけど、それでも船中泊はあまりお薦めできない。

 なんで?

 そりゃもう、絶賛ネズミ天国だからだよ。

 ネズミーランドの様なマスコット的なネズミではなく、所謂灰色の見たら「きゃー!」って叫んじゃう様なそんなおネズミ様だ。


「どうしても船員のための食事が必要で、そのせいで麦は必需品なんだとか。それを好むおネズミ様たちが盛大に繁殖していらっしゃるんですよ」と、この船の調理担当者が言っていた。

 寝るのもハンモックだからネズミに鼻や耳を齧られる事はないと楽しそうに言われたけどねぇ、疫病とか怖くないの?

 あわわわわ。


「沈む船からはネズミが大量に逃げ出すんでさぁ。ネズミが住んでいる船ってのは、沈まないって事で水夫の中にはネズミを可愛がってる奴もいるんですぜ」

 船員のおじさんがそんな事を言っていたけど、その水夫さん、素手でネズミを撫でていたりしないでしょうね!!


 これは、大きな街には高級ホテルを作らない方が安全かな?

 下手に海岸沿いに建ててしまうと、ねずみによる疫病とかの心配をしなくちゃいけなくなるかも?

 ウチの国は大規模、中規模の町はほとんどが海岸に併設されているか、そこから少し内陸に入っていて、唯一の例外が王都だ。


 まぁ、ネズミに「キャーキャー」言いながら何とか2日でモンテベルデーノに着いた時、船長からは「お嬢さんは船酔いもなく凄いなって思ってたけど、このくらいのちいめのが床を走るだけでキャーキャー賑やかである意味面白かったぜ」と言われてしまった・・・・。

 こんな事を言われるということは、一応は私の事をお嬢様と呼びつつも、貴族ではないと分かっていると言う事かな?


 モンテベルデーノの港はとても立派な港で、ヤンデーノでは見かけない大型船も停泊していたし、貿易が盛んなのだろう、他国の旗を掲げた船も結構な数見掛けた。


 貿易都市だけあって宿屋も数が多く、都会と言う事もあり高級宿もあった。

 本当ならヤンデーノよりモンテベルデーノの方が高級ホテルを建てやすいかもしれないけれど、既に高級宿があるならば無理にモンテベルデーノに建設しなくても良いのではないかと思った。

 それとヤンデーノでは既に土地を買ってしまったのでホテルを建てざるを得ないのが、ちょっと悔やまれる・・・・。


 その夜、件の高級宿に泊まり、夕食の後、ダンテスさんと父さんと3人で会議を開いた。


「私は、モンテベルデーノには高級ホテルを建てなくても良いのではないかと思っています。理由はこの宿があるからです。もし、ここにホテルを建てるにしても他のホテルを建てた後、最後にして問題無い様に思います」

「う~ん。アウレリア様はこの宿で大公様が満足されるとお考えですか?」

「恐らく、途中の村に私たちが建てるホテルの方がよっぽど高級ですが、この国際港がある町に貴族の方が長逗留されるイメージが浮かばないんですよね。本当の高級ホテルを建てるのなら、モンテベルデーノの街中に作るより、もっと風光明媚な景色を楽しめ、静かな場所で、何なら馬車を定期便として運行して、その高級ホテルからこのモンテベルデーノへ移動してもらい、買い物とかはこの町で楽しんでもらうと言う事も出来ますし・・・・」

「そうですね。長逗留と言う事を考えればそういう案も良いですね。でも、1泊だけして次の朝船に乗る場合の宿泊なら町中、それも港に近い方が良くないでしょうか?」


「ダンテスさんがおっしゃる事も分かるですが、それならばこの宿で事足りると思うんですよね。美味しい料理が出て、居心地の良いベッドで寝る。可能であればお風呂に入れると言ったサービスが期待されると思うんですが、それならこの宿である程度満足のいくのではないでしょうか?」

「ふむ、アウレリア様がおっしゃる事ももっともですね。いずれこの町にホテルを建てるとしても、先に他の村や町から手を付けていき、お客様の要望なんかを聞きながら決めると言うのも一つの手かもしれませんね。ギジェルモさんはどう思われますか?」

「私は一度に手を広げるよりは、一つ一つ積み上げていく事ができるのならば、その方が安心できます。それに宿に拘らなくても食堂だけでも良いと思いますよ」

「なるほど。では、王都に戻り次第、大公様にそう相談させて頂きます。もしかしたら大きな街よりも村に建てるホテルの数を増やした方が道中の移動が快適になるという考え方もありますからね」


 う~~ん、ダンテスさんは早く高級ホテルの数を増やしたいって考え方なのね。

 確かに村での宿泊はどこも本当の高級宿は無かったので、お貴族様からしたら不満があるんだと思う。

 ヤンデーノの町は、町ではあっても高級宿がなかったので1軒くらいはあっても良いかもしれない。

 でも、モンテベルデーノは必要ないと思うんだよね。

 その分、ホテルの数を当初の予定から減らすのが私としては楽なんだけどね・・・・。


 さて、モンテベルデーノでは今直ぐホテルを建てる事は無いので、候補地なんかを探す事をせずに、王都へ戻る途中でヤマルダ村で村長さんと打ち合わせをさせてもらって、それで今回の視察旅行は終わりにしたい。


 ただ父さんはモンテベルデ伯爵に挨拶したいみたいだし、私もヘルマン様の様子を知りたいんだけど、ここに高級ホテルを建てないとなると、下手に声を掛けない方が良いのかな~。

 高級ホテルを建てるのなら、どの辺に建てれば伯爵家に邪魔にならないかといったお伺いをしたいから、平民の私たちから声を掛けさせて頂きましたって言えるんだけどね・・・・。

 ただ、モンテベルデーノで船を降りたってだけで平民から訪ねるのはちょっと難しいよね。


 母さんとエイファーに早く会いたいし、お店も調理人の研修をやっているのでちょっと気になってるんだよね。

 大公様とダンテスさんには感謝しかないけど、やっぱり家が一番だからね。

 よし、決めた!

 今回は涙を呑んで?ヘルマン様たちの顔を見ずに王都へ帰りましょう。

 父さん、ごめんね。

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