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料理魔法なんて魔法あったんだぁ  作者: 花明かり
天色の章 <前半>
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 エイファーはまだお外に出してもらっていない。

 家のサンルームと地下の共同の居間までは移動した事があるけれど、不特定多数が入ってくるホールとか温室、庭へも連れて行った事はないのだ。

 この世界、乳児死亡率って結構高いんだよね。

 ワクチンとかもないし、どんな菌がウヨウヨいるか分からないので、基本、3階にある私たちの居住スペースにいるのだ。


 ところでエイファーなのだが、髪が無い。

 あ、いや、髪はあるのだよ。

 でもまだ産毛の状態なのだ。

 女の子なのに、こんなに髪が無くても大丈夫かしらとおねいさんは心配しているのだよ。

 

 母さんがエイファーの為に可愛い赤ちゃん用ボンネットを毛糸で作ってくれたんだけど、頭に何かを被せると、そりゃもう火が付いた様に泣くのである。

 不快感があるのだろう。


 赤ちゃんってお母さんのお腹から出て来た時に、既に髪が生えていると思うのだけれど、あ、いや、エイファーだってちゃんと髪は生えているのだよ。産毛だけど・・・・。


 大公様の宿題である高級ホテルのコックの研修が、スティーブ伯父さん一家のお陰でスムーズにいきそうなので安心してしまったら、ついつい目の前にいるエイファーに目が行ってしまい、そしてその目が産毛にロックオンされてしまうのだ。

 これは、私が意図的にそうしているのではなく、否応なく目がそっちへ行ってしまうってだけの話なんだけどね。


 エイファーのおねいさんとしては、可愛い可愛い妹にずっと髪の毛が生えて来ないんじゃないかとか、生えても薄いんじゃないだろうかなんて不吉な事を母さんたちに聞くのも憚られてしまって・・・・。

 前世と前々世が日本人なせいか、言霊主義で口に出してしまうと悪い事も実現されてしまうっていう宗教に近い意識が働いてしまうみたい。


 赤ちゃん用シャンプーとか作った方が良いのかな?

 あ、ベビーオイルとかも?

 作り方分からないんだけど、スキルでどうにかなるかな?


 この世界、シャンプーはまだ無い。

 石鹸はある。

 あるにはあるが、あまり良い匂いとかはしない。

 獣脂で作っているのだろう。

 

 前世での愛読書では、本が好きで好きでたまらない主人公が果実のオイルと塩などでシャンプーを作った話があった。

 あれを参考にシャンプーを作れば良いのだと思うけど、赤ちゃん用なら香料は入れなくても良いと思う。


 前世で私が使っていたシャンプーはオーガニックだったから、赤ちゃんが使っても大丈夫だと思うんだ。

 キウイフルーツの入った液状ではなく固形のシャンプーだった。

 材料はそれを参考にしつつ、液状のシャンプーを作ってみよう。


 ココナッツオイルやカカオバターが入っていた気がする。

 ココナッツオイルもカカオバターも食材だから、簡単にスキルで呼び出せる。

 キウイも食材だしね、いっちょ作ってみるかぁ。

 あのラノベでは塩をスクラブ材として使っていたから、塩もちょっと入れてみる?


 家の台所でああでもない、こうでもないと色々やっているとそれらしい物が出来た。


 次はベビーオイルだ。

 もう春だから冬程乾燥していないからオイルは必要ないかもしれないけど、肌の為にはあった方が良いよね。

 

 前世では子供がいなかったのでベビーオイルって使った事はあっても、何で出来ているかなんて気にしてなかったからなぁ・・・・。

 材料が分からない。


 ハーバリウムを作る為に百均でベビーオイルを買った事はあっても、肌につけるのが目的ではなかったから肌荒れとかも全然気にしていなかった。

 透明度や粘度の方がよっぽど気になってたからね。


 スキルで呼び出すとしても、う~んと、万が一肌についても肌があれない調理用オイルって思い浮かべればいいのかな?

 いやいや、調理用油だけで呼び出すと、火を通す事が前提の油になっちゃうかもだよね。

 よ~し、それならサラダ用油で、万が一口周りの肌についても荒れる事なく、否、反対に肌を潤しべたつかない物って事で呼び寄せてみよう。


 自室の椅子に深く腰を掛け、「エイっ!」って油を思い浮かべながら魔力を消費するイメージを浮かべた。

 ううううう。

 可成りの魔力を持っていかれたけど、小さな瓶に入った物を呼び出す事が出来た。

 試しに手に少し塗ってみたけど痒くなる事もなく、大丈夫そうだ。


 そしてここまで来ると、もう大人用の化粧水とか乳液を思い浮かべてしまうのはしょうがないよね。

 例の本を愛してやまなかった主人公がリンスインシャンプーを作った時、どうして化粧水は作らないのかなって気になって、当時ネットでググったのだけれど、化粧水って基本2つの材料で作れるって分かったのだ。

 もちろん、たくさん効能を与えたければもっと色々材料は必要になるのだろうけど、基本の化粧水と呼ばれる物の材料は精製水とグリセリンだった。

 グリセリンは保湿剤でもあるけど、甘味料などの食品添加物でもある。

 これはスキルで呼び出せると思うけど、精製水って蒸留水って事でいいんだよね?


 早速、両方をスキルで呼び出そうとするけど、蒸留水の方が呼び出せない。

 何で?

 水とつくけど蒸留水は飲む事が出来ないの?

 ん?どうだったっけ?


 今夜には寮に戻らないといけないので、その前に家の大きなお風呂に浸かりたい。

 折角、ベビーシャンプーが出来たんだから、シャンプーの使い心地も自分で試したいじゃん!

 となると今作っている化粧水も使ってみたい。

 蒸留水ならスキルで呼び出さなくても、蒸留器さえ作れば普通に台所で作れるんだし、蒸留器はお酒作りって思いながらスキルで作ればあっと言う間だ。

 よし!作ろう。


 ということで、日曜はベビーシャンプー、ベビーオイル、化粧水を作り、慌ててお風呂に入りその全てをつけてみた。

 夕食を食べた後に自分の肌で確認したけど問題なかったので、エイファーにも使ってもらった。


 自分の髪は確実にすべすべで柔らかくなったのだが、赤ちゃんの髪はもともと柔らかいので、本当の所良く分からない。

 でもエイファーの肌がベビーオイルでしっとりしたのは見て取れた。

 一番重要な髪に御利益がありますよ~にとこっそりエイファーの頭に向かってお祈りもしておいた。

 

 エイファーの肌がしっとりしたのを見て、母さんも使いたいとのことでどんどん使ってもらう事にした。

 オーガニックだから、使用期間が短いからね。

 1週間で使い切りくらいで丁度良いと思う。

 乳液は時間切れ、また来週だね。

 どうせ、来週、またシャンプーと化粧水は新しく作らないとだしね。


 あ、そうそう、寮でも使うから、私もシャンプーとかも少し持って行こう♪

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― 新着の感想 ―
要所要所、本好きさん(しょんぼりへにょんとか)が出てくるなあって思ってたけど、今回しっかり出てきてて(っ’ヮ’c)ワアってなりました( ◜ᴗ◝)
赤ちゃんに良い髪が生えるように、1度全部剃る文化がどこかの県だったか地方だったかにあったよね?
主人公は育てるスキルがあるから、チート妹に育ちそう!
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