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年始年末こそ営業して欲しいという顧客たちの要望を跳ね除け、4日間の休みを設けました。
ジャジャーン♪
年越しの夜0時、大聖堂の鐘が12回鳴るんだけど、その間にまるごとのオレンジを4つ食べると次の年は幸せになるなんて言い伝えがオルダル国にはある。
もちろん皮はナイフで剥いて良いんだけどね。実は切り離さず丸々をって事だ。
村の場合は大聖堂がないので教会の鐘だけど、王都は大聖堂が有名で、多くの人が大聖堂前広場に集まってオレンジを丸ごと食べてるシュールな絵が展開される。
なんでオレンジ4つなのか?
恋愛、仕事、健康、幸運という4つを表しているそうだ。
大きなオレンジを丸ごとって、それ大人の事しか考えてないよね?最初にそれを考えた人。
まぁ、4つの中に恋愛だの、仕事だのが入っている段階で、あまり子供向けではないかぁ。
今年店を立ち上げて、一緒に暮らす人数がかなりの数に上るので、年末の料理や年越しの鐘用のオレンジがたくさん必要なのだ。
オレンジは伯父さんたちが市場で仕入れてくれたし、大人が飲む用のお酒も山ほど家が資金提供して揃えました。
年越しメニューは前からちょっとづつ作っていた餃子です!エヘン。
作りも作ったり、その数360個!どうだー!
マンマが結婚して家の従業員寮を出て、王都の下町に居を構えたので、彼とバーテンダーの2人、私が学園寮に入ってる間に雇った外住まいのスタッフがいないだけで、残り全員ウチで食事をするのだ。
まぁ、ウチで食事する従業員もそうでない従業員も年末の休みに入る前に、『年越しのバスケット』は配ってるけどね。
これは大きな商店で綿々と続いている習慣らしいんだけど、フルーツとか瓶詰の食品、ソーセージとか野菜等を盛り合わせたバスケットを渡して、今年も良く頑張ってくれた。来年も頑張ってくれよという、ある意味現物支給のボーナスの様な物だ。
伯父さんたちは家族で働いてくれているから、バスケットの数は3つだったり4つだったりするんだけど、食事は賄いが出るし、食品をいっぱいもらっても意味がないだろうと、1つのバスケットにフルーツやお菓子の盛り合わせ、残りは肌着や靴など消えものではないものを入れた。
伯母さんたちからはとっても喜ばれた。
孤児院ズやグルーにもフルーツは盛り合わせに入れてるけど、やっぱり肌着は必要だろうと混ぜてある。
さぁ!餃子焼くぞ!
羽付きにしようかな?
孤児院ズが一緒に焼くと言ってくれたので、みんなで人海戦術よろしくドンドン焼いていく。
焼いた端からストレージに保管して、冷めない様にしちゃってる。
ストレージ、便利だねぇ。
固形物ばかりだと食べづらいので、中華スープも作っちゃった。
片栗粉でとろみを付けているので冷めづらいのがいいよね。
ふふふふ。そして餃子のタレの黄金比!油1、お酢3、醤油6!
油の中にはラー油以外にも香りづけのごま油。
♪ふふふん。
完璧っす。黄金比率っす。
もう、テンションアゲアゲ。
「出来たよ~」とみんなを地下の居間に集めて、餃子をこれでもかっ!と並べた。
「熱々で食べてね。タレはこれ。おいしいよ」と言うやいなや、自分が食べ始めるという暴挙。
いいんです。餃子は格闘なのです。
私に釣られて食べ始めたみんなも「「「美味しい」」」とバクバクすごい量を食べ始めた。
皿が空になるとすかさずストレージから焼き立てがのった皿を出す。
男性陣の食べる量が半端ない。
作り置きしていた餃子のタレも見る見るうちに空になりかけてる。
ヤバい!
タレはそれだけしか作ってないと、焦ったけど、良く考えてみればスキルで作れるじゃん。
魔法で出しちゃえ。エイ!
大人たちは特に、お酒をがぶ飲みしながらの餃子が止まらない。
子供たちはそろそろお腹いっぱいかな。
今夜は年越しのオレンジがあるからデザートは無し。
最後まで年越しそばを作るかどうか悩んだけど、餃子だけにしたのだ。
シンプル!でも、シンプル・イズ・ザ・ベストということで、餃子とスープこれだけだぁ。
はぁ~、食った食った。
美味しかった。
さて、夜中までは何しようかね?
え?サマンサもサブリナも、はたまたパンクまで部屋で休む?
なんですとぉぉ!?
結局、大人はお酒を飲みながら四方山話に花を咲かせ、私はザ・孤児院ズと手作りの双六をして遊んだのであった。
人数分のオレンジの皮をみんなで剥いて、並べて待つ0時。
何とかオレンジまでは起きていられたけど、やっぱり子供に丸々のオレンジは無理だった・・・・。
しかし、何かなぁ。イマイチ家の従姉たちって付き合い悪いよね。
ランディとかフェリシアは仲良しだったんだけどね。
グスン(涙