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料理魔法なんて魔法あったんだぁ  作者: 花明かり
天色の章 <前半>
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従妹が戻って来た!3  

「「「おおおお!!」」」

「すごーい!」

 生徒たちが感嘆の声を上げた。


「今日は王都からアウレリアとそのお友達が来てくれました」

 パルマン先生が紹介する前から、キラキラしいこれぞお貴族というリアの友達たちを見たウチの生徒たちからの歓迎の声が上がった。

「貴族の方もいらっしゃいます。失礼のない様にね。では、アウレリア、みなさんを紹介して下さい」

 神父に言われ、アウレリアが横並びで立っていた王都組から一歩前に出た。


「お久し振りです。今、学園の年度替わりで長期のお休みに入ったので、ゴンスンデにいる友達に会いに移動しているので、これ幸いとポンタ村へ寄ってみました。こうやってまたみんなと会えるとは思ってなかったので、会えてとても嬉しいです。ここにいるのは王都の学園で知り合ったお友達です。それぞれに自己紹介をしてもらいましょう」

 そう言われて、あの顔は良いけどエラそうな男子から順に自己紹介を始めた。


 王都の連中の自己紹介が終ったら、今度は家の村の連中の自己紹介になった。

 おもしれーのは、みんなすんごく緊張してたって事だな。

 しかし、緊張ってのはうつるんだな。俺もちょっと緊張したぜ。


 一旦お互いの自己紹介が終ると、アウレリアの王都の友達は一旦教室の後ろに固まって小さな声で自分たちだけで話し始めた。

「おおお!村の学校ってこういう大きさなんだ」

「へぇ、教会の一部なんだね」

「日曜だけの学校なんでしゅの?」

「小さくて可愛いな。村の学校って」


 子供の他にも貴族のおぼっちゃんの家が派遣している執事とか言う男が、遠巻きにみんなを見てるけど、別に「これをしなさい」とか「あれはしちゃいけません」なんて事は言わない。

 パルマン神父や教会の下男とは一言二言挨拶みたいなのを交わしていたけど、その後は黙って立っているだけ。

 到着した時、馬車の前に座って馬を操作していたので御者かと思ったら、アディとか言う人の家の執事っていうもっと位の高い使用人とのことだ。

 もう一つの馬車の御者はちゃんと普通の御者だったけどね。


 今回の学校訪問にしても、アウレリアはまずパルマン神父に挨拶したいと言ったので、生徒が登校するよりずっと前に学校に来て、まず、いの一番に神父様に会いに行った。


「アウレリアさん、おかえりなさい。元気そうですね。学園はどうですか?」

「先生、お久し振りです。お陰様で入試の順位が1位でした。お友達もたくさん出来て学園は楽しいです」

「そうですか。あなた程の才能と知性があるのに学園に行かないのは勿体ないと思っていたので、あなたの気持ちを変えて下さった大公様には感謝ですね」

「はい。で、先生はお元気でしたか?」

 なんてやり取りがあったのだけれど、この執事さんは簡単に挨拶だけして後ろに控えているだけだった。

 村の大人なら子供が話す前に、大人同士で話したりするんだけど、雇い人らしいから親とはスタンスが違うのかもな。


 貴族は男子2人、女子1人。みんなすげー綺麗な顔をしているし、服も見た事がないくらい上等な物を着ている。

 しゃべり方はアウレリアみたいな敬語?を使う。

 つまり、普段俺たちが話す言葉じゃないってことだ。


 ラーラなんて目をハート型にして貴族男子2人を見つめている。

 あいつは以前アウレリアの所へ突然家出して飛び込んだ前科があるな。

 だけど今回リアが戻って来て、まだ一度も王都の件について謝罪していないんだよな。

 マジで自分勝手な奴だ。

 今回、リアの友達の綺麗な男子を見て、またフラフラとアウレリアの所へ家出しちゃうかもな。


 授業を興味深そうに見ていた王都の連中は、授業が終わるとウチの学校の奴らと一緒に遊ぶ事になった。

 明後日にはゴンスンデに向けて旅立つので、一緒に遊べるのは今日しかない。

 村の子供が思いっきり遊べるのは学校のある日曜くらいなので、明日は俺らの方が遊べないのだ。

 皆家の手伝いがあるからな。


「アウレリア、王都の学校は大きいの?」なんてパメラがアウレリアにぴったりくっついて聞いている。

「うん、すんごく大きいよ。ポンタ村全体より大きいよ」

「「「ええええ!」」」

「村よりも?一つの建物の方が大きいの?」パメラは理解できなかったみたいで質問してた。

 かく言う俺も理解できなかった。

 学校の建物が村全体より大きいってどんなんだ?


「建物も大きいんだけど村より大きいのは敷地の方ね。とても広くてね、その中に全部で10以上の建物があるの。ポンタ村の学校は通いだけど、学園は生徒全員が寮で生活しているからね、勉強する建物だけじゃなくって生活するための建物とかもあるんだよ」

「想像できな~い。どうしてそんなに広い敷地なの?たった10しかない建物なのに?」なんて、横からフェリシアまで加わってあっちの様子を聞きたがった。


 魔法の属性毎の講堂や、寮があったり、校舎も4階建てなんて説明してくれるけど、教室がいくつもあるっていうのが想像がつかないぜ。


 ラーラが「また行きたい」とポツリと言った時、アウレリアの顔が青くなって、ちょっと笑った。

 本当は笑っちゃいけないんだけどな。

 あの後、王都から連れ戻されたラーラはものすごく沈んでて、パメラとかにも当たり散らしてたな。

 あの時はパメラが可哀そうだったよ。

 なんでもラーラは結婚相手が決まったらしく、それが嫌だったらしい。

 相手は別の村のパン屋の息子らしく、結婚したら別の村に住むので、それも嫌なんだとか言ってた。


「家出しても、もう家では働けないよ。従業員が増えて、もうお部屋もないし・・・・」なんてアウレリアもラーラがまた来ない様に必死に言い募っていた。

 まぁ、連絡も無しに来られてもウチみたいに宿屋とかでなければ部屋もないし、迷惑なだけだよな。

 元々、リアはパウラとは結構仲良くしてたけど、ラーラとは村に居た時からあんまり話が合わなかったみたいだしね。


 そんなこんなで賑やかな学校訪問も無事終わり、翌々日の朝、リアたちは例の豪奢な馬車2台に乗ってゴンスンデへ向かった。

 王都への帰りにも、もう一度寄って行ってくれるというから、今から楽しみだ。

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