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料理魔法なんて魔法あったんだぁ  作者: 花明かり
天色の章 <前半>
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 週明け、今日は錬金術クラブ即売会の売り上げをオスカル部長が発表をする日なので、5人で揃ってワクワクしながら部室へ。

「あ、来たな」

 部室に入って来た私たちを見て部長は嬉しそうな声を上げた。


「後、1年生が来たら全員になるから、それから今回の即売会の売上発表をするぞ」と言われ、みんな思い思いの席に着いている。

 私たち5人は同じテーブルに着いた。


 5分もせずに1年生がバタバタと部室に入って来た。

「「遅れてすみません!」」

「気にしなくていいぞ。空いてる席に座ってくれ。それじゃあ、売上げの結果発表を始める。部員全員が叩きだした売上げ総額は歴代トップの金貨121枚と銀貨7枚だ」

「「「おおお!」」」


「では、今回の売上げ額トップ3を発表する」

 第三位は去年キーホルダーでトップを取った上級生二人組で、作った商品は画像保存機にキャプションを入れやすくする活字枠用文字だった。

 この世界のアルファベットを透明な画像板に印字したものを、文字別に切り出しており、別途作った半透明な文字板枠に並べるだけで文章が出来る様になっていた。

 これはあややクラブでも使えるね!!すごい発想力。

 特に、画像を投影する様なパーティを開くお貴族様に結構売れたらしい。


 第二位は同じく3年生だが、グループではなく一人で作った小型宝石箱だった。

 これは私たちがドールハウスの小物を入れる箱を見て思い付いたらしい。

 指輪やネックレス、ブレスレット、髪飾りと分けて収納できる引き出しが付いており、指輪に至ってはおが屑が敷き詰められた所にビロードの布を被せ、指輪を嵌め込む横溝を複数作っている。

 普通お貴族様の持っている宝石類はクローゼットルームに大きな引き出しがたくさんあって、そこに保管されるか金庫の中に保管されるのだが、旅行する時、特に旅行先で社交がある場合の宝石の持ち運びにぴったりとご婦人を中心に売れたそうだ。

 値段に対して材料費が低い事もあって堂々の売上げ2位だ。


「そして1位はもちろん2年生の5人グループだ。初日はほとんど売り上げがなかったのに、2日目は午前中で全て売り切れというくらいに売れに売れた。もっと数があれば総合売上高は更に跳ね上がっていただろうと思うと残念だが、あれだけの数の小物を作っていたのにも度肝を抜かれたぞ。夏の即売会もがんばってくれ」

「「「いぇーい!」」」

 5人で手を取り合って飛び上がって喜ぶ。


 そして今回の即売会で販売されてた4位以下の商品も、順位についての言及はないものの全て部員に紹介された。

 中でも私の目を引いたのは、大幅に小型化に成功した拡声器だった。

 これってあややクラブのイベントでめっちゃ使えるやん!

 拡声器を使う人や組織が少ないため、これ程の発明であってもあまり売れなかった様だが、これってすごいことだと思うよ。


 1年生の子たちは鍵かけを作っていた。

 昨年、キーホルダーが良く売れたことと、ネームプレートを売った情報を先輩から聞いて思い付いた様だ。

 ネームプレートの様に飾り付きの板に、キーホルダーの輪っかをひっかけるお洒落なフックが付いているデザインだった。

 よく考えてるなと思う。

 魔力を持った1年生がいないので3種類位の設計図を引いて、必要素材の分量を量りセットにして、先輩方の魔力を分けてもらいつつ作った様だ。

 一人くらいは1年生にも魔力持ちが欲しいなと言ったオスカル部長の気持ちが分かったよ。


 本当ならもっと色んなデザインで鍵かけを作りたかったでしょうに、先輩に魔力提供を頼むのって恐縮しちゃうだろうし、最低限で済ませようと思っちゃうだろうから種類や数を増やすのも大変だっただろうなぁ。

 なんとかこの子たちにも物を作る楽しさをもっと感じて欲しいなぁ。


 売上げ報告が終り、不特定多数が入室したことで薄汚れた感じの部室を、全員で掃除して、その日の活動は終了した。


 翌日あややクラブの部室へ行った時は大変だった。

「評判の馬車の模型とか全然見れなかったぞ。くそぉ、残念だ!」と闇王様と、「ドールハウチュ、私もほちいでしゅわ!」という興奮気味のアドリエンヌ様を宥めるのに結構なエネルギーを使った。


 部室の2階に錬金術コーナーがあるので、あややクラブのみんなの馬車やドールハウスを作る事は出来るけれど、ほとんどの設計図はランビットが描いてくれたので、ここで作るにしてもランビットの許可がいると思うんだよね。

 それと素材とかの入手もあるしね。

 私たちには何の支払いもなくていいんだけど、部外の人も関係するから、ランビットへは何等かのお礼も必要だと思う。


 そうフェリーペに相談すると、「まずは一緒に作った錬金術クラブの仲間に、勝手に俺たちで複製して良いかどうかを聞かないといけないんですが、OKって言われたらここの2階で作る事はできます。ただ、材料がいろいろといるので、集めるのにも時間は必要ですし、安い物はいいんですが、革とか費用が少し高めの物は負担してもらう事になるかもしれません」と私達を代表してザ・お貴族様に説明してくれた。


「金なら出すぞ。即売会の物より豪華にしてくれて構わない。早めにその仲間から許可を貰ってくれ。そいつへのお礼はお金が良いのなら言い値で払うし、物の方が良ければそれでもいいぞ。まぁ入手可能な物に限るけどな」

「うんうん」と闇王様もセシリオ様もとっても乗り気で、今すぐにでも許可を取って来て欲し気だった。


「私も」とアドリエンヌ様も嬉しそうだ。

 あ~あ。これはランビット、許可を出さないって言うのは無理そうだね。

 お礼に何を要求するのかなぁ。

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