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料理魔法なんて魔法あったんだぁ  作者: 花明かり
天色の章 <前半>
230/553

23

 他人様の部室でくつろいでいる先生方・・・・いらねぇ・・・・。

 本気で嫌だと思っちゃったので心の声がお下品になってしまった。ケホケホ。


「ドッジボール大会の方だが、学園側の決定事項を通達する。人数制限をせずに保護者を園内に入れる事となった。そこで、学園側としては魔法の授業に使っている講堂を会場にする事にした。4つ講堂があるので、各講堂でコートは2面。保護者用の観覧席は講堂の観覧席をそのまま使用する。但し、来園予定の保護者が多いらしく、各講堂の観覧席を学園が増設する予定だ。それで、学生の応援団は去年と同じくコートの横でという事だ。ところでここの飲茶?点心?っていうのが美味しいらしいが、今日はないのか?」

 ドナルド先生・・・・普通は会議は事前に日時を決めて、学園の教室棟にある職員室横の会議室とか、空き時間の食堂を使いますよね?

 なのに態々ここまで来たっていうのは、食い気ですか?


 闇王様の目配せで、私がささっとキッチンへ入った。

 今日のおやつはもう作ってあるのだが、実は先生方のまでは数に入っていない。

 もうねぇ、そうなると私のスキルでチャチャっと数を増やすしかないよね。


 今日は紅ショウガが入った一口大根餅と柚子シャーベットなんだよね。

 しかも大根餅の方は既に焼いてストレージに入れてるんだよ。

 何もせずに出したら何時焼いたの?ってなるから、スキルで出すのは大人二人分の大根餅のタネ。

 ささっとフライパンで蒸し焼きにしつつ、柚子シャーベットは元々小ぶりの予定だったけど、更に小ぶりにして盛り付け何とか人数分を確保。


 私がキッチンでワチャワチャしてる時は、調理の邪魔にならない様にと誰もキッチンには来ない。

 私がウチの店秘蔵のソースとか持ち込んでるっていう触れ込みだから、秘密漏洩にならない様にっていう皆の心遣いもある。

 ある程度調理が進んで食器棚から食器を出す頃にはメグとかアドリエンヌ様が手伝いに来てくれる。

 まぁ、アドリエンヌ様はお手伝いではなく、お茶を淹れに来てくれると言った方が正確だね。


 今日も、二人分の大根餅が焼きあがる頃には、ストレージから出した大根餅の皿が調理台に並び、先生たちの皿を食器棚から出していると、手伝うためにメグたんが、お茶を淹れるためにアドリエンヌ様がキッチンまで来てくれた。

 それを横目に以前スキルで作り出していたアイスクリームディッシャーで柚子シャーベットを小さなガラスの器に盛り付け。

 てっぺんにはキッチンで栽培しているミントの葉を洗ってそっと乗せ、その周りに小さな花びら状に飾り切りした柚子ピールの砂糖煮をお花に見える様に載っけた。

 うん、可愛い!

 全てをテーブルの上に並べ終わる頃、アドリエンヌ様がささっと闇王様の所へ行き耳打ちした。


「では、今日のおやつが整いましたので、あちらのダイニングの方へ行きましょう。話し合いは食べながらさっさと終わらせましょう」

「おおお!点心か?点心を食べれるのか?」

 ドナルド先生はご自分の欲望に忠実なんだね・・・・・。


 誰も先生に席を示さず、ダイニングテーブルの自分たちの定位置に着いたので、先生たちは自分で空いてる席を探して座った。

 誰もウェルカムの気持ちを表明していないにもかかわらず、ドナルド先生もガスペール先生も気にせずカトラリーを動かしている。


「お!このもちもちしたのは何だ?これが飲茶か?」

 これには私が答えないと誰も答えられないよね。

「これは点心というお菓子の種類に属し、その中の大根餅と言います。大根は珍しい野菜ですがキノコや他の野菜と一緒に粉に混ぜて焼いたものです。そちらの小さなお皿に入ってるタレに付けて食べて下さい。そしてこちらは柑橘類のシャーベットです。で、厳密には飲茶は点心をお茶と一緒に楽しむ事を指すので、食事のスタイルとでも思って頂いたら良いと思います。まぁ、ここでは点心でも飲茶でも同じ物を指している事が多いですけどね」

 本当は中国茶で食べるのを飲茶と言うらしいけど、私が最初に飲茶って言っちゃったから、点心って言わないといけないのに飲茶で通っちゃったからね。おほほほ。

 後、こっちの世界には中国茶は私のスキルで出さないとないし、折角アドリエンヌ様が紅茶を淹れて下さるので、なんちゃって飲茶でいいんです。


 私の説明を聞いていたガスペール先生は、私のスキルを思い出した様にニヤリと口をひん曲げ、こちらを見ながら頷いている。

 む~~~ん。

 担任だから私のスキルは知っているでしょうけど、大公様からのお達しでバラさない様にって通達があったはず。

 だから入園日に私のスキルを教室で公開しなかったんだよね?

 絶対ここでも公開するなよという思いを込めて、睨み返してやった。


 おやつを食べている間は、「美味しい」とか「お代わり」とか「これ何て名前?」とか、おやつに関する短い会話しかないのは何時もの事だが、先生二人も皆と同じ様に黙って美味しそうに食べている。

 大方皆が食べ終わった頃に闇王様が、「先生、で、魔法の講堂4つを使って試合を進めるのは分かりました。準決勝からはスクリーンを使って両チームの得点を映写しようと思います。学園側で決勝戦、準決勝戦をどの講堂でとの指定があるかどうかの有無と、スクリーンの設置は一か所にしないと経費が掛かるので、準決勝と決勝は同じ講堂で行う事をお薦めします。その際の、保護者の観覧席をどうするかは、そちらで決めて下さい。あ、後、全校生徒は講堂には入りませんので、生徒の観覧席も学園側でご用意下さい」と、とっと先生たちに出て行って欲しいオーラを全開にしながら話しを進めた。


「そうだな」

 ガスペール先生はあまり口を開かず、全てはドナルド先生が対応している。

 実際、ガスペール先生はおやつを食べに来ただけって感じなんだよね。

 何で来たんだろう?


「いつまでにそれを決定して知らせたらいいか?」

「そうですね、来週中にはお願いします。後、スクリーンの設置はそちらでお願いします。画像版等の費用も学園側が持つということで良いですね」

「分かった」

「後、話し合いはウチの部室ではなく、事前に日時を決めて職員室や会議室、食堂でお願いします」

「えっ!?そんな殺生な・・・・」

「ここはあややクラブに所属している者のみが入れる事になっています。ドッジボール実行委員会のメンバーですら入れないんですよ」

 ドナルド先生はがっかりした顔をして頷いていたけど、ガスペール先生はニヤリと笑っている。

 ん?何を考えているんだろう?

 何か嫌な予感がするよ・・・・。

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