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料理魔法なんて魔法あったんだぁ  作者: 花明かり
天色の章 <前半>
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 週末になり、伯父さんたちの練習の成果を見せてもらっている所だ。

 ナスカのお菓子作りが可成り上達しているのにはびっくり。

 若いから物覚えが早いのだろうか?

 それもあるかも知れないけどやっぱり溢れる程のやる気だと思う。

 ザ・孤児院ズはみんな良く働いてくれるけど、ナスカは特に技術を体得することに飢えているという感じで、マルタ伯母さんが教える事をスポンジの様に吸収している感じだ。

 面白い事に同じ孤児院出身でもハムやドムは庭仕事を覚える事もだけど、職業的な技術の体得も一生懸命だけれど、どちらかというと店に対しての忠誠が強い感じに見えるんだよね。

 まぁ、実の所は本人じゃないから分からないけどね。


 こんなに頑張ってくれているんだから、父さんにナスカの給料を上げてもらう様に交渉しないとだね。

 なんて思ってたら、ちゃんと数か月前から上げていたらしい。

 流石父さん。

 どうやらマルタ伯母さんの助言に従ったらしい。

 マルタ伯母さんは本当にいろんなアイデアを出してくれたり、働いている人の事をちゃんと見ててくれるので、調理場の要なんだよね。

 調理場の長はスティーブ伯父さんなんだけどね。


 もう晩餐会の料理は問題無く作れるところまで上達しているので、手順を忘れない様に定期的に作るくらいで良いかもしれない。

 で、次のステップとして、伯父さんたちが付けてくれていたそれぞれの調理の時間の記録を見て、料理を出すタイミングと合わせて誰が何から作り始めれば良いか、どんな道具が必要かなどの洗い出しをする仕事が待っている。

 城のお仕事じゃなければ、そういうのは料理人の経験を元に頭の中で組立たりするんだけど、流石に国の外交に関係しているんなら、そういうのに慣れていない私たちだしきっちり準備しておくに限る。


 その為にはウチの賄いとして同じ料理を出して、それぞれのお皿の食べ終わるタイミングを計ったり、フェイ伯母さんのウエイトレスとしての経験も反映させ、大体の食べ終わり時間を計算する所からやらなくちゃね。

 ということで、今日の昼の賄いはフルコースだよ。


「うめぇぇ」

「美味しいね」

「このステーキ、ソースも美味しいけど二種類のお肉で作ってるから面白いね」等と、みんなでワイワイおしゃべりしながらの昼食となった。

 本来なら昼の営業があるので皆パパっと食べるのだが、今日は少し早めに食べ始める事にして、ゆったりと食べてもらった。


 私が考えたメニューだけど、焼き加減や味付けに伯父さんたちが工夫を凝らしてくれ、より美味しいコース料理となっている。

 ありがたやぁ~。


「これで酒も一緒に飲めたら満点なんだがな」とは、トマムさんの談だ。

 ザ・おじさんズはみんな頷いていた。


 皆のお陰で大体の時間の計測が出来たので、今日の午後、私は自分の部屋で作業手順書を作る事にした。

 給仕は城側の人がするから、作る人だけ城に上がれば良いのだが、責任者として父さんは一緒に来てもらわないといけないし、勿論私も一緒に行く。

 スティーブ伯父さん、トム伯父さん、マルタ伯母さん、ナスカは必ず来てもらわないといけないけど、まだ数名分枠がある。

 誰を連れて行くかは父さんに任せるとして、仕事の内容だけは私が決めておかないとだよね。

 あ、食前酒とかの用意にトマムさん達、バーテンダーも必要かも。


 食材を運んだり、皿を用意したり、鍋や皿を洗ったりする人が必要だものね。

 調理以外の仕事も作業手順書の中に書き入れ、父さんに手渡した。


「父さん、一応は考えてみたけど、伯父さん達、特にマルタ伯母さんに感想を聞いてみて、手直ししてもらって欲しいの。もちろん現場では突発的に色んな作業が出てくると思うから、ここに書いてある通りにはいかないので、目安として使って欲しいと伯父さんたちにも伝えておいてね」

「ありがとうな。そうするよ」


 これで晩餐会の準備はある程度出来たと思う。

 まだ1か月くらい時間があるから城から何か修正してくれと言われても対応できると思う。

 はぁ~、ホッとしたよ。


 さて、余裕が出て来たので、ここら辺で大公様の宿題のロードマップ作りでもしますかぁ。

 週末中考えて作ったロードマップの下書きは大きく分けて4つの内容になった。

 候補地の選定、ホテルの箱もの建築、ホテル従業員の教育、備品等の購入の4つだ。


≪候補地の選定≫

・候補地の確定

 ⇒ダンテスさんからの資料を基に決定し、大公様の了解を得る事。

・候補地の中の優先順位を付ける事

 ⇒先に建設を始める町或いは村を年単位で分ける。

  例)1年目、大都市2つ

    2年目、大都市1つと村1つ等


≪ホテル建築工事≫

候補地の優先順位に従い工事を行う

・候補地の特性を活かした設計

・専門家による実現性チェック(大公様担当)

・専門家チェックを反映し最終設計図作成

・工事業者選定及び工事開始(大公様担当)

 ⇒建材調達も含む

・工事終了後のチェック

・次年度の候補地で同じ作業


≪従業員教育≫

候補地の優先順位に従い従業員を募集し教育を施す

・従業員の職種を決める(コンシェルジュ、受付、清掃係、調理師、ベルボーイ等)

・候補地ホテルの必要な従業員数の決定(ダンテスさんに要相談)

・各職種毎の業務マニュアル作成

・従業員の制服デザイン

・従業員募集及び研修開始(大公様担当)

 ⇒マニュアル等を元に研修開始時期を決める

 ⇒研修期間も給与が発生する事をダンテスさんに念押し

 ⇒研修場所の確保(全てのホテルの従業員を一か所で教育?それとも各地元で?)

・従業員の制服作成


≪備品購入≫


 ロードマップはまず候補地の選定から始まり、途中から3つのブロックに分けて書いた。

 その3つとはもちろん建築工事、社員教育、備品購入だ。


 備品購入はロードマップに何時何を買うという印は入れてない。

 それより先に備品一覧を仕上げる事の方が大事だ。

 備え付け家具、調理場の道具、リネンや皿、鍋など、ハンガーやら庭園の手入れ道具まで全部を上げるとキリがなさそうだけれど、一応思い付く物を全部リストアップしなければ大公様もどれくらいの初期投資が必要なのか想像もつかないと思うんだよね。


 まずは候補地の建物の形状やどんなサービスを提供するのかが決まらないと購入品も決まらないのが実のところだよね。


 ちょっとずつで良いから、このロードマップを完成させないとだね。

 はぁ~、そうは言ってもまだ晩餐会の方も気は抜けないし、まだまだ肩に力が入ったままの生活が続きそうだ。

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