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料理魔法なんて魔法あったんだぁ  作者: 花明かり
天色の章 <前半>
212/546

5

「ヘルマンの異母妹かぁ・・・・。う~ん。やっぱり部員には出来ないな。イベントの時のお手伝い要員としてなら考える事も出来るが、部室に入れる気はないなぁ」

「はい、分かりました」


 私が屈託なく闇王様の決断を受け入れたのが気になったみたいで、闇王様は「お前んところの元雇い主だが、それでいいのか?」と心配そうな顔をしている。

「はい。元々新規の女子部員は入れる心算がないとおっしゃっていたので、お断りになる事は分かっておりました。でも、ご本人が繰り返し希望されたので、一応アドルフォ様に確認させて頂いたんです」

「そうか。じゃあ、例外なしで部員にはしてやれないが、イベント準備要員としては優先的に頼む事があると伝えておいてくれ。しかし、女子部員は入れないと何度も説明したのに納得しないとなると、性格的にもウチのクラブとは合わないだろうな」

 闇王様のこの呟きに同意する訳にもいかず、無言を貫いたけど、返事がないのが返事となった。


「むぅぅぅぅ!!!」

 闇王様からのイベント要員として優先的に声を掛ける可能性はあるとの返事を、伝言ゲームよろしくファティマ様にお伝えしたけど、顔を真っ赤にして怒り出した。

「私に魔法スキルが無いから、入部させられたないってこと?」

「いえ、最初から女子は受け入れられないと繰り返しご説明しました。それが理由です。イベントの時、お手伝いして頂く時に優先的にお声掛けするということで許して頂けないでしょうか。それがアドルフォ様のご意向ですので」


 言葉を尽くして説明してもファティマ様は納得されない様だったので、ご自分で直接闇王様に話して欲しいと試しに言ってみた。

「まっ!あなた、それが出来れば既に自分でアドルフォ様に問合せしています。それが出来ないからあなたなんかに頼んだのよ。それなのに使えない人ね!」


 こちらの骨折りに対して感謝なんてしないだろうなぁとは思ってたけど、感謝どころか、ここまで高ビーな態度を貫かれるとは思ってなかったよ。

 ファティマ様が部員にならなくって良かったよ。

 こんな雰囲気で毎日あややクラブの部室に居られたら、私は即退部して、錬金術クラブの方だけで活動することになっただろうなぁ。飲茶係だから実際に退部させてもらえるかどうかは別として・・・・。


 この前も思ったけど、ヘルマン様は周りに合わせてくれる方だったから良かったけど、ファティマ様は妾腹とか魔法スキルが無いとか女であるとか、いろいろコンプレックスが強そうだ。

 こういう嫌味な態度も、そんなたくさんのコンプレックスの裏返しなんだろうなぁ~と思いつつも、苦手は苦手なんだよね。

 

 私としてはあややクラブのイベントと、錬金術クラブの即売会と、ウチの店、そして大公様からの新しい宿題で手がいっぱいなんだよ。

 まだ高級宿、もう高級ホテルって言った方が私的にはすんなりイメージが沸くから、高級ホテルって命名しちゃおう。

 まだ、高級ホテルについての案は固めていないけど、地球のをまんま真似るので良いとは思うんだ。

 それに、魔法のある世界なので、地球のホテルにないサービスも提供できる気がするんだよね。

 どっちにしても、こっちの人に私が持ってる地球の高級ホテルのイメージは伝わらないと思うので、図面や絵で説明しないとダメだろうしね・・・・。はぁ・・・・作業量を思うと溜息が出てくるよ。


 後3年くらいの猶予を貰っているから、最初の1~2年はサービスの種類とかその提供の仕方、建物や家具のデザインを考えればいいかなぁって思ってる。

 そのくらいのんびり考えないと、息もできない程追い詰められてブラック企業よろしく灰になるまで働かされそうだよ。

 

 あややクラブのイベントは去年と全く同じ物だけやってもらいたい。

 頼むから新しいイベントとか言わないで欲しいよ。


 ファティマ様の嫌味をじっと聞くフリをして、頭の中ではそんな事を考えていた。

 クドクドと言いたい事を言い切ったファティマ様は、授業が始まるので自分の教室へ急いで帰っていった。


「しかし強烈な人だったなぁ」

 ファティマ様とのやり取りを物陰で聞いていたフェリーペがウンザリって顔をした。

 ウンザリなのはこっちだよぉ。


 そしてファティマ様はしつこい性格なのだろう。

 私達があややクラブの部室へ行くと必ず玄関脇に立っている。

 

 三角にした目でジトっと睨まれながら部室に入るのがとても苦痛なのだ。

 セシリオ様にはファティマ様の事を話してはないのだけれど、闇王様経由なのか、それともいつもの彼独特の観察眼の賜物か、ファティマ様の存在とその立ち居振る舞いについて、「モンテベルデ家に苦情を言っておいたよ」と新学期の2週目には言って来た。


「もちろん君たちに害が及ぶ様なやり方はしていないから、少なくともモンテベルデ家が君たち、特にアウレリアさんに何か含むところがあるといった感じにはなっていないから安心して」

「あ、ありがとうございます?」

 え?本当にウチに害がないやり方でしてくれたのかな?


「部長であるアドルフォが新規に女子部員は入れないと言っているところ、アウレリアさんを通して何度か申し込みがあったが、都度お断りしているのに部室の入口にいつも立たれているのは部員全員に居心地の悪さを齎しているってはっきり言っておいたから。特にその不快感は平民の君たちではなく、貴族の僕等が感じてるって言ってあるからね」


 それで私達平民部員に害はないのだろうか?

「ヘルマン様とは仲良く半年クラブ活動をさせて頂いて良い縁が出来たとクラブ全員が思っている状態を壊さない様にとも言っておいたから」

「よかったね、リア。これでちゃんとリアがファティマ様の要望に従って入部できる様に働いた事も向こうに伝わっただろうし、クレームを出しているのはリアじゃなくて貴族部員だって事も理解してもらえたと思うよ」

「う、うん」

 メグが心配して私を励ます様にセシリオ様の話を繰り返してくれる。

 大丈夫って繰り返されると、段々と気持ちが落ち着いてくるから不思議。


 セシリオ様がご実家を通してクレームを出した後からは、ファティマ様が部室の玄関に立ちんぼする事はなくなったし、私たちの教室まで来て騒ぐ事もなくなった。

 本当にこれで解決したのならいいんだけど・・・・。

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― 新着の感想 ―
一発、大公パンチしたれw
ファティマ…正攻法(圧だけど)じゃダメとなれば、次は 陰湿な手段を取るんじゃなかろうか?
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