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料理魔法なんて魔法あったんだぁ  作者: 花明かり
天色の章 <前半>
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「全員が同じ仮装っていうのも案外いいかも?その仮装している人はスタッフって言う意味にもなるしね」

「おお!セシリオの言う通りだな。じゃあ、リア、お前仮装案の絵を描け」

 早速、闇王様からのお達しがあり、週明けまでにはいくつかデザインを考えて来る様に言われた。

 でも、もう、私の頭の中にはパクるための絵が浮かんでいるんだよね。

 地球のアニメや実写映画なんかで見た「ヤバダバド〇ー!」なんて叫んでいた3頭身のあのキャラたちが!

 その為か、自然とニヤリと笑っていた様で、みんながドン引きしていた。


 この世界にも原始人の時代があって、プリミティブな道具しかなかったらしいのは地球と同じ。

 当時の服なんて毛皮を腰回りに巻くくらいしかないとは思うけど、当時人間と共存していたと思われる巨大生物の骨なんかを頭に刺したり、首飾りにして、特徴のある毛皮のフェイクで服と靴を作る。

 作るのが楽でいいじゃん。

 ふぉふぉふぉふぉ。見てらっしゃい。地球の英知を結集して、デザイン画を仕上げてみせますとも!!

 なんならイベントの日の挨拶を「ヤバダバド〇ー!」で統一したっていいよ。

 全ては楽しめればいいんだものね。ふぉふぉふぉふぉ。


 そんなこんなでドタバタしていたら週末が始まってしまった。

 2週間ぶりに家に帰れるのが嬉しい。

 本来なら2週間に1度の孤児院への奉仕活動の日だけど、今週末はお休みして、ボブん家の工房を見せてもらう事になっているのだ。

 だから賄い作りも今週末はお休みさせてもらってる。

 もちろん夜の営業の時、調理場に入って伯父さん達の猫の手になる心算ではあるんだけどね。

 まぁ、それもこれも体力的に疲れていなければって事だね。


 ボブん家の工房へはメグも一緒で、フェリーペは馬車を出してメグと私を連れて行ってくれる事になった。いつも馬車に乗せてもらって感謝!

 週末に4人だけで集まるのは、ウチへのお呼ばれ会以来なので楽しみだ。


 何でこのタイミングでボブの所の工房を見せてもらいたいかなんだけど、言い出しっぺは私。

 だって鳥人コンテストで巨大スクリーンを作って、そこへ参加者の映像を投影したいなって思っているから。


 オスカル先輩が作って売っていた望遠鏡を持参して見てもらうのも一つの手だけど、それだと一般の人は楽しめないし、数に限りのある望遠鏡を手に出来るのは高位貴族の子弟だけになりそうだしね。


 ボブに相談してみたら、映像に関する道具は種類は少ないがあるにはあるらしい。

 そこへ持って来て、録画できるかとか、音声も一緒に入るかなんて前世の記憶に基づいた質問をいっぱいしていたら、ボブの手には余るらしく「実家(うち)に来てオヤジと話してくれ」って言われてしまった。

 それなら、前から見てみたかった錬金術の工房へ突撃!となったのだ。


 土曜の昼過ぎからお邪魔する事にしているので、手土産は丁度良い事に、ベイクドチーズケーキをお土産として作っていたから、それをそのまま持って行く事にした。

 他の部員には金曜の内に手渡ししたけど、ボブの所だけ土曜に持参させてもらう事にしたのだ。


 あ、スノーボールクッキーの販売ショーケースは金曜の夜、無事クロークの受付台と入れ替えたよ。

 フェリーペの所のマーレさんにもちゃんとお礼のチーズケーキを渡したら、すごく恐縮していたけど、喜んで貰えた。

 すごく喜んでくれたせいないのか、ショーケースをウチの店の中まで運んでくれた程だ。

 ありがたや~。 


 置くべきところに鎮座されたショーケースには、早速、部室で作りためたクッキーをじゃんじゃん焼いて並べて置いた。

 焼くのはナスカも手伝ってくれたので、かなり楽だった。

 少し余分に焼いてもらって、明日孤児院へ持って行ってもらおう。

 今週末は私は慈善活動に参加できないからね、その代わりだね。


 クッキー缶の方はまだ数が揃っていないけど、この週末も家で作ってくれるって言ってたから、明日ボブの家へ遊びに行った時、いくつかは手渡してくれるだろう。


 パンクが食い入る様にショーケースに見入っていたのが印象的で、彼の視線は常に猫にピタリと照準を合わせていたのが微笑ましかった。

 無口な分だけ瞳が全てを語っているというか、寝っ転がってる猫ちゃんや、毛糸玉で遊んでる猫ちゃんへと視線を動かす度に口元がフニフニしてるのだ。


 お客様が見て美しいと感じてもらえるトングをスキルで作っちゃおう。

 トングはステンレス製の飾りのない、中央部が幅広な流線形のスタイリッシュなモノを作り出した。

 既に可愛さはスノーボールクッキーが醸し出しているので、道具はシンプルなモノやショーケースの様にどっしりとした暗い色の木製がしっくりくるんだよね。

 高級感もアップするしね。


「お嬢様、このクッキーは本当に食べるのがもったいないくらい可愛いですね」と、ナスカも嬉しそう。

「ありがとう。今度ナスカにもちゃんと作り方を教えますね。火加減が大事なので、ここの温度計の数値には気を付けて下さいね」と、私のスキルで既存のオーブンに取り付けられている温度計を指さした。

「はいっ。温度に気を付けますっ」

「ナスカは何時も全力で仕事してくれているから、大丈夫だよ」とマルタ伯母さんが夜の下拵えをしながら笑顔でナスカに頷いた。

 ナスカも恥ずかしそうにしながらも、嬉しそうだ。

 これなら、スノーボールクッキーを作るのも任せて大丈夫だね。

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ヤバダバド〇ー!てなんだろう
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