表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
料理魔法なんて魔法あったんだぁ  作者: 花明かり
天色の章 <前半>
175/557

72

 部室のキッチンを使ってウチの店分のスノーボールクッキーを作るのは、「うん、いいぞ。どんどん作れ」と言ってくれた闇王様の一言で直ぐに解決した。

 材料はウチの店からの持ち込み、水道光熱費は一ケ月で定額を納めればどれだけ使っても値上げしないとのこと。

 それよりも、いつもおやつを作ってくれているから、私に報酬を出さなくて良いのかって聞かれたけど、好きで作ってるんだし、自分も食べてるから要らないと言ったら、月々の水道光熱費はあってなきが如くの金額となった。


 店からの持ち込みの材料が足りなくなった時は、部室に備え付けられている物を使って後で補充してくれれば良いとのこと。

 やったね!


 父さんたちにはまだ了承を貰っていないけど、嫌とは言わないと思う。

 寮のハウスボーイに手紙を託してお店に持って行ってもらう事も考えたけど、後3日で週末なので直に話した方が良いと思ったのだ。


 ハウスボーイは学園が用意してくれている寮付きのスタッフで、王都内に限られるけど、急ぎで実家と連絡を取りたい時メッセンジャーをしてくれたり、緊急で何かを買って来て欲しい時などに有料で対応してくれるのだ。

 地方出身の学生の場合には、手紙を冒険者ギルドまで持って行って手配までしてくれる。

 地味にありがたいサービスなのだ。


 クッキーについては、もし、ウチで売る事が難しければ小さなお店を作ってもいいんだしね。

 大公様への返済額を差し引いても月々の売り上げは結構な額になっているから、フローリストガーデンの利益から捻出すれば小さなスタンド型のお店なら購入できる。

 売り子はハムたちの孤児院の子をスカウトしたっていいしね。

 よし!見切り発車になるけどやってみよう!


 あややクラブのみんなが鳥人コンテストに夢中になっている最中、私はどっちかって言うとスノーボールクッキーの方に気持ちが傾いているのは秘密だ。


 鳥人コンテストの方はヘルマン様がサクラの仕込みに忙しくされている。

 錬金術クラブのオスカル先輩やタチアナ先輩の勧誘は私たち4人に任されているので、明日の錬金術クラブの活動日に誘いを掛けてみようってなっている。


 でも、私からしたら明日はウチの店のショーケース作りの方が一大イベントなんだよね。

 明日、ライトの作り方を学んだら、お店の表札もライトが付いた物を作りたいしね。

 表札は長さ60㎝くらいの長方形のアクリルの箱に、黒い金属で枠と店名や花模様を作り、アクリルの中に設置されたライトによって夜は文字や模様がはっきり見える様にしたいのだ。

 出来たらとってもお洒落な表札になると思う。

 早くショーケースや表札を作りたいなぁ。

 クッキーの箱は大きさが小さいので、あややクラブの錬金術コーナーで作らせてもらおう。

 なんならボブにアルバイトとして頼んでもいいかも?


 問題は錬金術クラブにしてもあややクラブにしても素材の代金をどうするかという問題があるんだよね。

 錬金術クラブで部員が使う素材は、余程高価でなければ自由に使っても料金を請求される事はないんだけど、流石にお店で使う物は部員が家で使うのとは違う気がする。

 明日は真っ先にサラサ先輩に相談しなくちゃ。


 あややクラブの錬金術コーナーに置いてある素材はボブが実家からちょこちょこ持ち込んでいるので、ボブのモノなんだよね。

 もちろんボブに使った素材の代金を払うのは確定だとしても、そもそも大量に使う素材を自分で持ち込んだ方がボブの手を煩わせないのでいいのかも?っていう疑問があるんだよね。


 色々悩んでも相手のある事だから本人に聞いた方が早いよねと、あややクラブの部室にいるはずのボブを探した。

 やっぱり錬金術コーナーに居たよ。

 あそこが本当に好きなんだろうねぇ。


「僕、家や寮の部屋より、ここが一番落ち着くんだよ。リア、ここを作ってくれてありがとう。いつも座る前にこの薬棚を見てワクワクするんだよ。で、このライトを点けるとやる気がグーンと上がるんだ」なんて珍しいニコニコ顔を全開にしているボブは、私と話している間も手を動かしていた。

「今、何を作ってるの?」

「次回の即売会の時に売る物を試作してるんだ。でも、まだ案が固まってないんだ」


 ボブが座っている周りにはガラクタにしか見えない物がいくつか転がっていた。

「次回は使用人が使う物ではなく、お金を持ってる人をターゲットにしようと思ってるんだ」

「私もそろそろ次回の即売会の事を考えないとだね」

「リアは発想が豊かだから、すぐに色んな物を思いつくだろうけどね。で、僕に何か用?」

「うん。昨日話したウチの店で売るクッキーの缶なんだけど、アルバイトで作る気はない?」

「え?作ってお金貰えるの?」

「うん」

「おおおお!プロになったみたいで嬉しい!」

「請けてくれてこっちが嬉しいよ。で、手数料とか材料の調達や支払いについて相談させて欲しいんだ」


 そこから2人で話し合って、ボブが素材を実家から調達し、素材の代金は手数料の中に含む形にさせてもらった。

 これでボブにとっては素材にも少し代金の上乗せが出来る事と、私は素材の手配から解放されるというWin&Winの状況になった。

 持つべき物は友達だね。

 ありがとう、ボブ。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ