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料理魔法なんて魔法あったんだぁ  作者: 花明かり
天色の章 <前半>
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46

「よし!分かった。まずはそのドッジボール大会ってのをやってみよう。それで全校生徒のどれくらいが参加するか分かるだろうし」

 闇王様の決断は早かった。


 灰色のおかっぱ頭のヘルマン様が、「一つ、相談なんだが、ドッジボール大会であっても優勝グループには何か特典があった方がみんな参加するんじゃないかな?」と貴重な意見を出してくれた。


「金があまり掛からず、みんなが欲しいもの・・・・」

 メグが端的に纏めてくれた。

「チームしぇんだから優勝ちゃは結構な人じゅうでしゅよね」

「そうですね、数も多いし、同じチームの人には同じ賞品でないといけないかもしれませんね」

「う~ん、メグさんが言う通り。同じチームの人は同じ物でないと納得しないでしょうね。アディだったら何を貰いたい?」


「飲茶!」

 どんだけ飲茶が好きなんかい。

 お金も伝手もある闇王様だけど、飲茶だけは私が作らないと口に入らないからね。


「そうだな・・・・小籠包がいいな」

 おい!それは賞品と言うよりも、自分が今食べたいものでは?

「あの、口に入れたら絶対火傷するスープ。でもめちゃくちゃ美味しいんだよな」

 闇王様による小籠包への賛辞がまだ続いていた。

 てか、闇王様、小籠包の正しい食べ方は、袋を破らない様にスプーンに乗せてから、袋をちょっと破くんだよ。そして袋から出て来たスープをそのままスプーンに溜め飲み、その後袋ごと中身をタレにつけて食べるんだよぉ。

 もしかして毎回火傷しながら食べてたの?


「材料費くらいは家が出すぞ。まぁ、作るのはアウレリアだがな」

「まぁ、飲茶を作るくらいならば問題はないですけど・・・・」

「よっし!じゃあ賞品はそれだ」


 さすがあややクラブだ。

 全ての事はアドルフォ様が決定を下す。

 へい、あっしは料理人に徹しますぜってなもんです。

 ただ、食べてしまうと無くなってしまう飲茶だけだと何なんで、トロフィーもチームへ授与する事にしたらどうかという案を出してみた。

 トロフィーそのものがこの世界には無い様なので、トロフィーの説明からしなくちゃいけなかったのが大変だった・・・・。


「じゃあ、どうやってドッジボールのルールをみんなに徹底させるかが大事よね」

「メグの言う通りだな。それと大会についての告知の仕方も考えんとな」

 闇王様、お顔がほんのり赤くなっておりますよ。

 ウチの勇者がお気に入りですものね~。

 ふふふふ。


 例によって例の如く誰も案を出さないので、私が無い知恵を絞りましたよ。

「ポスターを描いて貼ったらどうでしょうか?後、各ホームルームで先生を通して告知してもらうとか?後、ルールは実際にやってみながら覚えてもらうのが一番だと思います。大会より前にどうやって体験してもらったらいいんでしょう」

「ポスターって何ですか?」

 こういう手段の話しになるとボブかセシリオ様の目が輝く。今回はセシリオ様だが。

「紙に絵と文字を描いて、いつ、どこで、何をするっていう必要な情報を全て網羅するのです。それをたくさん描いて校舎のあっちこっちに貼るんです。でも、その前に、全校生徒を巻き込むのなら、校医の手配と共に、学園側の了承を得ないといけないと思います」

「学園にはオレが話をつけておく。ポスターを作るのに必要な物をあげてくれ」という男前な闇王様の発言に、私はちゃっちゃと必要な物を言い、それを書記のボブがもう一つの黒板に書きなぐって行った。


「じゃあ、大会より前にルールを覚えてもらうのはどうしゅるの?」

「それなんだよなぁ。アディ、何か良い案はないのかい?」

「う~む」


 日本なら体育の時間に先生が教えて、その後で大会って流れだけど、この学園、体育の授業が無いんだよね。

 それに他の授業の時間を削って体験してもらうとなったら学園のOKが出ないと思うし。

 何か良い方法が無いかな?

 校内放送でもあればいいんだけど、そんな設備ないもんね。

 やっぱ闇王様の名前を前面に出してポスターで周知。朝のホームルームで軽く担任の先生たちから告知してもらうとか?

 なら、学園を動かす大義名分がいるんじゃない?


 そんな事をツラツラ考えていたら、勘が良いんだろうねぇ。セシリオ様に何を考えているのかと聞かれたので、今まで考えていた事を伝えた。

「うん、アディを前面に出すっていうのは僕も賛成かな。それが一番生徒たちに効果がある気がするよ」

「まぁ、オレはそれでいいけど」

「じゃあ、それで決まりだね。後は、学園側との話し合いが終らないと、何も始まらないから、今は一旦ここで話を止めておこう。アディ、学園の方はよろしくね」


「しかしヘルマンが入ってくれたからこうやってクラブ全体で活動する事が出来たな。礼を言うぞ」

 年下のくせにエラそうな闇王様だけど、家格が上だからね。しょうがないのかもね。


 私としても父さんが気にしていたモンテベルデ家のあややクラブ参加、実現できたし好意的に受け止められてるなら安心だ。

 さて、こうなったら先にポスターの図案とか考えておこうかな~。

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ヘルマンの目的は当分は明らかにならないのかな……?
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