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よし!お昼寝だ。
ストレージの使い方に慣れる練習はその時だなと思いながらそそくさと部屋へ戻った。
5歳の体はあまり体力がないみたいで、お昼寝は必須なのだ。
ストレージの練習をしたいけれど、コックリコックリと舟を漕いでしまうので、思い切って寝る事にしちゃおう。
練習は起きてからだー!おおー!頑張るぞぉ!
ストレージを素早く使うコツは、ネットの『お気に入り』と同じ様に、ブックマークを付ける事で任意のページに直接飛ぶ事だった。
まあ、実際にブックマークを付ける訳じゃないけどね。
ストレージスキルを使う時、物理的にスキルボード状になっている画面を呼び出すか、頭の中で思い浮かべて使っている。
でもって私のストレージに関するスキルは『調理ストレージ』という物で、その中が『調理具ストレージ』や『時間促進ストレージ』とか全部で6種類のストレージに分かれている。
この機能を使う時、今までは、まず全てのスキルが網羅されているメニューのページを呼び出し、『調理ストレージ』を選択し、6種類のストレージのリスト画面に飛ぶ。そこから目当てのストレージを選んで使っていたのだ。
それを全てすっ飛ばして、いきなり『調理具ストレージ』の画面を思い浮かべるというだけの事だ。
それに気づいてからは問題なく使えている。
昼寝から起きたら頭もすっきりで、すぐに思い立っちゃった。
簡単に成功したので、午前中の足掻きはなんだったのだろう?と少し虚しくなった。
いやいや、あの足掻きがあったから、今があるんだ。
そう思う事にしよう。
午後からの下拵えも井戸の横に座ってやるのだが、足元にいつものナイフを置いて、手元にはピーラーだ。
誰かが来たら素早くピーラーをストレージに、ナイフは「たった今、落としたのよ」って感じだ。
我ながら工作が完璧!よしよし。
ピーラーの使い心地。
めっちゃ良い!
するする剥けるよ。
じゃがいもの芽もちゃっちゃと取り除ける。
まぁ、ナイフでも素早く出来ちゃうんだけど、自分で作ったピーラーでというところが一味違うんだよ。
ステンレスの刃だし、切れ味も良い。
やったね。こりゃあ今度、日本式の包丁も作ってみようかな。
結局、井戸には誰も近寄らなかったので、あれ程悩んだ『即行ストレージ技術』の出番はなかった。
まぁ、出番がない方がいいんだけどね。
よし!野菜の下拵えは終わった。
伯父さんに運んでもらおう。
ついでに出汁の灰汁取りもしたいしね。
それに、今度は料理魔法も試したいしね。
調理場で玉ねぎのみじん切りをする時、魔法で出来るかどうか試してみたい。
カンだけど、材料である玉ねぎがあれば、MPの消費量もそこそこで済むのじゃないかな?
それとも魔法の時のMP消費は、スキル使用時よりも大量になったりするのかな?
大量の玉ねぎをみじん切りにするんじゃなくって、半玉くらいから試せば倒れるところまでMPを消費しない気がするのは希望的観測かな?
怖い様な、楽しみな様な、複雑な気分だけど、やらねば結果はわからない。
ほら、よくラノベである、MPは使えば使う程、量が増えるってのもあるし、それが本当かどうかわかんないけど、魔法も使い慣れていた方が絶対いいはず。
ということで、まな板の前に立った。
こっちの人は野菜を切る時にまな板を使う事がない。
肉やハムを切る時は使うのにね。
何故か野菜は鍋の上に片手で持ち、利き腕でナイフを動かす。
例えば、玉ねぎのみじん切りの場合、玉ねぎの上半分に複数切れ目を入れる。
続いて、玉ねぎを90度回転させ、先ほどの切れ目に直角に複数切れ目を入れる。
菊花大根を作る要領だ。
最後に玉ねぎを横にして持ち、下から上に向けてスパッと切ればみじん切りとなる。
これを繰り返すだけだ。
当然、一つ一つのパーツの大きさはバラバラだ。
だけど、私は日本流にまな板を使わせてもらってるのだ。
パーツ一つ一つの大きさも均等に切る事もできるし、飾り切りなんかも出来る様になるしねって、こっちでは飾り切りなんてした事がないけど、ステーキの付け合わせの野菜なんかも行く行くは飾り切りしてみたいなぁ。
まずは玉ねぎをまな板の上に置き、ナイフで半分に切る。
で、半玉だけを見つめつつ『みじん切りになれ』と願ってみた。
だって、魔法の使い方なんて知らないもん。
呪文がいるのか魔法陣がいるのかも分からないし、とにかくみじん切りになった半玉の玉ねぎをイメージしながら、魔法を発動するぞ!と思う事しかできない。
さて、どうなるか、仕上げを御覧じろ。




