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料理魔法なんて魔法あったんだぁ  作者: 花明かり
天色の章 <前半>
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21

 新入生の遠足が終わって1ヶ月半。


 城の晩餐会の方は、父さんが提出してくれた食材リストは二つ返事で受け入れられたのだが、一つだけ懸念事項があった。


 帝国の宰相一団の好き嫌いが分からない事だ。

 お付きの人の好き嫌いはどうでもいいし、例えアレルギーがあったとしてもその人の分だけ周りとは違うメニューを用意すれば良いだけのことだ。

 だけど、もし、宰相の嫌いな物、食べれない物がメニューに入っていたら、主賓の好みに合わせてメニュー総入れ替えというのもあるらしい。

 外交筋を通して好き嫌いを問い合わせているけれど、まだ返事が来ていないとのこと。

 相手のある事だから、いつ返事が来るとも確約できないとも言われたらしい。


 む~~~ん。

 この宮廷晩餐会はウチの店の名を不動の物にするのには絶好の機会なんだけど、失敗したら店を畳まないといけないくらいリスキーでもある。

 だから万全に準備し、当日滞りなく料理を提供しなくてはいけない。


 父さんが学園には晩餐会の3日前から自宅に帰る様に手続きをしてくれたそうだ。

 ただ、期末試験があるので、晩餐会の翌日は必ず学園に出て来なさいとのこと。

 そうだった。期末試験があったね。

 勉強は大丈夫だと思うけど、晩餐会が何時に終わるかだよね。

 あまり遅くて翌日寝坊しない様にしないとだね。


 週明けにあややクラブに顔を出したら、そろそろ新入生を中心にドッジボールを教えないといけないよねって話しになった。

 2年より上はみんなもう知ってるけど、新入生はドッジボールを知らないからね。


 闇王様が「今年もあややクラブのチームとして事前に練習試合をやろうと思う」って言ったら、何気にドッジボール大会についての会議みたいになってしまった。


「アディ、実はもう2年とか3年の中には自分たちで練習試合をしているところがいくつかあるみたいだよ」なんてセシリオ様から新情報が出て来た。

「ナイス!練習試合に力を入れて貰えれば、大会当日も盛り上がるでしょうしね」

 メグたんが嬉しそうだった。


「今年は保護者が観覧に来るということですが、どの様にして観覧されるのでしょうか?」

 これは闇王様より最初に聞いた時から気になっていたので聞いてしまった。

「学園側が用意するって言ってたぞ」とフェリーペが代わりに答えてくれたが、それでは私の望む答えではないんだよね。


「でも、どの様に?試合のコート設営にも関わってくるし、生徒の応援がコートの周りに鈴なりになっていると、保護者はコートの中が見えなくなるかもしれないし・・・・」

「おおお!良いところに気が付いたな。よっし!それはオレが学園側に確認してみよう。それに合わせてコートを設営したり、応援する生徒を配置したりしよう。あ、それとフェリーペ」

「はい」

「そろそろ実行委員会を立ち上げないとだな。練習試合を彼らの間だけで活発にする様に促したいしな。今年はウチのクラブは練習試合は3つ4つだけにさせてもらおう。どっちにしても委員会の立ち上げは早い方が良い」

「分かりました」


 ボブが作戦会議室とダイニングキッチンの間に設置されている掲示板のところのロードマップにフェリーペの名前を書き込んだ。


「ところで、今練習試合をしているクラスはボールとかはどうしてるんだ?」

「それは学園側に預けていたのを貸し出している様だったぞ」

「じゃあ、ウチとしてはボールの管理まではしなくて良いってことだな」

「いや、アディ、貸し出しの機会が増えると、こっちでやってくれとか言い出すかも」

「そうだな。まぁ、それは言われた時に考えるか。実行委員会に丸投げしてもいいしな」


 あれよあれよと言う間にポンポン話しが進んで行く。

 それに引き換え、大公様の宿題は全然進んでいない。

 セシリオ様が作ったドッジボール大会のロードマップが目に入る。

 大公様の宿題、せめてロードマップだけでも完成させたいけど、今は無理だなぁ。

 この前、クラブのみんなが手伝ってくれると申し出てくれたので、こちらから提示すべき物は早く提示したいんだけどね。


「早く作らなくていいの?」とこの前勇者様には言われたけど、今は宮廷晩餐会の方が大事なのだよ。

 それにこのロードマップ、週末にちょっと手を付けてみたらめちゃくちゃ複雑になってきたしね。

 っていうか、備品購入リストが完成していないから、それ抜きで進めようかなって思ってるところ。


「アウレリア、どうちたの?何か考えていまちゅね」

 アドリエンヌ様は時々こっちを良く見ていて、偶にこんな風に気遣ってくれる様になった。

 そんなアドリエンヌ様の頭にはメグと私がプレゼントした造花で作った花冠の様なカチューシャが載っている。

 その造花はアドリエンヌ様に貰ったサマーヤーンで作ったもので、私たち二人とお揃いになっている。

 実はそれ以外にも庭仕事をする時の腕抜きとエプロンも作ってプレゼントしたので、2階にいる時は腕抜き姿のアドリエンヌ様を見る事が出来るのだ。ふふふふ。貴重だよ。クラブ以外では見られないものね。


「え?いえ。特に何をと言うわけではないです」

「しょうなの?問題があったらみんなにしょう談しゅるのですよ」

「ありがとうございます」


「お前も大公様の宿題とか色々抱えているから悩む事も多いだろうが、宿題の方は3年の猶予があるのだから、少しゆったり構えないとすぐに潰れてしまって身動きが出来なくなるぞ」

 およ。闇王様には私が何に悩んでいるのか分かるのかしら?

「お前は平民だからそういう教育は受けていないかもしれないが、宿題は絶対に1人でやらなきゃいけないという事もないし、ここにはお前に協力してくれる仲間もいるし、兎に角、建設工事なんかの期限がある物だけ先にやって、後から何かを増やしたかったり減したい場合は、都度変更を加えるでいいんだぞ。最初っから完璧に作る事は出来ないぞ」

「御忠告、あ、ありがとうございます」


 貴族の子息の教育って、大きな計画をどうやって進めるとか、人の使い方なんかも含んでるの?すごいなぁ。

 私なんてあれもこれも早くやらなくっちゃって気持ちだけ空回りしてたよ。

 よっし!出来る事からやるしかない!

 工事だって魔法が使える世界なんだから、地球の時程時間が掛からないだろうし。

 案ずるより産むが易しのはず!うん、きっと、絶対に・・・・。

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