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料理魔法なんて魔法あったんだぁ  作者: 花明かり
天色の章 <前半>
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「リア!何か髪がキラキラ光ってる気がする。どうしたの?」

 月曜の朝、朝食の席で勇者様が大きな声で叫んだので、周りの耳目が一斉にこっちを向いた。

 は()かち~い。


「おっ!本当だ。もともと金髪だからキラキラしていたけど、今朝は艶々だな」

 フェリーペがひょいと手を伸ばして私の髪を少し掴んだ。

 こら!勝手に女の子の髪を触っちゃダメだよ。


 勇者様も思う所があった様で、態々フェリーペの方を向いた。

「金髪じゃなくて、バターブロンドでしょ!」

 って、拘るのは髪の色かい・・・・。


「でも、何をしたらそんなに光を弾く様な髪になるの?」

 メグも手を伸ばして私の髪の手触りを確認している。

 あはははは、自分も触りたかったから、フェリーペを叱るなんて発想が無かったわけだ。


「んとね、家のエイファーの髪を洗うのに液体石鹸を作ってみたの」

「液体石鹸?」

「うん。髪専用の石鹸なんだけど、家ではシャンプーって呼んでいるの」


 実は誰もシャンプーなんて呼んでないけど、この世に無い物だから自分で呼称を決められるし、それなら前世と同じ呼び方の方が楽だしね。

 まぁ、そういう事だ。


「いいなぁ。どうやって作るの?」

「うんとね、ウチの店にある材料でないと作れないから、出来たのを少し分けてあげるね」

「うん。ありがとう」


 朝食が終って、部屋に戻り、歯磨きをし、学用品を抱えて下に降りると、いつもの様に5人で教室棟へ。


 教室に入るなり、マリベルが「その液体石鹸を私たちにも譲りなさいよ」と何時もの様に上から目線で言って来た。

 買うとかではなく?それだと強奪だよね。

 お・こ・と・わ・りだ。


「量が無いから無理」

 そう答えると、マリベルとナナの目が三角に吊り上がった。

「数少ない女子のクラスメイトと仲良くする気がないのっ?」

 え?あなたがそれを言う?


「無い袖は振れません。ごめんなさいねぇ~」

 ちょっと嫌味っぽかったかな?

 マリベルの顔が真っ赤になってゆでだこちゃんになっている。


 はっきり言って、今まで一度も役に立ってくれたことが無い、それよりも足を引っ張られる事は結構あった気がするマリベルとナナの為には、指一本動かす気にはならないよ。

 ご愁傷様。


 今日は一日マリベルたちから負のオーラが発せられていたけれど、全然気にしないでいつも通りに過ごし、午後には錬金術クラブへ。


 楽しい楽しいドールハウス作りだよ。

 だけど今日は私だけ、このところ書き溜めていた図面を使ってトランプとタロットカード、花札、麻雀パイを作らせてもらうよ。


 今晩にでも大公様宛に手紙を書いて、スティーブ伯父さん一家の事や夏休み中の視察旅行の件について今週末面談をお願いする気なのだ。

 もし順調に行って、今週末お目通りできれば、その時カードルームで使う製品を見本として持って行きたいのだ。

 だから今日だけでなく、水曜もダーツとか、ルーレットとかを作る心算。


「何か面白そうなのを作ってるな」

「うん。紙なのに色んな絵が付いているけど、これ何するもの?」

 フェリーペやランビットが聞いてくるけど、先週末に説明してたのに忘れたのかな?


「これは高級ホテルで提供する遊ぶ物なんだよ。先週末にちょっとだけ相談したの覚えてない?」

 ランビットがいろんなトランプ札を手に取って見ながら「あ、これがそうなんだ」と言いつつも、どうやって使うのかが気になっている様子。


「ねぇ、ランビットはドールハウスの時も錬金術の特許手続きをしてくれたでしょ?これも全部、私の名前で手続きしたいんだけどやり方を教えてくれないかな?」

「それはいいけど、先週末の話だとまだ水曜にも別の物を作るんだよね?」

「うん」

「だったら、そっちも作り終わってからの方が一度に手続きできるから楽だと思うよ」

「分かった。ありがとうね。お礼に好きなのをワンセット、プレゼントするよ」

「・・・・うん」


「ちょっと待て!ランビットだけ貰えるのか?」

 フェリーぺが身を乗り出した。

「えっとね、あややクラブの部室に全部ワンセットずつ寄付するから、みんなで遊ぼうよ。でも、ランビットは特許手続きを手伝ってくれるから、それとは別にどれか1種類、プレゼントさせてもらいたいんだ。でも、みんなは部室で遊べるからそれでいいよね?」


「遊べるなら文句はないけど、まずはどうやって遊ぶのか教えてもらわないと、遊び方が想像もできないよ」

「うん、分かった」

「特許が取れたら部室に寄付するから、それから一緒に遊ぼう」


 私以外の4人はドールハウスの作成をしているのだけれど、どうも私が作っている物が気になるらしく、休憩がてら出来上がった物に横から手を伸ばし矯めつ眇めつ見ている。


 勇者様は男子程ではないが、それでもやっぱりオズオズと花札の桜に手を伸ばしていた。

「これ、どのカードも絵が綺麗ね」

「でしょ~。これも登録できたら部室で遊ぼうね」

「うん。今から楽しみだね」


 これだけ遊具が出来ると、あややクラブの活動がイベントではなく、部室内のテーブルゲームが中心になりそう・・・・。

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― 新着の感想 ―
『天色の章 <前半> 77   私たちも金曜の夕方あややクラブで皆で話し合った後皆寮で一泊した。  勇者様は金曜の夜も部室で最終的にはトランプ大会が開かれ、皆と一緒に遊べたと喜んでいた。』   …
譲らなくて良いけど言い方には気をつけた方が良いかもね。作らなくていい敵を増やす必要はないし。 でもこういうの、子供らしくて良いか
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