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料理魔法なんて魔法あったんだぁ  作者: 花明かり
天色の章 <前半>
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従妹が戻って来た!2

「ふへぇ~」

 高く聳えるどこまでも続いていそうな高い石塀。

 フェリシアん所の農地の端っこにあった未開拓の土地にデーンと建っている。


 リアが王都の職人に頼んで2~3日で建てたそうだ。

 なんでも魔法を使ってジャンジャン石が積みあがっていく様は見てるだけで面白かったとフェリシアが自慢する。

 自慢した所でフェリシアん家は何もしていなんだけどな。

 だってこれ全部家のリアが手配したんだぜ。

 どんだけお金が掛かったんだろう?


 家の父さんが言ってたけど、リアって子供らしくないだけじゃなくって、そんじょそこらの大人より頭が良いらしい。

 レティシア叔母さんが綺麗だ綺麗だって村中の人が言うけど、俺は一度も会った事がない。

 でも、そのレティシア叔母さんに瓜二つって言われているリアは確かに美人だ。


 魔法も使えて、誰も見た事も無い美味しい料理をポンポン作り出すし、王都で自分の店も持っている。

 貴族が通う学園で勉強していて、今回もすんごい高そうな服を着ている貴族の友達やらをたくさん連れてきているしな、母ちゃんが言うには今ではお金もすんごく稼いでるらしい。あの年でだぞ。俺とそんなに違わないのに、王都でも有名な店を持ってるんだと。すごいとしか言い様がない。


 しかし、なんだなぁ。

 これだけ大きな囲いの中に、またまた大きな鉄の塊、いや鉄の枠だけで作られた建物がある。

 塀の外からは見えない様になっているんだけど、これからリアが鉄枠に何かを嵌めるらしい。

 鉄枠建物のど真ん中に置いてあるいくつかの木箱の中身が建材なんだと。

 果たしてどんな建物が出来るかな?


 そうこうしていたらリアが作業を始めた。

 ここには例の王都の友達たちは連れて来ていない。

 親戚のセレスティーナ婆さんの家を訪問すると言って家の宿に置いて来たんだ。

 本来なら俺が宿に残ってリアの友達に村を案内しなければいけないんだろうけど、今日は銘銘が好きなように過ごす日なんだと。

 助かったぁ。

 お陰でリアと二人だけで過ごせる。


 1年半前、リアが王都へ行った時、今度会えるのは大人になってからだろうなって思っていたから、こんなに早くに再会できて、マジで嬉しいよ。


 おっ!リアがとうとう作業を始めるらしい。

 怪我をしない様に堀の端っこに行っておいてって言われたので、作業は見えるけど、怪我などしそうにない塀の脇に座った。


 木箱に左手を置いて、右手を鉄枠の方へ向け何か小声で言っている。

 なんと!透明な物が鉄枠の一つに嵌った。

 あれは何だ?

 すごく透明で陽の光をそのまま通す。


 見学しているとあっという間に鉄枠の半分が透明な物で埋まった。


「ランディ~。お昼にしようかぁ」

 そう言ってリアがこっちに走ってくる。

「お前すげぇな。あの透明なのは何だ?」

 運んで来たバスケットの中からパイだの水だのを取り出しながら、午前中ずっと不思議に思っていた事を聞いた。


「ああ、あれはガラスよ」

 え?でも、ガラスってもっと曇ってなかったか?

 村にはあまりガラスがある家は無いんだけど、その少ない機会で見た事があるガラスは小さくて分厚くて濁っていた。ちょっぴり緑色みたいな色も薄くついていた。

 なのにリアが魔法で呼び出したのは無色透明。

 曲がってもいないし、分厚くもない。

 すげぇぇ。


「午後には全部ガラスが嵌るので、フリアン伯父さんにいろいろ説明しないとね。でも、魔法を普段から使っていたので魔力量が増えたんだなぁ。一日で全部のガラスを嵌められそうだよ。嬉しい」と何やら訳の分からない事を言って喜んでいるリアは、大きな口を開けてデザートのパイに齧り付いた。


「ん?これ南瓜じゃないんだね。サツマイモかな?美味しいね」

「うん。父さんが一生懸命甘い野菜を探してサツマイモをパイに入れる事を思い付いたんだ。南瓜も人気だけど、サツマイモはサツマイモで人気があんだぞ」

「うんうん。これだけ美味しいと人気があるのも分かるよ」


 リアにそう言われると、父ちゃんの努力が認められた様でめちゃくちゃ嬉しかった。


 午後中を使って『温室?』っていうのに、全てのガラスを嵌め終わったリアに頼まれて、フリアン伯父さんを呼んで来た。


「おおおお!こりゃ、すごいな」

「伯父さん、忙しいのに呼んでごめんなさい。ランディ、伯父さんを呼んで来てくれてありがとう。それで、伯父さん、これは温室っていう建物なんだけど、国広しと言えども温室があるのは王都の私の店とここだけなの。高位貴族様たちから自分たちの庭にも建ててくれっていう要望が山の様にあるのを大公様の御威光を使って何とか断っている状態なの」


「え?そんなすげぇモンをここに建てちゃって大丈夫なのかい?」

「だから、高い塀を建てて、外からは見えない様にしているの。中には獰猛な番犬を2~3匹放し飼いにして、関係の無い人はここへ入れない様にしてくださいね」

「お、おう・・・・」

「この前王都の大工さんと一緒に届いた種や苗、苗木をこの中に植えて下さい。収穫した物は全て家の店で買い取ります。野菜の運搬もウチの店の専用の馬車と護衛が来て運ぶので、最初の野菜の収穫期直前に冒険者ギルドを使って手紙で知らせて下さい」

「わ、わかった・・・・」

「ホンの少しならば伯父さんの家族で食べたり、ランディの家に分けてあげるのは良いですが、基本はウチの店で出す料理の食材ですから、味見程度の量に留めておいてくださいね」


 リアは温室の注意点や温室がここにある事がバレると大変な目に合うのでくれぐれも人に温室を持っている事は言わないでと繰り返し念を押していた。

 家にも少しお零れがもらえるとあって、どんな物が貰えるのか今から楽しみだ。

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