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料理魔法なんて魔法あったんだぁ  作者: 花明かり
天色の章 <前半>
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「ヘルマン・モンテベルデと申します。アウレリアさんのご縁であややクラブに入部できて、大変嬉しく思っております。みなさん、どうぞよろしくお願い致します」

 グレーのおかっぱ頭をした最高学年のヘルマン様は邪気のない笑顔を振りまいた。

 フェリーペたちにはヘルマン様があややクラブに入る事や、(うち)との関係については既に説明済だ。


「モンテベルデはくちゃく家ね。アドリエンヌでごじゃいます」

「これはこれは、カサノッサ家のアドリエンヌ様。ご丁寧な挨拶をありがとうございます。どうぞよろしくお願いします」

「こちらこそ。どうじょ、おしゅわりになって」

 と、いつもの様にホスト的な役割を担ってくれる。

 出された茶菓子は私が作ったカステラだ。

 いつもの通り、お茶は拘りのあるアドリエンヌ様が淹れてくれた。


「ここの部室はすごいですね。とっても居心地が良いし、今まで見た事のない家具のオンパレードですね」

「ヘルマン、どの設備も好きに使ってくれ。お風呂だけは男子と女子で分かれてるから、向かって左側のが男子専用だ。間違えないでくれよ」

 闇王様の家の方が伯爵家より位が高いので、アドルフォ様はヘルマン様を呼び捨てにしている様だ。

 ヘルマン様も別段それに反発する気はない様だ。


「お前は卒業までの半年くらいしかこのクラブに所属できないけど、このクラブで何をやりたいんだ?」

「まず、普段はこのクラブでどんな事をされているのですか?それから教えて頂きたい」

「そうだな。試験勉強とか、おやつを食べたり、それぞれの趣味を深めたり・・・・おやつを食べたりだな」

 おい、こら、闇王!おやつがメインじゃんか。


「はははは。では、部員全員で一つの事に当たる事はされないので?」

「そうだな。折角作戦本部があるのだから、何か自分たちで集まってやる事を考えても良いな。よし!みんなで作戦本部へ移動しよう。食べ終わってなかったら皿ごと持って行っていいぞ」


 闇王様の号令でみんな作戦本部へ移動することになった。

 今日、デスクはロの字に並べてあったので、そのまま席に着いた。

 ちゃんとヘルマン様の机と椅子も用意してあるよ。

 流石、クラッツオ家。やる事が早いね。


「じゃあ、お前書記やれ」といつも自主的に書記みたいな事をしていたボブが正式に書記に任命された瞬間だ。

「これから春だな。気候はイベントをやるのに打って付けだ。何か良い案はないか?」

「アディ、それって僕たちだけでやるイベントなの?それとも他の生徒を巻き込むの?」

 おおおお!セシリオ様、すごい所に目を付けたね。

 でもほぼほぼ1年生ばかりのクラブが全校生徒を巻き込んでイベントをやるとか無理じゃねぇ?


「おお!どうせなら全校生徒を巻き込むかぁ」

 あ、闇王様のスイッチ入っちゃったよ。

「全校生徒参加が前提で何が出来るか、みんなアイデアを出せよ」


 さっきまで全指揮権はオレが貰った的な恰好良さだったのに、突然、アイデアは他人まかせって・・・・。

 しかも、みんな、なんかこっちを見てるよね?

 なんで?


 我慢比べでもする様に貝の口の如く噤んでたら、セシリオ様が悪い笑顔を浮かべて言いやがりましたよ。

「こういうのはアイデアが豊富なアウレリアの仕事だな」

 なんですとぉぉ。丸投げですかぁ?はぁぁぁ?


「何かないの、リア?」ちょっと勇者様まで・・・・。

 そこ!フェリーペ君、自分の方に御鉢が回らない様にって私を防波堤にする心算だな。

 何視線を私にフィックスしとんねん!!

 むむむ。

 それでもしばらく黙ってたけど、みんなの視線が刺さって痛いのなんの。

 とうとう、重い腰を上げましたよ。

 太ってるとかじゃないからね!!


「まず、参加型であり体感型である必要があります」

「しゃんか型?体感型?」

「はい。全校生徒が何らかの形で参加する、或いはイベントそのもので何かを経験する様に主催者側で企画することです」

「う~ん、難しい言葉を使ってるけどリアが言いたいのは全員でやりましょうって事かな?」

「うん。フェリーペが言うので合ってるよ。つまり、一部の生徒だけが体験する場合は、残りの生徒はそれを見て、自分が体験したかの如く感じさせるのが良いし、一番良いのは全員が参加する事ですね。例えば、コンテストとか競わせるのがいいと思います」


 ボブが黒板に『参加型』『体験型』と描いた横に『競わせる』と書いている。

「個人でも、グループでも、クラス対抗でもいいんですが、スポーツ大会にして競わせたり、魔法で対戦したり、料理の味当て大会でもいいし、巨大迷路でもいい」

「巨大迷路?それでどうやって競わせるの?」

「スタートからゴールまで何秒かかったとかですね」

「へぇ。」

「例えば模擬店をそれぞれのクラスで出して、一番売上げの良い所が勝ちでもいいですよ」

「模擬店?」

 聞きなれない言葉なのか、メグの頭の上にクエスチョンマークが見える気がする。

「例えばお茶やケーキを売る出店とか、魔道具を売る出店とか、絵画でもいいし、演劇部なら劇をやってその入場料でもいいんですが、儲けが大きい所が勝ちとか、集客数で勝ちとかですね」

 私の頭の中には体育祭と文化祭が過ぎってるんだけど、こっちでは秋は入学式のシーズンだから、同じクラスのメンバーでもお互いがどんな人間なのか分かっていない。

 そういうイベントをするならクラスメイトの顔が分かる春がいいかもしれない。

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― 新着の感想 ―
さすがサカノッサ家、とありますが用意するのは闇王さんのクラッツオ家(うろ覚え)ではないのでしょうか?カサノッサはアドリエンヌのお家じゃないのですか?どうしてアドリエンヌが準備するのかわかりませんでした…
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