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 畑で色々やっていると、一つ思いついたので伯母さんに聞かずに勝手に実験を進めてみることにした。

 新しい畝を作って、ここにない植物を植える事だ。


 今の畑の横の土を『深くまで耕せ』と思いながら手で触り、特定の範囲を見ながら願った。

 やっぱり例のブツが体から抜けて行った。

 今度はさっきよりは多い量だったが、ピーラーを作った時程ではなかった。

 直ぐに一つの畝の分だけ畑が延長された。

 うぉぉぉぉ。このスキルすごい!


 種をスキルで作る?呼び出す?

 そんな事もできるだろうか?

 『調理具製作』は、何もないところからピーラーが作れた。

 もしかしたら・・・・。


 でも、ピーラーを作るために相当のブツが必要だった。

 いや、もう面倒臭いので、ブツとかじゃなく暫定的にでもMPと命名しちゃおう。

 で、ピーラーの時は必要なMPは気を失うくらいの量だった。

 恐らくだけど、MP大量消費と少量ですんだ時の違いは材料が手元にあるかどうかだと思う。

 しゃもじとか土鍋、土の改良や新しい畝を作った時は一部材料が手元にあった。

 けどピーラーは何もなかった。


 でも、そうだとすると土の改良も畝を作った時も土は目の前にあって、触りながらスキルを使ったのに、必要なMPの量は微妙に違ったと思う。

 まぁ、体感でではあるけどね。

 この差はなんだろう?


 う~ん。作業の差?

 その作業を手動で行った時との作業量の差とか?

 いやいや、同じ作業でも道具があるかどうかで作業量って変わるよね?

 例えば畝を作る時、スコップを使うか、道具なしなのかで作業量は確実に違う。

 作る畑や調理器具の広さや大きさも関係するかもしれない。


 ってか、そもそも『調理具製作』と『食材育成』は別のスキルだ。

 どちらもMPを消費するのかもしれないけど、それが同じ法則で消費するかどうかも分からない。

 ゲームみたいにHPとかMPとかが数値化して現れるのなら、比較が簡単になる。

 もう一度スキルボードを呼び出してみてみよう。


 どこを触っても、HPとかMP、敏捷、VITとかステータス関連のデータは表示されない。

 で、昨日からスキルの検証を始めたばかりだから、まだ感覚的にどれくらいMPを消費したかを大まかには覚えているけど、このまま検証を続けていたら全部を覚えていられるはずもなく、数値で表す事ができなければ記録を取るのも難しい・・・・。

 そもそもMPの総量って増えるのかどうかも分からない。

 ここに来て、スキル検証の大事な部分が壁に行き当たった感じだ。


 何が出来るのかについてはこのまま検証は続けられるけど、その際、何がどれ程必要なのかが分からないと経験に頼るしかなくなる。

「うんうん」と悩んで畑をじっと見つめていたけど、頭の上に『ピコーン』って感じに豆電球が点った気がした。

 だって!5歳より上だったらみんなスキルを持ってる世界なんだよ。

 爺さんや、伯父さんにスキルを使った時、MPを消費するかどうか、消費するならどれくらい消費するのか分かるか、同じ事をする時は同じ量のMPを消費するのか、いろいろ聞いてみればいい。

 MPを消費しないスキルもあるとして、全員ではないはず。

 『熊のまどろみ亭』のみんながMPを消費しないスキルだったとしても、学校のバルマン神父に聞いてみればいいかもしれない。

 そう思ったら、MPの消費量に関しては一旦棚上げにしても大丈夫かもと変に安心できた。


 よし!ならば畑で出来る検証に戻ろう。

 育てたいけど種がない場合だったよね。

 種や苗を作ったりすると、材料がないからまたごっそりとMPを持って行かれるかもしれない。


 畑を見回すと見慣れたハーブがない事に気づいた。

 そう、イタリアンパセリだ。

 イタリアンパセリは、ニンニクの臭いを和らげるために一緒に使うと良いハーブの筆頭選手だ。

 前世でイタリアンを作る時は、時々イタリアンパセリとニンニクを一緒に潰して使っていたから分かる。

 よし!イタリアンパセリの苗が欲しい。


 ただ、またスキルを使って畑で気絶してしまったら、伯母さんを驚かせるだけでなく、体の弱い子だと思われ、お手伝いをさせられないって事になるかも・・・・。

 そうなると何がヤバいって、働かざる者食うべからずなんだよ、この世界はっ!

 平民はいつも食べる物を得るために、ピィピィ言ってるんだよ。

 いくら血の繋がる姪っ子って言っても、四六時中倒れる問題児を受け入れる余裕はないはずだ。


 私は井戸横で溜められている水で手を洗ってから、とぼとぼ自分の部屋へ戻った。

 イタリアンパセリの苗を作る事ができるのか知りたい。

 でも、どれくらいのMPが必要なのかはさっぱり分かんない。

 さて、困った!と思っていた私の目の前にベッドが目に入った。


 これだね!

 私は早速ベッドに入って、両手だけベッドの外に突き出し『イタリアンパセリの苗、出て来い!』と願った。


 結論から言おう。

 苗は手の中に現れた。

 現れたが、それと同時に私はまた気を失った。

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 苗『え、ちょっ(O.O;)』
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