表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
料理魔法なんて魔法あったんだぁ  作者: 花明かり
天色の章 <前半>
178/549

75

「オスカル先輩も協力してくれるそうですっ」

 ウチの部室に条件付きだけど入れるとあって、また、女子学生たちのハート型の目を失望に落とすための仮装というアイデアにも魅かれた様で、OKがもらえた事をフェリーペが声高らかにヘルマン様に報告した。


 ウチの部室って全校生徒の憧れみたいな所があって、実際に中を見た生徒なんてウチの部員以外いないのに、家具等が搬入された時に盗み見してた何人かの生徒によって、まことしやかにいろんな憶測が行きかっているのだ。

 盗み見したとしても、中にはまだ家具が全部は入っていなかっただろうしね。

 完成した部室は部員と使用人以外は見ていないのだ。

 しかも、闇王様やアドリエンヌ様が居心地の良い部室だと言ったらしく、その事が広まっていたり、実際毎日、放課後になると他の部の活動が無い日は、皆勤賞で全員が部室に顔を出している事からも生徒をはじめ先生までウチの部室に興味深々の様だ。


「良くやった!これで錬金術クラブ員1名と魔術クラブ員1名のグループが2つ出来るな。後は美術クラブの方がどっちのクループに入るかを決めないとだな。来週の月曜、あ、いや錬金術クラブは月曜が活動だったな。魔術クラブの活動日って何曜日だろうか?」

 ヘルマン様が若干顔を顰めて悩んでいる。


「それ、全員の都合の良い日なんて無いんじゃないか?ちゃっちゃとこっちで何時ここへ呼ぶか決めた方が早いぞ。話し合いも短めにして、終わったら本来の部活に出てもらうくらいで丁度いいんじゃないか?」

「アドルフォ様が言う通りですね。では、来週の火曜、サクラのみんなをここへ呼びたいと思います」

「わかった」


「で、リアさん、すみませんが、彼らの分のおやつも用意してもらえますか?」

「私が作っている事を内緒にしてくれて、且つ部員のみんなと同じ物で良ければ大丈夫ですよ」

「ありがとう。秘密は守るよ。じゃあ、オスカルとタチアナ様にはフェリーペの方から伝えてもらえるかな?」

「はいっ」

 オスカル先輩は平民だけど、タチアナ先輩は貴族なので、きっちり様を付けて呼ぶあたり、ヘルマン様が身分を大事に思っている事が伝わってくるよ。

 ご自分が伯爵家を継げるかどうかの瀬戸際だしね、そういうテーマには敏感になるよね。


 さて、来週の火曜かぁ。何を作ろうかな?

 私はスノーボールクッキーを大量生産しながらのんびりそんな事を考えていたら、みんなは作戦本部の机を並べ替えて、火曜のサクラのメンバーと何を詰めるかを話し始めた。


 スノーボールクッキーは冷蔵庫を多用するので、冷蔵庫へ入れる過程まで進めて、私も慌てて作戦本部の椅子に座った。


「僕が思うに、大体のセオリーを伝えた方が良いと思うんだよね。で、この前リアさんに聞き取りした内容を纏めてみたのがこれなんだ。ボブ、悪いけど黒板に書いてくれる?」

「はい」


 ヘルマン様が纏めた内容は次の通りだった。


1)湖からはみ出ない様に飛距離は湖に着水できるところまでが対象範囲

  ⇒むしろゴール地点を決め、そこへの近さを競う

   要飛距離、操作性

2)仮装は複数の審査員の評価の合計点による

  ⇒事前に審査ポイントを複数設定し、公開する。

   独創性、美しさ、面白さ等

3)観客向けに解説を行う

  ⇒拡声魔道具の借り出し

  ⇒解説者を決め、参加を要請する

4)サクラが作る物に掛かる経費は誰がどれくらいまで持つのか要確認

5)着水後の参加者の回収をどの様にするか。

6)溺れた者及び怪我人対策

  ⇒救命胴衣を着けていれば基本溺れず怪我もない

  ⇒救命胴衣着用を義務付ける。

  ⇒救命胴衣の入手方法(企画側が用意?参加者が用意?)

7)生徒の湖までの移動手段

8)客席をどの様に設けるか


「ボブ、板書をありがとう。ここに書かれている事は僕が疑問に思っている事や、煮詰めないといけないと思ってる事なんだ。一人で考えた事だから多分抜けがあると思うので、その辺はみんなで話し合いながら詰めていければと思ってるんだ」


 ふぁ、前世の鳥〇間コンテストを見た訳でもないのに、ヘルマン様の纏めがスゴイ!

 よく、ここまで考えたなぁって素直に思うよ。


「ヘルマン、ありがとう。良く纏まってると思う。今、全員揃っているからあややクラブ内の意見をここで纏めよう。このまま司会はヘルマンにやってもらう事はできるか?」

 闇王様が感心した様にヘルマン様に視線を向けた。

「もちろんです」


 ヘルマン様が年の功で、ちゃっちゃと話を進め、1)のゴールを決めるのは全員一致でOKになった。

 2)の仮装の評価点についても概ねみんな同意したが、評価項目はそれぞれが考えて来る事となった。まぁ、宿題の様なものかな。

 3)の解説はその通りだし、解説者についてもみんながそれぞれアイデアを出す用にと宿題が増えた。

 4)は上限の金額を設けて、あややクラブに学園から支給されている活動費で補うと闇王様の一声で決まった。

 5)と6)については、ボートを借り上げる事と、学園側に頼んで泳ぎの上手い人を揃えてもらうという案が今のところ主流だ。校医にも参加してもらうのだが、泳ぎの部分はお金を払ってでもプロの人を雇う方が命の危険がないし、それに掛かる費用はあややクラブの活動費で補えるのならそこから、そうでなければ学園側と闇王様が相談するとのこと。

   救命胴衣は参加者が用意すること。但し着用は義務である事を徹底する。

 7)は遠足の時と同じで馬車持ち生徒が複数の生徒を乗せて移動。

 8)客席はわざわざ設けず、敷物を持参して水辺から見てもらうということに。

 ゴールは観客から見えやすい比較的岸辺に近く、水深の深い所にしたいねって事になった。


 流石、ヘルマン様。

 あっという間に色々な課題を解決、或いは方向性付けに成功しているね。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ