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料理魔法なんて魔法あったんだぁ  作者: 花明かり
天色の章 <前半>
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「学園側との会合の結果について話す」

 アドリエンヌ様はテラスに行く間もなく、作戦会議室に拉致られた。

 私がパン・プディングを人数分に切り分けている間に、ウチの勇者様は二階にいる皆を呼びに行ってくれた。


 全員におやつとアドリエンヌ様がいつもの様に美味しく淹れてくれたお茶が配られたデスクに座った。

 もちろん、食べるのだけが目的のガスペール先生もだ。


「結論から言うと、オレたちの魔法障害物競争は実施の許可が半分もらえた状態だ」

「「半分?」」

「そう、半分だ」

 闇王様の目つきが何時もよりちょっと鋭い。


「イベントの内容も、安全対策も、今までの実績も申し分ないので開催に問題は無いと言われたが・・・・」

 何か怒りがぶり返して来たのか、下を向いた闇王様の顎のあたりの筋肉が歯を食いしばった様に緊張した。

 そして、パッと前を向いた。


「イベントクラブがまだイベント実施のなんたるかを分かっていない様だから、奴らに教えてやる為に共同で実施するか」

 闇王様がそこまで言うと、フェリーペ達が「ガタっ」と席を立って、「「なんで!?」」と叫んだ。

「まぁ、皆、まだ話は終わってないので落ち着いて座って下さい」とセシリオ様が宥める様に比較的優しい口調で話すが、セシリオ様ご自身も納得していないのかちょっと上滑りな感じだった。


「話を戻すぞ。あいつらと共同で開催するか、次にイベントクラブが企画するイベントの会議にオブザーバーで参加しろって言われたんだ」

「えええ?それって学園側の仕事じゃないのかよ」

 フェリーペの言う通りだよ。


「まぁ、お前らん所は大人が考えるより、よほどしっかり仕組みを立ち上げてくるからな」とプディングをせっせと口に運んでいたガスペール先生がニヤっと笑った。


「先生・・・・」

 勇者様も呆れてしまって二の句が継げないみたいだ。


「お前らん所には大公様の精鋭がいるからな。学園のイベントどころか、王都一の食堂を立ち上げたバケモノの手腕があれば、そんじょそこらの先生よりよっぽど安心して任せられるって事だ」

 はぁ?何言っちゃってるの?この先生・・・・。


「確かに、ウチのアウレリアは発想力、企画力、実行力に秀でているが、あくまであややクラブの部員なんですよ。先生・・・・」

「アドルフォ君がそう言いたい気持ちは分かるが、正直言って鳥人コンテストにしてみたって、ウチの学園のどの先生も思い付きもしないし、万が一思い付いたとしてもあれだけの仕組みを考える事は出来ないよ。アレだな。画像を投影したり、飛ぶ時に緊張感を醸し出すために音楽クラブの協力を得たり、赤字を出さない様に一般市民から出店を募ったりし、出店代を徴収したり、何より安全対策がすごかった。こんなの大人だって考え出す事はできないぞ」


「だから?」

 闇王様が不機嫌にガスパール先生に詰め寄った。

「だからだ。下手に先生方に任せるよりも、お前たちに頼むのが一番なんだよ。皇子と一緒にイベントをするのが嫌なんだろ?だったら、奴らが次のイベント企画を学園に提出した時に、御意見番として話し合いに参加すれば良いだけだろう?まぁ、断ったとしてもアウレリアは強制的に出席だろな。学園側としては大公様に頭を下げてでもアウレリアの力を借りたいってこった」


 えええええ!?

 いつの間に私の立ち位置がそんなことに?

 これは大公様にお手紙を書いた方が良いかも?

 

 アドリエンヌ様を陥れようとしたディアナ様とそれを止めなかった第三皇子と一緒に何かをしたくない。

 本当に、嫌いなんだよ。

 アドリエンヌ様の唯一の楽しみをあんな風に取り上げ様とするなんて、絶対許せない。


 クラブの皆が私の方をじっと見ている。

 闇王様は何か先生に反論しようとしているけど、ここは私が自分でキチンと言った方が良いだろう。


「先生。私はイベントクラブ、特に第三皇子とディアナ様と何かを一緒にする事はお断りします。何より、安全性を問われる事柄に、関係の無い私に少しでも責任が掛かる事態に自分の身を置くのはお断りです。利がありません」

「ほほう。利が無いね~」

 ガスペール先生はどっちでもいんだよって言う態度のくせに、しっかりこっちに圧を掛けてくる。

「そうなると、学園側もあややクラブだけを特別扱いする事はできなくなるよ」


「先生、私たちがあややクラブを特別扱いして下さいって頼んだ事ありました?アドルフォ様、学園にそういうお願いをなさった事がありますか?」

「いや、無いぞ」


 私は徐に頷いて、ガスペール先生をハタと見つめた。

「こちらは都度、やりたい事については事前に内容を提示し、許可を取ってやっています。新しいイベントの許可が出ないのならやらなければ良いだけですよね。本当にやりたいのなら、別に学園に拘る必要はないですしね」

 自分の笑顔が黒くなっている自覚がある。


「おまっ!学園に拘る事はないってどういう事だ?」

「先生、わざわざこちらの手の内を教えると思いますか?でも、そうですねぇ。学園が正当な理由以外であややクラブの企画を却下するのであれば、市井に活路を見出すのは簡単なんですよ。皆娯楽に飢えているんですから」


 ガスペール先生はプディングを掬って途中でとめたままの手を下し、鳩が豆鉄砲を食ったような顔になった。

 クラブの皆も固唾を呑んで見守っている。

「これが本当のお前か・・・・」

 固まっていたのが解けた途端、ガスペール先生は黒い笑みを浮かべてこう言った。

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― 新着の感想 ―
[一言] うーん、ガスペール先生にはそろそろ痛い目にあって欲しい…生徒に丸投げ学園も。
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