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料理魔法なんて魔法あったんだぁ  作者: 花明かり
天色の章 <前半>
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「お前たち、錬金術クラブ辞めてあややクラブ一本にしないか?毎日来ないと、月曜と水曜のおやつがないぞ」

 闇王様・・・・。

 クリサンテーモの食堂から取り寄せたらいいじゃないっすか。

 そんな事を考えていたら「昨日は、クリサンテーモから運ばせたけど、オレはあの飲茶だっけ?昨日はああ言うのが食べたかったんだよ」と宣われた。

 まぁ、一日くらいは我慢して下さい。


「いやぁ、僕は将来工房を継ぐ身として錬金術クラブを辞めるわけにはいかないです。それが入園した目的なので」

「俺んところも工房じゃないけど、扱う商品は錬金術関連なので、授業で習えない分錬金術クラブはどうしても行っておきたいんですよね」

 私たちが説明しなくても、ボブたちがちゃんと説明してくれたので、今後も問題なく錬金術クラブへは通えそうだ。


 だって私はまだ魔石を使った調理器具の作り方を学んでないんすよぉぉ。


「ということで、今日のおやつは飲茶な」

 えええええ。私的には甘い物が欲しかったのにぃぃ。

 って、両方作ればいいんじゃんね。

 食材は使った分だけいつも補充されているしね。


 おっし!電子レンジ機能付きストレージ、『マイクロウェーブストレージ』でココアブラウニーなら、生地を混ぜたら3分じゃん。

 どうせ飲茶のためのミンチ肉だって料理魔法で細かくしてるんだしね。

 ココアが問題になるかな?だって多分だけどお貴族様ズには未知の食材だと思うんだよね。

 でも、ここら辺でココアとかチョコレートとか、抹茶とかを使った方が、今後のおやつ生活が豊かになると思うんだよね。

 おっし!作ったるでぇ。


 冷蔵庫にエビちゃんがある!

 おっし!今日はシュウマイだ!

 まずは30分寝かせないといけないシュウマイの皮から作ろう。

 寝かせている30分の間にブラウニーのタネとかシュウマイの具を作ってればすぐだよね。


 料理魔法でエビちゃんをミンチに!

 もちろんトッピング用のエビちゃんは横に分けておいたよ。

 ぶーちゃん肉も魔法でミーンチ!

 玉ねぎは手でみじん切りに。

 自分で言うのもなんだけど、幼児とは思えない手さばき!

 イエーイ!


 さて、コネコネする前に、ブラウニーの方の生地を作ろう!

 材料を量って混ぜるだけ!

 美味しさアップのためにナッツ類は豊富に!

 スキルで作りだしたタッパーに入れ、マイクロウェーブストレージへ。

 アリバイ作りにオーブンをちょっと温めておこう。


 さて、シュウマイの具を練り練りしよう。

 ♪練り練り。


「チーン」

 私の頭の中にだけ、前世で良く聞いたあの音が響いた。

 ああ、もう出来ちゃったよ。ココアブラウニー。

 ココアの魅惑的な香りと、砂糖が発する甘い香りがそこら辺に漂った。


「おい!オレは飲茶希望だぞ」

 作戦本部からキッチンカウンター前までドドドドという勢いで闇王様が走って来た。

「あ、飲茶も作ってますよ」

 飲茶が食べれると分かったら、今度は食べ物ごときで形相を変えたのが恥ずかしかったのか、闇王様の顔が真っ赤になった。

「すぐ出来ますので、そろそろみんなを呼んだ方がいいですね」と、優しい私は話題を変えてあげました。


 中華鍋の上に置かれた蒸し籠の中に、作ったばかりのシュウマイを並べる。

 もちろんレタスを敷いてからだよ。

 前は何故蒸し籠にレタスを敷いて点心を蒸していたのか不思議に思ったんだけど、鑑定で見たら点心が籠にくっつかない様にって事だった。

 後で籠を洗う時、楽なんだよね。


 闇王様自らが2階に上がって1階にいなかったメンバーを呼んでくれたんだけど、セシリオ様が見当たらない。

「ありぇ?セェチリオしゃまは?」

「え?僕、ここに居るよ」と、階段下の本棚コーナーから這い出て来た。

 あそこはセシリオ様とボブが好んで使うスペースで、気づくと本を読みかけたまま寝入っちゃってたりするので、最近では白い毛皮の敷物と毛布が常備されている。

「おやつが出来ましたよ~」

「おお!」


 皆、カウンターを挟んでオープンキッチンと向かい合わせに置いてあるダイニングテーブルの自分の席に座った。

「今日はエビシュウマイが飲茶で、甘い物はココアブラウニーにしました」

 私がおやつを並べると、「平民のおやつらちく、見た目はちょっとアレでしゅわね。いいでしゅわ。お茶は私が淹れましゅわ」とアドリエンヌ様が危なげない手つきでお茶を入れてくれる。

 彼女が揃えてくれた可愛いティーカップに。


 飲茶のタレなどは出入りする使用人に見られたくないのでここには常備していない。

 ストレージから出しているのを誤魔化すために、毎日持って来てる布のカバンから醤油やお酢、ごま油を出した。

 部室が出来たばかりの時、「私も手伝うよ」ってメグが言ってくれたけど、秘密の食材が多すぎるので、「ありがとう。でも、ウチの店から持って来ている秘密の調味料とかあるから1人で作らないと・・・・」と断って以来、こっちの材料だけで作れる簡単なお菓子の時以外、普段は私だけで作らさせてもらってる。

 本当はメグと一緒にキャピキャピ料理をしたいんだけどね~。

 スキルで呼び出したモノや、料理魔法を使ってるところを隠すのがちょっぴり大変かなぁ~。


「甘い物だけがおやつじゃないって分かると、飲茶に期待が高まるよな」

 おおお!フェリーペ君。今の君の発言に闇王様が思いっきし頭を縦に振ってるよ。

 やっぱ男子は飲茶とかの方がいいのかな?


 アドリエンヌ様は最初、結構意地悪な事を言ってたりしたんだけど、何回かおやつを出すと、可成り懐いてくれた。

「アムアム」

 今も一生懸命ココアブラウニーを頬張っていらっしゃいます。

「こりぇ、食べたことのない味ね。なぁに?」

「カカオっていう豆から作れる物なんですが、まだウチの店でしか取り扱ってないんです。少量なら週末に帰った時に持って来れるので使ってみました」

「もっと持ってくるにょよ!」

 強い口調で言われてもおやつを食べる時のニコニコ顔を見ちゃってるので、可愛いと思いこそすれ、もう意地悪さんには見えません。

 ツンデレさんだよね。

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点心にも甘いものあるよね?例えばごま団子や桃まん
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