47
「あ、ほら、あややクラブの・・・・」
「何であんな平民が?」
「前回は別の属性のクラスじゃなかった?」
「何か特別な魔法スキルなんですって」
「あ、セシリオ様がいらっしゃったわ。セシリオ様にくっつく気かしら」
最近、魔法の授業が嫌だ・・・・。
まず、火属性のクラスは避けている。
メグやフェリーペがいるんだけど、闇王様がいらっしゃるので行きづらいんだよね。
で、土魔法はアドリエンヌ様だし、あまり料理魔法と関係してない気もするし・・・・。
あ、植物とか家畜とか育てるって意味では大いに関係があるんだけど、料理そのものの時はそこまで関係しない気がするしね。
となると水属性か風属性になっちゃうんだけど闇王様が二つの属性持ちだから水属性のクラスに出ないって確証もないんだよね。
闇王が仄かに恋心を抱いているだろうメグたんが火属性なので、ほぼほぼあっちのクラスに出るとは思うんだけど、万が一、水属性のクラスに出られると緩衝材になってくれそうな知人もいないんだよね。
ということで必然的に風属性のクラスに出る事が多いんだけど、偶にぜぇったいに闇王様が水属性に来ないって分かった時は水属性の方に行ったりもしてるんだ。
だって風属性にはボブだけじゃなくってセシリオ様もいるんだもんね。
まぁ、どの属性のクラスでもお貴族様の子弟と同じ教室で勉強になるので、こうやって騒がれる訳だ。
もう面倒臭い事この上なし。
早く授業が終わって錬金術クラブの時間にならないかな~。
♪ジャンジャカジャ~ン
今日はいよいよ魔石を使った魔道具の説明をしてもらえるんだよね。
そう思ったら魔法の授業のアレやコレやは気にならなくなった。
よし!外野は無視してひたすら放課後になるのを私は待つ!
************************************************
「みんな良く見て。ここ」とサラサ先輩が魔石を嵌め込むところを指さした。
「これはみんなも良く知っている扇風機だけど、ここね。ここに魔石を嵌めないとこの道具は動きません。で、自分の家に魔石を使う魔道具を持ってる人は知っていると思うけど、魔石を嵌めるホルダーは全部この形で、魔石も大きさは1つしかありません。だから、どの魔石でもホルダーに入れる事が出来ます。で、魔石って呼んでるけど、これは正式には魔鉱石という名前です。家の国だけでなく、あっちこっちの鉱山で採れます。鉱石だから切り出す時、一定の大きさになる様に切り出せているんだよね」
新入生が食い入る様に魔石とその魔石を嵌め込むホルダー部分を覗き込んでいる。
「で、さっき言った様に魔石のホルダーは全部同じ大きさで同じ形なので量産されています」
そうだったのか!!
「では、何故、量産されているホルダーがありながら、錬金術師は魔石を使う道具について学ばなければならないのでしょうか?誰か答えられる?」
サラサ先輩の質問に間髪入れずボブが手を挙げた。
「じゃあ、ボブ、説明して」
「はい。動力源としての魔石はこの箱の様なホルダーに入れれば問題はありませんが、魔道具を動かすにはこのホルダーから伸びている銅線と魔道具を正しく繋げなければなりません。簡単な道具ならただ繋げるだけでいいですが、複雑な道具になると使う魔石の数も増えたり、道具の動きに合わせて繋がないといけないので難しいとされています」
「100点満点!流石、工房の跡取り息子ね」
それから新入生はみっちりと先輩からソケットと銅線、魔道具について教わる事となった。
それに関連して、電池の並列繋ぎとか直列繋ぎと似た様な説明や、所謂リレー回路みたいな回路の種類についても話があった。
ノリに乗ったサラサ先輩が、ストッパーやセンサーに似た物の話まで始めちゃったので、頭の中がごちゃごちゃだよ。
ボブとフェリーペ以外は一回聞いただけでは覚えきれなくてちょっとアタフタしちゃったけど、次のクラブの時も復習するから一度で覚えなくても良いと言われ、ちょっとホッとした。
だけど、次回聞いただけで私ちゃんと理解できるかなぁ・・・・。
私が魔石を使った調理器具を作れるのは何時になるんだろう。