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料理魔法なんて魔法あったんだぁ  作者: 花明かり
天色の章 <前半>
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 前の日に突然呼ばれて錬金術クラブを中座してしまったので、今朝一番にランビットが心配して「大丈夫だったの?」と聞いて来た。

 4人でウンウンと無言で頷き、詳しくは午後に話すよとお茶を濁した。

 だって、何故だかマリベルやナナがこっちに聞き耳を立ててるみたいなんだもの。

 何でこっちを気にしているのかな?


 その理由はその日のランチ前に分かった。

 何故なら、彼女たちはランビットを呼び出して、どうやって先週あややクラブの部室に入れてもらったのかって問い詰めたらしい。

 私たちも、ランビット自身もその事については誰にもしゃべってないのに、どうしてバレたのか?

 それは簡単な話だ。


 ウチの部室の周りには女子学生が良く屯していて、闇王様たちの出待ちをしているんだよね。

 だから、部室からいつもは見た事のない男子学生が出て来たものだから大騒ぎになっているらしい。

 知らなかったよ。

 え?ランビットも知らなかったの?

 まぁ、噂話って得てして本人の耳には届かないよね。届いたとしても最後だね。


 で、自分たちも入部したいマリベルたちは、その方法をランビットに問い詰めたと、こういう図式なのね。

 ドールハウスや馬車の事に言及しても良いのか分からなかったランビットは、個人的なお願いを受ける為に行っただけだって説明したらしい。

 あのマリベルの事だから、どんなお願いだったの?とか恥ずかしげもなく聞いていそうと思ったら、実際聞いて来たらしい。

 予想を裏切らないねぇ、マリベルさんや。


 で、部室から見た事のない男子生徒が平民メンバーと出て来たということで、噂スズメたちは私たちのクラスの男子をチェックしたらしい。

 そしたら、ビンゴ!ってな感じでランビットを見つけたって言うのがこれまでの流れらしい。


 正式部員ではなく、闇王様たちの個人的なお願いを聞くためだけ期間限定で入室OKになっていると、マリベルたちが内情を知ってるのよ的な優越感を滲ませて、噂スズメたちに広めてくれたみたい。

 と言っても、私たちのために事態収拾を図ったのではなく、ただ単に自分たちは事情通って言いたいだけなのは分かってるのだが、結果として助けられたよ。ごくろうさん!


 それよりも今、あややクラブで警戒しないといけないのはディアナ様だ。

 もしかしたらサムエル様もかもしれないが、明確に敵対行動を取っているのはディアナ様なので、今のところは彼女だけを敵として認識している。


 今日の午後はまずその話を部室でする事になっているので、ランビットには明後日から部室に出入りする様にフェリーペがお願いしていた。

 どっちみち明日は水曜なのでランビットも錬金術クラブの方だもんね。

 だから明後日からだね。

「おやつを食べれないのは残念だけど、その分、明後日美味しいのを出してくれると期待してるよ」だって。ランビットも私の作るおやつ気に入ってくれたんだね。

 任せなさい。明後日は、腕によりを掛けて美味しい物、作って進ぜよう。楽しみにしていてね。


 そんなこんなで放課後になり、私達4人はあややクラブの部室へ。


 ささくれ立ったアドリエンヌ様の気持ちを宥めるべく、今日は点心の代わりにチョコバナナ、そして3種類のプチケーキだ。

 バナナはもちろんストレージから出しましたよ。

 プチケーキはラズベリーソースの載っかったチーズケーキと、イチゴのショートケーキを大きなイチゴ一つが載っかるだけの大きさにしてたくさん作った。もう一つはザッハトルテざんす。

 じゅるるる。

 自分で作って言うのもなんだけど、どれも美味しそうざんす。

 ザッハトルテの表面が鏡の様にキラキラなのは、もうそれだけで美味しい感じが滲み出ておりますですじゃ。

 ラズベリーソースの鮮やかな色も食欲を促すし、イチゴケーキはそれだけで存在が可愛い。

 バナナは皆好きだから、一口サイズに切ってその半分をチョコでコーティング!

 今日は私も全種類食べちゃうからね。


 アドリエンヌ様がお茶を淹れにキッチンへ来た時、並べられたプチケーキを見て顔を綻ばせた。

 ああ、今日、手間でもいろんなケーキを作って良かった。


「今日はアウレリアがたくさんおやつを作ってくれたみたいなので、ダイニングテーブルで食べながら話そう」

 闇王様ってそういう所が良いよね。

 臨機応変。

 前にも思ったけど、途中まで進めている事でも、もっと良いやり方があったら躊躇なくそれを切り捨てて、良いと思った方法に切り替えるのと、ちょっと通じるところがあると思う。


「今、緊急で話さないといけないのは、帝国第三皇子がイベントの企画、運営に興味を持っていて、ウチの鳥人コンテストの時にオブザーバーとして参加してくる事だ。同時に、ディアナが敵対的な姿勢を見せている。何人かは皇子は関係ないと思っているかもしれないが、自分の配下がこれからお世話になるであろう組織に敵対的な言動をとる事を許しているということは、これは皇子の思惑に沿っていると思って良いと思う。なので!」と闇王様はプチケーキを食べながらも結構強い口調で続けた。「こちらの協力体制も最低限の物で良いし、受入は主に学食で、部室には入れない方向で行きたいと思う。みんなの意見を聞かせてくれ」


「私はしゃん成でしゅわ。明確な敵対行動があったのでしゅもの」

「僕も同じ意見だけれど、こちらの痛くもない腹を探られる事の無い様、最低限どこまでなら内情を見せるかなど、ウチのクラブ内で事前の打ち合わせは必要だと思う」

 アドリエンヌ様もセシリオ様も結構好戦的な雰囲気を纏っている。

 セシリオ様は普段皮肉っぽくしている時もあるけれど、好戦的かというとそうでもない。

 なので、今回のディアナ様については思う所があるのだろう。


「俺も最低限の協力だけでいいと思います。今年は昨年に比べて、ウチのクラブがやらなければいけない事は少なくなっているので、かえって良かったです」

 フェリーペが平民メンバーの口火を切ってくれたので、私たち3人も同じ意見だと表明した。


 こういう面倒な議題あると、何故かガスペール先生は部室に顔を出さないのね。

 ほっんと!要領が良いというか何というか・・・・。

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