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料理魔法なんて魔法あったんだぁ  作者: 花明かり
天色の章 <前半>
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 ダンテスさんを通して打診した所、候補地は概ね私たちが挙げた5つでOKなのだが、最後に王都であるオルダンテも候補地に入れる様にとのコメントを頂いた。

 但し、オルダンテは他の5つが出来上がり軌道に乗ってからで良いとのこと。


 大公様によると、オルダンテは貴族が自分たちの館を持っているので宿を利用するのは貴族でも下級の家、つまり自分たちで常に王都に物件を持つ財力の無い者になるのだが、ホテルという商売を成り立たせる為には貴族だけでなく裕福な大商人も客層として見る必要があるので、王都にも必要になるとみているとのことだ。


 まぁ、取り敢えずは大きな街より村から着手して欲しいとのことだったので、ナイトル村とモリスン村からだね。

 後、村の数は追々もっと増やして欲しいとも言われたけど、5つ、王都も入れて6つが限度だな~。

 増やすとしたら学園を卒業して、先に建てる6つのホテルの状況を見てからでないと無理だぁぁ。


 そしていよいよ王宮での晩餐会が目前に迫っているので、今度はそっちの方へ全力投球になっちゃうんだよね。

 と言う事で、大公様の宿題の方は一旦はここまで。

 後は冬休みの間に色々しようと思う。

 

 それでなくてもドッジボール大会の方はフェリーペたちに任せっきりで私は毎日のおやつ作りの方によっぽど時間を割いてる感じだ。

 ガスペール先生が入り浸る様になってからは、準備しなくてはいけないおやつの量も増えているしね。

 先生はクラブ活動に関する要望とかは一切言わない癖に、料理についての要望だけはしっかり言うからなぁ~。


 さて、金曜からは数日学園を休んで家で晩餐会の準備だよ。

 城で保管してもらっている食材の状態を鑑定で確認したりもしないといけないし、最後の練習で2~3回通しで全てのメニューを伯父さんたちに作ってもらったり、そのタイムを計ったりしないとだしね。


 晩餐会が終ったら直ぐに学園のテストだから、その為の仕度もしておかないとだしね。

 まぁ、一応は習った事を見返すくらいはしておかないと、何かが抜けちゃうのも嫌だしね。


 ということであっという間に時間が過ぎ、3人にそっと励まされながら、一旦寮から出てお家に戻って来たのだ。


 明日は父さんとスティーブ伯父さんと一緒にお城へ上がって、預けている食材の確認とウチでしか作ってない食材を運び込む事になっているので、すぐに部屋に上がって寝てしまった。


「ピチチチチ」

 鳥の囀りと共に起床。

 母さんの用意してくれた朝食を父さんと一緒に食べる。

 歯を磨いて、母さんが用意してくれた服に着替えて準備万端!

 

 母さんのお腹はとっても大きくなり、そろそろ中身、つまり弟か妹が飛び出て来そうだ。

「行って来るよ。心配しないで、君はゆったり過ごしなさい」と母さんのほっぺにチューをして父さんが下へ降りて行った。

 私も母さんのほっぺにチューして父さんに遅れる事なく1階へ。


 スティーブ伯父さんが幾分緊張した面持ちで待っててくれた。

 伯父さんでも緊張する事あるんだなぁなんて思いながら店の門まで行くと、予約していた貸し切り馬車が既に待っていた。


 3人が手に手に食材を持って乗り込むと、マルタ伯母さんが「気を付けて行ってらっしゃい。お店の方はちゃんとやっておくから、心配しないで、しっかり食材のチェックをお願いしますよ~。アウレリア、お前が頼りなんだからね。頑張っておいでよ」と送り出してくれた。


 腐っても貴族街に店があるので、王城まではそこまで遠く無い。

 まぁ平民街との境でもあるので、5分で着くということもないのだけれどね。

 15分も走らせると王城の大門の前に着いた。

 父さんが門番に予め送ってもらっていた通行証を見せると、問題なく中に入れた。

 が、この手続きを3回も繰り返さなくてはならなかったのだ。


 大門から入って数分、馬車に揺られ中門へ。

 そこでも通行証の提示は必須で、中に入ると、もう馬車の使用は禁止された。

 ここから先の馬車の利用は王家か高位貴族のみとのこと。

 例外は外国からのお客様なんだと。


 中門から奥門までは徒歩で移動。

 持って来たウチでしか作っていない食材は、中門の兵士に手渡した。

 どうやら別の検問を通さないといけないらしい。


 人間だけで奥門まで歩いて行き、更に通行証の提示を求められ、手荷物が別の検問を通っている事も申請した。

 そうしないと、奥門の中で手荷物を渡してもらえないからだ。


 ベーコンだの、味噌だの、醤油だの、バナナやパイナップルなどは他では手に入らない食材なので、一々検問に引っかかっている様で、人間様の手続きが終っても1時間以上待たされてまだ食材のチェックは終わらない様だ。


 小さな子供をずっと立たせておくのも可哀そうと、私だけ、門番たちの控室から持って来てもらった椅子に座らせてもらって、父さんたちはずっと建物の外で立ったままだ。

 晩餐会当日は人間様だけのチェックになるので、ここまで待たされることはないかもしれないが、結構体力を削られるなぁ~。


「あの・・・・」

 門番の一人に声を掛けてみた。

「何だい?嬢ちゃん」

「あさっての晩餐会の時、門番さんは同じ人たちですか?」

「それは警備上、言う事はできないねぇ」

「あさっては料理しないといけないのに、こんなに待たされたら疲れてしまって料理できなくなるんじゃないかと・・・・」

「アウレリア!」と父さんが私の口を塞ぎ、「申し訳ございません。小さな子の言う事ですので、どうか・・・・」と何度も頭を下げていた。

 そうだよね。これって言っちゃぁイケない事だったね。

「まぁ、今回は確かに長く待たせてしまっているからねぇ。小さな子にはキツかったねぇ。あっ!あれは検問の職員だ。お前たちの荷物じゃないか?」

 警備の兵士の言う方を見ると、木製の台車を押す兵士が近づいて来た。

 漸く届いた手荷物を持って、調理場へ続く通用口まで逃げる様に移動した3人であった。

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