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料理魔法なんて魔法あったんだぁ  作者: 花明かり
天色の章 <前半>
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 本日は青天なり!

 しかも爽やかな早春の金曜の午後。

 こんなに花が咲き誇り、春を満喫できる日、当然お散歩しますよね?って、今日と明日は学園へGO!ですよ~。お外をお散歩なんて二の次ですよ~。


 錬金術クラブ即売会の会場はこちらですよ~と学園内だけでなく、園外にも宣伝しに行きたくなってる。

 今日の午後と明日一日は保護者に限り、園内へ入れます。

 

 実は錬金術クラブだけでなく、数は少なくても別のクラブも即売会を開いております。

 音楽クラブは演奏会のチケットや楽譜を、読書クラブは栞や自作の詩集を、美術部は自分たちの作品や即興の似顔絵会なんてのも開いて色々売っているのよ。


 今日は売るよぉ~。

 週末は自宅に帰ってしまう生徒たちには今日が売り時。

 保護者たちが多く来るのは明日。

 だって今日は金曜の授業が全部終わってからになるから、2~3時間しか時間がないからね。

 この週末は家には帰らず、寮に留まり、明日も朝から売り子としてガムバリますっ。


 メグと私のコーナーには横長のテーブルが二つ、錬金術クラブの部室の中程に割り当てられた。

 綺麗な布をテーブルに敷いた上右端にはアロマエッセンスオイルを抽出した道具を2種類展示している。

 その上に、棚を作り、香水瓶と蓋のサンプルを展示しいてる。

 テーブルを挟んで私達の方に椅子2脚、お客様側に3脚。

 6種類のアロマエッセンスを綺麗な瓶に入れて3セット程、横長テーブルの上に並べてある。

 販売用の瓶や蓋は私たち二人の後ろに色・形別に木箱に詰めて置いてあり、販売する都度手渡しできる様に既にスタンバイしてある。


 木製の看板を作って、『世界にたった一つの自作香水を意中の人にプレゼント』と大きく書いてある。

 実はこの看板はフェリーペが作ってくれた。


 フェリーペはサラサ先輩や他の部員と一緒にミニ冷蔵庫を作ったんだけど、流石にまだ1年生。

 複雑な部品を担当することはなかったので、お手透き状態が結構あったんだよね。

 立ってる者は親でも使えじゃないけど、しっかり使わせてもらいました。


「ねぇ、リア。売れるかなぁ」

 ウチの勇者様はまだ売れないかもと心配なさっている様子。

 まぁ、男子生徒の数の方が多いからね。

「そこはセールストークで頑張ろうよ」とニヤリと笑うと、その顔が面白かったのか、クスクスっと笑われた。


 フェリーペはイケメンさんだから、ミニ冷蔵庫販売員として割当のテーブルにスタンバっている。

 ボブは何とか掃除機もどきが出来た様で、テーブルにいくつか並べてある。

 値札を書いているので、売り場には立つみたいだけど、口上とかは無理だろうし、技術の説明と現金のやり取りだけするのかな?

 元々無口だもんね。


 表札を作ろう!という大きな垂れ幕が掛かっている、3つのテーブルにはタルボットをはじめ表札を作る気の部員がズラっと雁首揃えて並んでいる。

 あそこはお客が来れば来る程、修羅場になりそうなんだよね。

 決まった表札のデザインが5つ。

 そこへお客さまの名前を入れるので、設計図は途中までしか描いてないみたい。

 でも、考えたなぁ。

 最初から描くのなら時間が掛かるけど、名前の部分だけだったら、字体を決めてもらって見目良く文字を並べるだけでいいもんね。


 金曜の午後は授業が終わった時から即売会がスタートする。

 ってか、もう既に始まっているのだ。

 あ、最初のお客様が来た~。

 高学年っぽい男子生徒が3人。

 ウチの学園は入園時の年齢がマチマチなので、見た目だけだと何年生か分かりづらいんだよね。。

 でも、あれくらい大きかったら3年生か4年生だね。


「好きな人にあなただけの香水をプレゼントしてみませんか?」

 彼らが私たちのテーブルの前を通る時、ニコっと笑って声を掛けてみた。

「え?香水?」

「はい。お好きな人やご家族向けの香水をご自分でブレンドして、お好きな香水瓶に入れてプレゼントされると喜ばれますよ~」

 おおお!興味を引いたかな?


「いやぁ、好きな女の子とかいないし、家族にとかちょっとね・・・・」

 一番背が低い男子生徒がケンモホロロだ。

 残りの2人もその雰囲気に飲まれ、素通りしそうになった時、ウチのメグたんが「男子用の香水もブレンドできますよ。香水瓶だってこんなデザインもあります」と、力作の馬バージョンをツイと両手で支えて突き出した。


「なに、これ?かっこいい~」

「色違いが出来るんだな。お揃いで作るか?」

「「いいね~」」

 おおお、おにいさんたち、お目が高いねぇ。

 それは写実的な逞しい馬の頭部が蓋となっております秀逸な一品でございますよ。

 ペパーピント系の香水なら男性でも使えると思いますわ。おほほほほ。

 なんて頭の中で一人劇場を繰り広げながらも、調合の説明をした。


 3人共お互いに作っている物を揶揄いながら、楽しそうに作り出した。

 内1人はお姉さん用だと言って、女性用の配合もし、花の瓶を買ってくれた。


 最初に錬金術クラブの部室に入って来たお客が買ってくれた。

「幸先良いね」とメグたんもご満悦だ。

 さぁ、ドンドン売っていくよ~。

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