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料理魔法なんて魔法あったんだぁ  作者: 花明かり
天色の章 <前半>
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 1年の授業なんてどの科目も既に私が知ってる事しか習わない。

 例外は魔法の授業だけど、料理魔法の授業ではないので、最初の頃にあった合同授業以外はこれと言って為になったとは思ってない。

 魔法以外だと、歴史は前世では習ってない。

 ところが、大公様のところで教えてもらったランミス先生の演劇の様な面白い授業で、卒園分までの内容を習っているからね。

 だからついつい授業中に考えちゃうのは、錬金術クラブの今度の即売会イベントの事だ。


 オレンジ、レモン、グレープフルーツと薔薇、ラベンダー、ゼラニウム。

 薔薇は香りが一番良い物とスキルで呼び出したイングリッシュロース。

 薔薇のお茶を作るところを想像しつつ、薫り高い薔薇という事で呼び出す事ができますた!

 柑橘類は前から料理用に育ててもらっていたし、花は香水瓶を売ろうと思った時に植えてもらったんだよね。

 もちろん『食材育成』スキルで薫り高く、早く育てと念を送っているので、直ぐに育つだろう。


 エッセンス抽出機は一昨日1種類作ってるから、今日の錬金術クラブでは後もう1種類の抽出機を作った後に、香水瓶を大量生産する!予定です。

 メグは蓋のデザインもう考えてくれたかな?

 今朝の朝食の時に聞いとけばよかった。

 まぁ、まだだったら、先にデザインが決まってるのから作成すればいいよね。

 来週はアロマエッセンス作りと、残りの香水瓶作りかな。


 ガスペール先生が何か黒板に書いているけど、そっちを向いていても実は見ていない。

 手元では香水瓶を売る時に掲げる看板のデザインを描いていた。


**************************************************


 だだっ広い。

 錬金術クラブの部室に入ると、きっとみんなそんな印象を受けるはず。

 そして雑然。

 資材も壁際にラックとか木箱などが積まれており、一応は分類されているが、如何せん雑多な材料が相当数保管されているからね。

 作業台が複数、日本の調理教室の台の様に二列に並べてある。

 そして、粉ものを多く使うので、いつも埃っぽい。ケホっケホっ。

 

 部活が終ると全員で清掃してから帰るのだけど、例によってクラブ活動の無い日にも多くの部員が来て何かを作っているので、次に部室に入る頃にはまた埃塗れとなっている。

 フェリーペたちを教室に置いて、今日はメグと二人で部室に入った。


「メグ、蓋のデザイン考えて来てくれた?」

「うん!これ!」とメグが差し出したのは馬の頭のデザインだった。

「え?」馬の頭部だけ?しかも妙に写実的・・・・。

「男子も自分のが欲しいかもしれないから、水晶の様な球体もあるけど、馬みたいなのがあっても面白いかなって」

 おおおお!メグだん、やっぱり複数でやるといろんなアイデアが出ていいね。

 男性用も作るならペパーミントオイルもいいかもね。

 あれは料理でも使うから、スキルでパパっと作り出せるのが尚良い!


 ただ、ここで一つ問題点が浮かび上がった。

 私のデザインは左右対称なので設計図を描くのも難しいなりに無理はなかったんだけど、鬣を靡かせている馬の頭部はあまりにも複雑過ぎてどの様に設計図を起こしたらいいのか分からなかった。


 そこでタチアナ先輩に相談してみた。

「まぁ、香水瓶を売るのね。画期的ですわ。で、この複雑なデザインをどの様に設計図にするのかでしたわね。う~ん、これは私ではなくサラサ部長に聞いた方が確実なんだけど、設計図の代わりに粘土でマスターピースを作るやり方があったはず。一緒に聞きに行ってみましょう」


「マスターピースを使うのね。では、いつもの錬金術の成形機ではなく、あちらの大型の成形機を使う事になるわね。まずは粘土でマスターピースを作って来て。話しはそれからね」とサラサ先輩に粘土を渡され、メグはマスターピース作りを担当してもらう事にした。

 私は瓶と蓋を大量生産する事にしたけど、馬の蓋が上手くいったら花の蓋も非対称の方が綺麗に見えるから、そちらは馬のを見てデザインを変更するかどうか決めよう。


 瓶のグラデーションはピンク、紫、青、オレンジ色、緑、赤、無色でそれぞれ40本づつ作る事にした。

 瓶そのものの大きさはそれ程大きくないけれど、錬金術の手間は大きさに関係ない。

 出来たら蓋もどれか今日の内に手を付けておきたいけど、メグの進捗によるかなぁ。

 なんて思ってたら、部活終了時間より少し前にマスターピースが出来上がった。

 でも、部活終了間際のサラサ部長は忙しいので、マスターピースを使う錬金術は来週に持ち越す事にし、メグにも鳥の蓋を少し手伝ってもらった。


「ふぅ、何とか今日の分は終わったね。馬型の蓋にこれ程時間が掛かると思わなかった~」

「でも、メグが素敵なデザインを作ってくれたから、作るのが楽しみだよ。出来た物だけでもこの木箱に入れて、製品保管ロッカーに入れさせてもらおう」

 箱にはそれぞれ瓶の色の紙が貼ってある。

 売る時に色別になってた方がスムーズにお客様に渡せるからね。


 部室の本来なら黒板がある辺りに置いてある製品保管ロッカーとは、鍵付きのロッカーだ。

 これまでは上級生しか使ってなかったけど、今は即売会の商品を入れる事になっているので、早速サラサ部長に鍵を開けてもらい、箱ごと中に入れた。


「うわぁ、これは何とも見事ねぇ。ガラスに色のグラデーションで綺麗なのに、瓶本体にも切子状の模様が入ってて更に素敵ね。蓋が色々選べるってナイスアイデア!ものすごく売れそう!」

「「ありがとうございます」」

「でも、まだ本体に比べて蓋の数がすくないから超特急で仕上げないとね」

「「はい」」

「部室は毎日開けてあるから、クラブのない日でも徐々に作業を進めておいた方が安全よ」

「「ありがとうございます」」


 マスターピースを使っての錬金術は来週の月曜にとサラサ先輩にお願いし、私達は部室を後にした。

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