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料理魔法なんて魔法あったんだぁ  作者: 花明かり
天色の章 <前半>
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「みんな、そろそろ即売イベントで何を売るのか決めて、日にちを逆算して製作に掛かって下さ~い」

 サラサ先輩が週明け初めのクラブ活動で厳命を下した。


 皆、何を作るつもりなんだろう。

「メグ、何を売るつもり?」と尋ねたら、メグも仲間が何を作るのか気になっていたみたい。

「う~ん、まだ悩んでるんだけどね、ボブは何を売るの?私たちより作れる物が多いから面白い物が出来るんじゃないの?」

 錬金工房の跡取りは私達より数歩前を行っているからね。

「僕はこの前からオスカル先輩に相談していた掃除機を仕上げて売ってみたいんだ」

「うわぁ!本格的な錬金術の商品だな。流石!俺は時計を作ってみようかなって思ってる。魔石が必要ないしな」


「え?でも、時計は部品の数が多くない?」

 ごめん!否定的な事言っちゃった。

 でも、3週間で部品から作れる物ではないと思うよ。

 それともこっちの世界の時計は地球のに比べてもっとシンプルに出来るのかな?


「うん。でも数作れば、同じ部品で多くの時計が出来るから利益率高いと思うんだけどな」

「え?部品って100種類くらい必要じゃなかった?」

「リアの言う通りなんだけど、お前たちが俺と共同で作ってくれれば一人当たり30強だぜ」

「え?で、部品が同じって事は時計のデザインも同じって事?」

 同じデザインの時計を例え50個作ったとして、ちゃんとそれ全部売れるのだろうか?

 時計はインテリアを兼ねるので全部のデザインを変えるのならまだしも・・・・高額な商品でもあるし、ちょっとねぇ。

 なんて思ってたらそれが顔に出ちゃったのかな?

「じゃあ、お前は何を作るつもりなんだよ?何か案はあるの?」とフェリーペはちょっとむくれ顔だ。

「私は香水と香水瓶かな」

「香水瓶?」

 お!メグの方が興味を持ってくれたみたい。


「うん。何種類かの香水の素を作って、その場でお客様自身が調合して、瓶も選んでもらう感じかな。言い換えれば自分だけの香水を買ってもらうっていうアイデアなの」

「そりゃあ、自分だけの香水って女の子の夢だし、私も欲しいけど、この学園は男子生徒の方が断然人数が多いのに、香水、売れるのかな?」

 メグの心配も女生徒の割り合いを考えれば当たり前だと思う。


「うん。男子生徒に買ってもらうのが狙い目なの」

「というと?」

「彼女や意中の女の子へのプレゼントにって売るのよ」

「「「おおおお!」」」

「意外とあくどいな、お前」

「ええええ!?商才があるって言ってよ」とフェリーペを睨んだ。

 フェリーペの普段と違って強い口調、さてはさっきの仕返しかな?


「リア、私も一緒に作っていい?その場で香水を調合するなら、売り場にずっと誰かいなければいけないでしょ?二人でやれば作る時だけじゃなくって、売る時も順番に店番できるから楽になると思うよ。どう?」

「おおお!メグ、それは願ったり叶ったり。よろしくーー!」

「ということで、フェリーペ、時計作りには参加できないわ。ごめんね」

 もしかしたらメグの狙いは時計作りに駆り出されない事だったりしたのかな?

 まぁ、香水の方も人手が欲しかったから大歓迎。

「うわぁぁ、一人じゃ、無理!何作るか最初っから考えないと。う~む」と、フェリーペが頭を抱えている。

 そりゃ、そうだろう。たった一人で3週間の間に100種類の部品を何個も作るのは無理だ。

 学園の授業もあるしね。まず時間が足らない。


 フェリーペは何かのヒントが欲しいらしく、部室の中をウロチョロしてる。

 同じクラスのタルボットが部室の端っこで何かの設計図を作ってるのを見かけて近寄って行った。

「お前は即売会で何を売るの?」

「あ、おれ?おれは表札だよ」

「表札かぁ・・・・」

 フェリーペとタルボットの会話はしっかり耳に入った。

 でも、表札はお客様一人一人の名前が違うので、都度設計図を引く心算なのかな?

 単価が安い割には加工に手が掛かる気がするなぁ。


 タルボットたちの会話を私たちと同じ様に聞いてた他の部員が、表札づくりを共同でって話を持ち掛けているって事はそう悪いアイデアじゃあないのかも?


 オスカル先輩はドライヤーを何とか完成させて出品したいみたい。

 タチアナ先輩は綺麗な電気スタンド、サラサ部長はミニ冷蔵庫を他の部員と共同で作るらしい。

「俺もサラサ部長んところのチームに入れてもらおうかな」なんて、フェリーペが言ってるけど、経験が殆どない新入生を入れてくれるのかなぁ。


 そんな心配をしていたら「みんな~。もし作る物が決まらなかったら一緒に冷蔵庫を作りましょう。冷蔵庫チームに入りたい人は声を掛けてね~」とサラサ部長はやる事が見つからなかった部員全員を受け入れるつもりで冷蔵庫を選んでいたらしい。

「良かったね、フェリーペ」と言うと、何か複雑な顔をしていたよ。


「ねぇねぇ、香水ってどうやって作るの?」

 表情を失くした顔のままサラサ部長の方へ行きかけてるフェリーペを丸っと無視した勇者様は、好奇心いっぱいのキラキラした目で聞いてきた。


「エッセンシャルオイルと無水エタノールっていう液体かな。無水エタノールはウチの店に大量にあるから、私たちが作るのは6種類のエッセンシャルオイルと、様々なデザインの香水瓶かな」

「うわぁ、何か面白そう」

 無水エタノールはウチの店で使うから大量に私のスキルで作り溜めているんだよね。

 だから態々作る必要は無い。


 よし!メグのやる気がマックスになったみたいだから、ちゃっちゃと抽出機を作っちゃおう。

 まずは抽出機の種類を説明。

 フローラル系のエッセンスは蒸留式で。

 柑橘系のエッセンスは圧搾式だね。

 それぞれエッセンスを3種類くらいづつ作る予定。

 で、抽出機が出来たら、キラキラと色の違う香水瓶を大量に作る事になる。


 瓶はガラス製。色をグラデーションで付ける。それだけでも綺麗だと思う。

 香水瓶の本体は色に関係なく全部同じ模様のカットを入れる。

 バリエーションである色付けは素材の段階から混ぜるので、魔法陣は基本1つでOK。

 労力は出来るかぎり少なく!

 蓋の方のデザインを5つくらい用意して、本体の色と合わせた色で用意。

 これで最終的には幾通りもの香水瓶が出来上がるという寸法だ。

 プラス、香水は現場でお客自身にブレンドしてもらうので出来上がった物は自分だけの特注品となる。


「これがね、今考えている蓋のデザインなんだけど、花と鳥、蝶と大きな水晶玉みたいなデザインなの。で、それぞれの設計図がこれね。後1種類デザインを増やしたいんだけど、メグが考えてくれる?」

「面白そう!わかった。何か考えてくるね」

 ということで、今日は水蒸気蒸留法の抽出機を二人で作ることからはじめた。

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