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料理魔法なんて魔法あったんだぁ  作者: 花明かり
天色の章 <前半>
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 いよいよ冬の即売会だ。

 私たちは5人で用意した物を売るので、スペースも他のコーナーより広めだ。


 昨日の木曜、本当ならあややクラブの活動日なんだけど、おやつだけ作ってみんなで食べたら、私たち4人は闇王様にお断りを入れ、即売会の準備へ。


「即売会にはオレたちもそっちへ顔を出してみるよ」と言ってくれたので、闇王様とセシリオ様は錬金術クラブの部室を覗いてくれるだろう。

 ついでに買ってくれても良いのじゃよ。おふぉふぉふぉ。


 私たち5人のコーナーには横長のテーブルが3つ繋げて並べてある。

 これはお客様対応のためで、まんまん中よりちょっぴり左寄りに3階建ての飾り付けられたドールハウスと2種類の馬車がデーンと置かれ、私たちの頭上にはボブが作ってくれた看板と馬車全種の絵が掲げられている。

 両端のテーブルには向かって右側に厳選されたドールハウスの小物が、左側には馬車の小物がそれぞれの木箱に入った形で並べられている。

 食器の箱は食器で、リネン、家具もそれぞれの種類によって箱に入れたまま2箱ずつ並べてみた。

 それぞれ色違いやデザイン違いの物をサンプルとして2つずつ蓋が開けられ、立ち寄った人がすぐに見る事が出来る様にするのが目的だ。


 そして対応する人が立ったり座ったりできるスペースの後ろに、更にテーブルが6つ繋げて並べてある。

 ドールハウスの小物は特に数が多いので、お客様に見せるためのテーブルに全ての箱を並べる事はできない。

 故に、こちらは在庫を内容毎に整理して並べて、お客様が欲しいと言われた商品をすぐに渡せる様に工夫してあるのだ。

 蓋の綴じられた木箱に中身を記した小さな紙がラベルの様に貼られていて、お客さんに「こういう〇〇はないですか?」って聞かれた時に直ぐ対応出来る様にしている。


 金曜は主に在校生が即売会を見に来る。

 本番は明日の保護者たちの来園日だ。


 さぁ、そろそろ在校生が来るよぉぉ~。

 そう思ってたら案の定ちらほらと生徒が小さなグループで入室して来る。

 

 私達のコーナーは出口の前なので、錬金術クラブの全ての出品作品を見てから漸くここへ到達するのだが、可成りの女子がオスカル先輩の所で立ち止まって動かない。

 ハイハイ。その光景は去年も見たぜ!


 馬車の模型は男子生徒用、ドールハウスが女子生徒用のつもりで作っているから、どちらかというと男子生徒より女子生徒に見て欲しいんだけどね。


 闇王様とセシリオ様が来てくれれば一気に女子生徒がこっちに来てくれると高を括っていたのだけれど、結局その日は二人とも来てくれなかった。

 数人の生徒が私たちのコーナーまで見に来てくれ、見ると「わぁ」と感嘆の声を上げてくれるんだけれど、セットで買わないと意味のない玩具なので、小物だけの購入を禁止しハウスとセットでないと売れないと言うと、自分たちの手持ちの現金では足りないみたいで、一つも売れなかったという嘘のような話だ。

 馬車の模型の方はいくつか売れたんだけどね、内装のセットを数種類買いたいらしく、それには手持ちの現金では足りないと泣く泣く本体だけ買って行った男子生徒が2人と大人買いして行った学園の先生が1人。


 これは、明日の保護者来園まで待たないといけないねって5人で慰め合った次の日、はい、来ましたー!

 山の様な保護者様たちがぁぁ。


「あああ、何て可愛いんでしょう。子供にじゃなく私に欲しいくらいだわ」

「この馬車、すごくカッコいい。え?内装を自分で変えられる?それはすごい!」

「このお皿、青い色のセットは無いの?」

「ハウスの壁が黄色いのが欲しいんだけど、もう3階建ては無いの?」

「この馬車の内装のセット、全種類下さい。あああ、こっちのタイプの馬車のセットも欲しいけど、金子がぁぁぁ」

「もっといろんな家具を増やす予定はないの?」と、そりゃもうすごい人だかり。

 昨日、私たちの作品を見て欲しそうにしていた生徒が自分の親を引き連れて爆買いしてくれたりもした。


「夏の即売会では小さな町や村が出来る様、お店とか役所とか色んな建物を増やすつもりです」と言うランビットの説明に、「どうして今回の即売会では売ってないの?今欲しいわぁ」なんて言う保護者からの意見もあったけど、作業量的に難しかったのよん。


「これ、同じデザインで色違いはどの色があるの?」

「はい。オレンジと黄色、緑もあります。後、模様違いもありますよ」

「じゃあ、それ全部下さい」

 そんなやり取りも多く、私たちは家を買った人たちが色違いの小物を複数買って行くので、最後はハウスだけ残るんじゃぁ?と途中から可成り心配になった。

 これには、一つのドールハウスに最低限の家具と小物セットを最初から纏めて売る様にと、途中からセットを作って対応した。

 最初から色違いやデザイン違いを一人のお客様が複数買って行く事を見越してはいたんだけどね。

 一人のお客様が買って行く色違いやデザイン違いの数が思ってもなかった程大量で、これぞ大人買いのオンパレードだった。


 ドールハウスにセットとして付けている小物など、こちらが用意している物の色違いの方が欲しいと言われれば、予備で売っている物と交換する事で対応した。


 そして土曜の昼前にはソールドアウト!

 はぁ~、一度にたくさんのお客様を対応せざるを得ないし、5人それぞれが対応しているお客様同士が同じ物を欲している時もあったりで、お客様同士で話して頂いて、どっちが買って行くかを決めてもらったりと、結構気を遣う事も多かったぁぁ・・・・・。


 午後からは他の売り場を手伝う事にしたんだけど、多くのお客様がドールハウスの事を耳にしていたらしく、訊ねて来たりしてその対応も忙しかった。

 これは作れば作る程、売れるのかも知れない。


「お前ら、面白いモン作ったんだって?」と漸く顔を出した闇王様とセシリオ様だけど、もう売り切れで何もないざんすって言ったらムンクの叫び顔になってたよ。

 でも、知ってた?

 あの絵に描かれた人物は叫んでるのではなく周囲の五月蠅さに我慢が出来ずに耳を塞いでるっていうのが真相らしいよ。

 私は小さな時、あれは叫んでいるんだと疑ってもいなかったけどねって頭の中で思ってみたけど、地球の豆知識なんてこっちの世界の人には通じない・・・・。あう。


 本日はそうそうにドールハウスや馬車模型が売れて、即売会は私たち的には大成功だった。

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