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料理魔法なんて魔法あったんだぁ  作者: 花明かり
天色の章 <前半>
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「「「かんぱーーーい!」」」

 本日はあややクラブの1階で、サクラのメンバーも含めてのお疲れ様会だ。

 ふふふふ。がんばっちゃいましたよ~。

 何せ、学園で初めて作るおやつじゃない料理。


 本日のメニューは;

市販のクラッカーと手作りディップ3種

(ワカモレ、パパイヤ・アプリコット・ナッツ入りのクリームチーズ、サーモンクリームチーズ)

インゲン豆のマヨネーズ和え

トマトカプレーゼ

デビルドエッグ(ゆで卵の上に色々乗せた料理)

太刀魚のベーコン巻

から揚げ

クリームパスタ


 これらをテーブルの上に所狭しと並べ、最後に牛肉の塩釜焼きを一番力があるヘルマン様に運んでもらい、みんなの前で塩釜を割るパフォーマンスを喜んでもらうのだ。


 サーモンクリームチーズは前世でも突然のお客が来た時に大いに助かったレシピで、サーモンフレークとクリームチーズをただ混ぜるだけでめちゃくちゃ美味しい。

 パパイヤやアプリコット、ドライフルーツが入ったクリームチーズは前世でお取り寄せしていた物をスキルで呼び出し再現してみた。

 前世の私の大好物だったからね。是非にでも、皆に食べて欲しかったのだよ。

 インゲン豆は茹でただけだけど、歯ごたえが残る様に茹で加減に拘り、マヨネーズもウチの店で手作りしたもので和えたのだ。

 まぁ、マヨネーズはこの世界には無くて、ウチの店でしか出してないので、みんなには初めての味になるかも?


 デザートはフルーツポンチにさせてもらった。

 もちろん、お酒は入れてないよっ。

 フルーツをカットしてシロップとかサイダーと混ぜるだけ。

 まぁ、そのカットも星型やハート型等、結構凝っているんだけどね。

 そして、白玉も入れてみました。

 ちょっと見はウズラの卵の様にも思える大きさなんだけど、口に入れるとフルーツとは違う食感を楽しませてくれる一品なのだ。

 簡単で美味しいは正義よね。


 メニューの半分は冷たい料理なので、前日に作っておいて問題ないし、大皿料理なので着席ではあるけれど配膳の必要がないので、作るのは楽ちんだ。

 後片付けはメグや闇王様のところの使用人がやってくれるみたいなので、作りっぱーな所が嬉しい。

 まぁ、料理しながら使った鍋等はすぐに洗ってはいるから、使用人がしてくれるのは食べ終わったお皿を洗うのとゴミ捨てくらいかな。


「しかし、どれを食べても美味しいな」

 ヘルマン様が全ての料理を一口ずつ食べて感心したという風に感想を零した。

 もっと褒めて~。褒められて伸びるタイプなのよ、私。


「うん。おやつもいつも美味しいけど、料理も美味しいな」と言うフェリーペに、ボブとメグが無言でウンウンと頷いている。

 二人の口の中にはまだいっぱい料理が入ってるから話せないものね。


「みなさん、いつもこんな美味しい料理やおやつを食べてるんですか?さすがクリサンテーモですね」とオスカル先輩が興奮しながら1人納得という器用な顔をしている。


「そうだな。甘いのも、甘くないのもいつも美味しいぞ」

 自分で作ってるわけではないのに何故か踏ん反り返る闇王様に、「ええ、いちゅも美味しいですわ」とアドリエンヌ様も追従している。

「いいですねぇ。流石、クリサンテーモのコックですね」と羨ましいという気持ちを込めた目で闇王様を見つめるオスカル先輩。

 もちろん私が作っている事は秘密にしているので、サクラの皆は、これを作ったのはクリサンテーモの食堂だと思い込んでいるんだよね。


 何事も空気を読むのが上手いセシリオ様が、どこが料理を作ったかという避けたい話題をぶった切るために、「明後日の期末試験が終ったらいよいよ即売会ですが、みなさんのクラブは何を売るつもりですか?」なんてうまい具合に話題を変えてくれた。


「美術クラブは例年通り絵画の販売だな。もちろん似顔絵コーナーも開くぞ」

「錬金術クラブは夫々が作ったモノの出品だから様々だけど、俺はドライヤーっていう髪を乾かしたり、スタイリングする道具が漸く出来たので、それを売る予定です」


 ディップをこんもりと盛ったクラッカーを食べ終えたタチアナ先輩は、「私は時計ですね。これは、今回あややクラブに所属している4人や他の1年生部員と一緒に作ったんですよ。なんとですね、懐中時計と言って小さな時計なんですが、鎖が付いているのでズボンのポケットに仕舞えるんですよ。重くないし、小さいしで画期的な商品なんですよ」と少し誇らしげに言った。


「へぇ~。値段によっては欲しいですね。僕もこれで卒業ですし、父の領地経営を手伝わないといけないので、田舎でも持ち歩ける時計があると、時間管理が楽になりますねぇ」

「ヘルマン様は卒業後、領地へ行かれるんですか?」と興味津々なのはベラドンナ様だ。

「ええ。結婚したばかりなので、妻に領地を知ってもらいたいですしね。妻と一緒に暮らすのは卒業後からなのでお互いを知るため、静かな土地でゆっくりっていうのもあります」


 貴族の間では小さな時から婚約とか、まだ学生の内に結婚して、一緒に暮らすのは卒業後からというのは珍しくない。

 ましてやヘルマン様の場合、早く魔法スキル持ちの子供が出来ないと爵位を継げないしね。焦るよね。


 今回、タチアナ先輩も私達4人も鳥人コンテストの準備で忙しく、一人一人で商品を開発するのが難しいので、この5人とランビットでチームを組んだのだ。

 設計と組立はランビットが主になって、部品の加工は私達魔法スキルのある者が主になって開発を進めて来たのだ。

 正直言うと、錬金術の機械に魔力を通すだけだったので、負担は少なかった。

 期末試験が終ったら、全員で残ってる組立作業を進める事になるんだけどね。

 まぁ、ある程度は既にランビットが組立をしてくれているので、そんなに時間を掛けなくても作れると思う。ランビットに感謝!


「そう言えば、みなさんは夏休みはどうされるんですか?」とタチアナ先輩。

「オレたちあややクラブはゴンスンデへ行く事が決まっている」

 そう、闇王様が言う通り、私がおぜん立てしましたよ。

 メグん家ツアーを。

 もちろんポンタ村経由でございます。


「あちらでイベントでも?」とは、魔法クラブのスミス先輩。

 この方結構無口なタイプなんだけど、イベント好きなのかもしれない。

 イベントと言いながら目がランランとしているよ。


「いいえ、ウチのクラブの殆どが未だゴンスンデを見た事がないので、良い機会なので行く事にしたんですよ」

 セシリオ様がおっとりと答えた。


 そんなこんなでお疲れ様会も無事済んだし、後は期末テストと、即売会で夏休み。

 夏休み明けは私たちもとうとう2年生だもんね。

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