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料理魔法なんて魔法あったんだぁ  作者: 花明かり
天色の章 <前半>
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「模擬店となると店を作ったり、商品を仕入れたりするのに金が掛かるなぁ」

 闇王様、流石、将来人の上に立つお方。

 イベントでも何でも金が必要になる事に気付いたのですね。


「そうですね。模擬店は初期投資が掛かります」

「しょきとうち?」

「はい、アドリエンヌ様。商売を始める時に必要となるお金です。土地代とか建物代、商品や素材の仕入れですね。あ、従業員を雇うのも考えないといけませんね」

「う~ん。ちょれだとじぇんこうしぇいとでは難ちいですわね」

「そうですね。なら、簡単な球技を広めて、クラス対抗で勝ち抜き戦とかはどうですか?」

「それだと、ボールくらいしか購入するものはないかもしれないが、みんながみんな同じ球技を知っている訳じゃないしなぁ」

 流石ヘルマン様、年の功でしょうかね、経費の見積もりと問題点の洗い出しが素早いですね。


「後は巨大迷路なんてどうですか?迷路を作るのにお金が掛かりますが、模擬店程じゃないですよ」

 闇王は思案顔になり、「巨大迷路かぁ・・・・」とまだ納得できない様だ。


 そこですっくと立ちあがり黒板の前に移動し、ボブからチョークを渡してもらった。

「実は私が考えているイベントは今のところ実現性を鑑みると2つです。お金がそんなに掛からない。或いは掛かっても費用を上回るお金が手に入るイベントというのが実現性を高めると思っています」

 黒板の上の方に大きく『お金』と書いて丸で囲んだ。

 ちなみに板書した直後に、今の会話は難しいから分かる様に話してくれとアドリエンヌ様からクレームが入ったので、簡単な言葉で言い直したりもした。

 ついつい前世や前々世で成人だったので、言葉遣いが大人になっちゃってたんだね。


「まず簡単な球技。今のところ『ドッジボール』というのを考えています。これはこんな風なコートを地面に書き、2チームに分かれて試合をします」と黒板に『ドッジボール』と書き、コートの絵等を描きつつ、2色のチョークで2チームの動きを説明した。

「これに掛かるお金はボール代だけです。怪我人もあまり出ないでしょうから、医者も校医に控えてもらっていたら十分だと思います。学園のスポーツエリアで複数のコートを描き、そこでトーナメントをしてもらいます」


「トーナメント?」セシリオ様には初めての言葉だった様です。

 あ、全員の顔を見て分かりましたが、この国では初めての言葉だった様です。失礼致しました。

「所謂勝ち抜き戦です。クラス対抗でもいいですし、有志で作ったチームで参加というのでもOKです。で、1回戦や2回戦は普通に試合をしてもらい、上位4チームくらいになってからは全校生徒でその試合の行方を見ます。スポーツ観戦ですね」


 フェリーペが目を輝かせて、「なんかそうやって聞くと面白そうに思えて来たな。ルールも簡単だし、下級生でも問題なく理解できるよ」と、とても乗り気になっていた。

 私は黒板のドッジボールという文字とお金という文字の間に、『ボール代のみ』と書き入れ、その下に『場所:スポーツエリア』、『必要な物:校医、ボール、コースの線を描く物、審判』と書き入れた。


「審判とは?」ヘルマン様が不思議そうな顔をしている。

「チームがズルすることがない様に中立な人が判定をします。ズルしたチームがあれば、ボールは強制的に反対のチームに、ズルで入った得点は得点としない等ですね」

「ほう、良く考えられているね」

 ヘルマン様に納得してもらえた様だ。


「もう一つの案は巨大迷路」これも黒板に書き入れ、「巨大迷路は作る人と、迷路で探索する人のグループに分かれます。探索チームは迷路を潜り抜ける速さを競いますが、作成チームは攻略の難しい迷路を作ったチームが勝ちとします。探索チームの不正を避けるため、迷路を設置する敷地をいくつかのブロックに分けて複数のチームに迷路を作ってもらいます。自分のクラスが作った迷路以外も必ず通る事になるので、事前に正しい道を聞き出すには敵チームからも聞きださないと優勝することは難しいでしょう。で、迷路を作るには材料が必要です。巨大迷路というからには、大量の材料が必要となり、お金が掛かります。そこで、このイベントには保護者を巻き込みたいと思います」


「保護者を巻き込む?」と闇王様は驚いた顔です。

 その横に立つセシリオ様は悪い笑顔を浮かべています。

 もしかしたらセシリオ様には、私が考えてる事など分かっているのかもしれません。


「はい、保護者にもこのイベントを観覧してもらい、そして優勝者を予想して賭けてもらうのです。もちろん賭けですので、胴元であるあややクラブに損は出ません。で、この掛け金から材料費と優勝チームへの賞品や、賭けの優勝者への賞金を捻り出します」

 貴族には賭け事は嗜みの一つだから、保護者が賭けるくらいは許容範囲でしょう。


「「「「おおおお!」」」」

「可愛い顔してなんと悪辣な・・・・」

 おい!そこ!セシリオ様、聞こえてるぞ!!


「私としてはお金の掛からないドッジボール大会をお薦めしますが、見栄えが良いのは巨大迷路かもしれません。一つ気を付けたいと思っているのは、賭けは保護者のみ。未だ自分で収入を持たない生徒は賭けに参加させないということです」

「「「「なる程!」」」」

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― 新着の感想 ―
ポートボールも有りかな。子供会女子部門でも推奨してました。 ドッチボールが嫌でも出来るが基本的にバスケと同じく高身長が比較的有利かなぁ。
ドッジボールは暴力、ハラスメント、って感じる人が一定数いますので。
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